煉獄召喚
六、柳生十兵衛の死
慶安三年の三月二十一日。
十兵衛は京の南東部にある弓淵まで将軍家のお忍びの鷹狩りに付き添い出かけていった。
「十兵衛よ、久しぶりではないか。お主はいつでも雲隠れしておるのにこの度は珍しいことじゃ。」
将軍家光は十兵衛よりも五つ年上であった。十兵衛も今は将軍家指南役を退き、その立場を宗冬に譲っていたが、お忍びの鷹狩りとなると公務として旗本を動かすこともできず、十兵衛のような者を連れて行くのである。
十兵衛は将軍家光が幼少の頃よりよく知っている。
幼い頃から乱暴者だった十兵衛は将軍家光のことを、いたずらで叩きのめすこともよくあったので、家光はずっと十兵衛のことが苦手であった。
「十兵衛、お主、少々痩せたか?」
家光は何度か十兵衛に話しかけたが、十兵衛は返事もしなかった。
(十兵衛め・・・この将軍家光に対してなんという態度をとるのか・・
但馬さえ生きておればお灸を据えてもらうところだというに・・・)
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追悼:親愛なる千葉真一様。
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