ミリしら物理探査#20 磁気嵐
地球全体にわたる激しい地磁気の擾乱現象を磁気嵐と言います。磁気嵐は、太陽から飛来するプラズマ (太陽風 ) によって引き起され、そのプラズマ流が地球の磁気圏を圧縮するために生じると考えられています。プラズマ流の一部は、地球の磁力線に沿って極地方の上空から入り込み、オーロラを引き起こします。
大規模な磁気嵐の多くは、太陽フレアに伴なうコロナ質量放出と呼ばれるプラズマの塊と関係があります。このような磁気嵐は、太陽フレアの発生から1~数日後に観測され、太陽フレアが太陽黒点の活動と関係していることから、太陽黒点数が多い太陽の活動が活発なときに発生しやすいと考えられています。
磁気嵐は、時には電子機器に障害を与える場合があります。1989年3月13日に起きた磁気嵐は、地球に非常に大きな影響を及ぼし、カナダではハイドロ・ケベック電力公社の電力網を破壊し深刻な被害をもたらしました。また、米国の気象衛星の通信が止まるなど、各国の様々な社会インフラストラクチャーが影響を受けました。
このような磁気嵐も、自然の電磁場変動を測定するMT法(地磁気地電流法)にとっては重要です。磁気嵐は低周波の電磁場源なので、深部の地下構造を探るためには、磁気嵐のような強い電磁場源が必要になります。太陽活動の周期は約11年ですが、黒点の数が少ない太陽活動が不活発な期間中は、低周波の信号が弱く、あまり良い探査が出来ない可能性があります。
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