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ミリしら物理探査#21 空中物理探査

 物理探査は通常、地表から実施します。しかし、広い範囲を大まかに探査したい概査では、航空機やヘリコプターを使った空中物理探査が使われます。空中物理探査に対比して、通常の物理探査を地表物理探査という場合もあります。空中物理探査には、空中磁気探査・空中重力探査・空中電磁探査・空中放射能探査などがあります。空中○○探査は、英語のAirborne  Geophysicsからエアボーン○○探査と呼ばれたりもします。

 空中物理探査の特長は、何といってもその探査範囲の広さです。人間が徒歩や車で移動する範囲は限られますが、航空機やヘリコプターを使えば、短時間で広範囲の探査が可能です。ただし、空中物理探査にはメリットだけではありません。空中物理探査では、地表から離れて探査をするので、高感度なセンサが必要になります。また、計測装置が大掛かりになるので、それだけコストもかかります。空中物理探査を選択する場合には、コストパフォーマンス(コスパ)も考慮する必要があります。

 大昔のバブルの時代、故・竹下首相が全国の自治体に『ふるさと創生事業』と称して1億円を配りました。そのため、この事業はふるさと創生一億円事業とも言われました。全国の自治体は、知恵を絞って1億円の使い道を考えましたが、1億円を使って温泉を掘ろうとした自治体も少なくありませんでした。その時に使われたのが、空中放射能探査です。

 地上の放射能探査は、断層や地下水・温泉を見つけるのに力を発揮します。しかし、空中からの放射能探査では、断層や温泉などによる放射能アノマリーが顕著ではなく、温泉探査がうまくいかない場合も多かったようです。実は、探査費用の他に掘削費用もかなりかかります。たとえば、1000mも井戸を掘れば、それだけで1億円くらいはかかってしまいます。

 タダで配られた1億円ですから、使い方は自由ですが、温泉掘削失敗で1億円が無駄になった自治体も結構あったみたいです。すでにかなり時間が経過しているので、人々の記憶からは消えていますが・・・。

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