バークレーの思い出#27 You've got mail.
今の世代の人には信じられないかもしれませんが、バークレーにいた頃は、一般家庭へのインターネットの普及は進んでいませんでした。インターネットが使えたのは、大学や大手の企業や研究所などに限られていました。
そのため、自宅でメールを使おうと思うと”パソコン通信”と呼ばれていた”閉じた”通信サービスを使う必要がありました。日本では、ニフティやCompuServeなどが使われていました。その頃、後発のメールサービスとして出てきたのがAOL(アメリカ・オンライン)でした。私も、渡米前にAOLに加入し、日本で少し使った後に、引き続きアメリカでも使っていました。
AOLに接続するためには、モデムと呼ばれる電話線に接続する装置が必要になります。このモデムを使って、AOLにアクセスするのです。それまでのメールソフトは音を出しませんが、AOLのシステムではメールの着信を音声で知らせてくれました。それが、有名な着信音である”You've got mail ♪”です。
まだ電子メールが今ほど一般的ではなかった頃、この着信音を聞くと、なんだかワクワクしました。今日のニュースには、この音声を担当していた男性の訃報が載っていました。この訃報でアメリカでの当時のメール事情を思い出しましたし、一つの時代が終わったことを感じました。