空耳とチャンクの関係
空耳とは、実際には存在しない(人や動物の)声や物音を聞いたように思うことを意味します。また、外国語の歌詞や言葉が、別の日本語のように聞こえることを、空耳と表現したりします。例えば、Go my way!! が”ごまあえ”と聞こえるようなことを指します。ジョン万次郎こと中浜万次郎の自作の英語辞書には、What time is it now. が”掘ったイモいじるな”と書かれていたのは有名な話です。
このような空耳の面白さを広めたのは、テレビ番組・タモリ倶楽部の名物コーナー『空耳アワー』です。空耳アワーでは、視聴者が投稿した英語の歌詞の面白い空耳を紹介するのですが、実は生命の存続に直結する空耳もありました。それは、I surrender.(私は投降します)→「愛されんだぁ」です。これは、米軍が英語が話せない日本兵向けに撒いたビラに書かれていた言葉で、投降を促す意図があったようです。
人間は、聴覚によって外部からの音を脳内に取り込み、その聴覚情報を言語野に伝達します。言語野に蓄積されている単語(音韻)には、個人ごとに”重要な概念”や”頻繁に使う単語”に優先順位が決められています。ある単語やフレーズを耳で聞くと、その単語やフレーズは優先順位に従って脳内で分類されます。しかし”よく似た単語”が存在する場合、間違った単語やフレーズとして認識されます。
この一塊の単語やフレーズを英語でチャンクと言います。また、一塊にすることをチャンキングと言います。このチャンキングは、単語や数字を記憶する際にも重要です。ランダムな数字の羅列は、10桁でも覚えるのが困難ですが、電話番号のように3つのパート(012-345-6789)に分ければ覚えることができます。これがチャンキングです。どうやら人間の脳内では、一塊のチャンクで情報処理を行なっているようです。なので、語学を勉強する際には、チャンクを意識することが重要です↓↓。
ところで、空耳と似たような現象に、タイポグリセミア現象があります。この現象は、文章中のいくつかの単語で最初と最後の文字以外の順番が入れ替わっても正しく読めてしまうという不思議な?現象です。例えば、「わしたが なびらえかた ぶしょんうです」のような文章です。
答えは、「わたしが ならびかえた ぶんしょうです」ですが、読めましたか?。