”系統樹という考え方”は正しいのか?
系統樹は、生物の進化の道筋を描いた図です。系統樹を見れば、生物同士の類縁関係がわかります。系統樹(phylogenetic tree)という名前は、この図が樹木のような形になることから、エルンスト・ヘッケルによって名付けられました。
生物の進化の過程を推測した”従来の”系統樹は、多くの場合、正しい結果を示すと考えられています。しかし、イギリスのバース大学による研究チームは、19世紀から作成されてきた系統樹の多くに間違いが含まれている可能性があることを指摘しています。これは、昔の分類学では、生物の骨格や外形などの形状や生態などを基にしていたためです。現在は、ゲノム解析が進んで、ゲノムからの近縁関係で系統樹が見直されつつあります。
私は天邪鬼なので、この系統樹という考え方に疑問を抱いています。生物が単性生殖で数を増やしていた時代を除けば、生物には雌雄の性別があり、多くの場合、オス(父)とメス(母)が親は世代になります。しかし、系統樹では親(先祖)は一種類しかいないことになります。これは、系統樹が”二種類に分化”することを基礎にしているからです。
ライオンとヒョウのハイブリッド(混血)であるレオポンは、父の形質であるライオンのたてがみと、母の形質であるヒョウ柄模様を受け継いでいます。レオポンは生殖機能が弱く、子供ができないようですが、親は1種類ではなく2種類の生物です。現生人類であるホモサピエンスは、ハイデルベルグ人から分岐したと考えられていますが、古い時代にハイデルベルグ人から分化したネアンデルタール人との混血もあったと考えられています。
ココからは私のアイデア(妄想?)ですが、生物進化にも『家系図』のように父系と母系を考慮した分岐図が必要ではないでしょうか。
系統樹は、言語の分野(比較言語学)にも使われています。比較言語学では、その言語で使われている単語の類似度を頼りに、言語の共通のルーツ(祖語)を推定する学問分野です。これは言語の歴史を探る学問でもあるので、歴史比較言語学とも呼ばれています。しかし、比較言語学においても、系統樹のように祖語は一つしかないことになっています。
言語で重要な要素は、文法と単語です。この要素は切り離して考えることは出来ません。そこで、文法を父系、単語を母系と考えた家系図を作るのは如何でしょうか?。日本語は孤立語と言って、祖語が不明な言語の一つです。しかし、これは系統樹の様な祖語がひとつのモデルを考えた場合の結果です。文法(父系)と単語(母系)を基にした『言語の家系図』を考えると、ブレークスルーができるかもしれません。もちろん、妄想出会わるかもしれませんが・・・。