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一、不穏 颯爽と、美しい剣士が歩いてくる。だがこの剣士、男ではない。 茜は剣豪であり将軍…
七、弱さ 日本、最強の武芸者の突然の死。 鷹狩りに付き添っていたのは将軍家のお付きの名医…
六、柳生十兵衛の死 慶安三年の三月二十一日。 十兵衛は京の南東部にある弓淵まで将軍家のお…
五、魔界 十兵衛は広大な芒の野原を歩いていた。 振り向けば自分が歩いてきた道すらもわから…
四、乱心 「して・・・その後はどうなのですか、およし殿?」 あれから半年。 宗冬は赤い空…
二、異変 ある朝、 朝餉の時刻になっても起きてこない六助の部屋に茜は立ち入った。 「六助…
三、煉獄 まだ秋の始まりだと言うのに妙に肌寒い薄曇りの朝であった。 茜は緊張の面持ちで十兵衛の屋敷に向かった。十兵衛は妻子とは別居しているために煮炊きをする下女一人、下僕一人との質素な暮らしぶりであった。 柳生家は大名として将軍家指南役の栄華を誇ったのだが、父の宗矩が死亡した折に兄弟で遺領が分地され、旗本に戻った。 十兵衛は、 「大名などと言うはわしには堅っ苦しくて向かぬわ。なんならわしの分の遺領も宗冬に与えてもらえれば柳生家も安泰であったものを・・・」 と残念が