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天然アスファルトの池

 道路の舗装や防水剤などに使われるアスファルト(asphalt)は、原油に含まれる炭化水素類の中で最も重質のものです。アスファルトの色は、黒か暗褐色で、温度の高低によって液体から固体、固体から液体の状態に変化する性質を持っています。日本でも天然のアスファルトは、古くから”燃ゆる土”として知られていて、朝廷に献上されたことが日本書紀に残っています。

 アスファルトには、天然に産出される天然アスファルトと、石油からつくられる石油アスファルトがありますが、現在ではほとんどが石油アスファルトです。現在では少なくなった天然アスファルトですが、アメリカには天然アスファルトの池があります。

 ラ・ブレア・タールピッツ(La Brea Tar Pits)は、アメリカ・カリフォルニア州ロサンゼルス市内にある天然アスファルトの池です。英語が複数形(Pits)になっているように、池の数は100に上ります。ラ・ブレアの天然アスファルトは、近くのソルトレイク油田から地下の断層を伝って地表に到達した石油の軽質分が蒸発し、一緒に出てきた水の作用で生成されたと考えられています。

 これらの池は、1915年からハンコック公園として保存され、保存に貢献したジョージ・C・ペイジを記念した博物館には、タールピットの中で発見された動植物(サーベルタイガー、馬、鳥の化石)などが陳列されています。タールピットの表面は水に覆われていたので、この水を求めて太古の動物たちが集まって溺れ、タールに閉じ込められたようです。科学的年代測定では、最古の動物は3万8千年前のものと分かっています。また、9千年前の女性の骨も1体見付かっているそうです。


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