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One Chance(ワンチャン)~言語の話

↑画像はわんちゃんです。

<起>

どうも最近私の周りの若い人達が使用する

ワンチャンある

という言葉の使い方に違和感を感じて確認したところ、
「少し」
という意味で使われていました。

例)
「あー、そーゆうやつ、クラスにワンチャンいましたねー。」

自分では使いませんが、私のこれまでの認識では
「可能性(がある)」
という意味でした。

例)
◯◯すれば、まだワンチャンあるかも。

ググったところ、

ひょっとしたら(わかる)
もしかしたら(わかる)
多分(えっ?)

と様々な意味に使われる上、
「特に意味なくつける」(えっ?)
といった接頭語として使われる例もあったり…。

<承>

特に意味なく、と言えば高校生の時に友人の家で読んだ「米英俗語辞典」的な本の
fuck(-ing)
の一番最後の意味に
「あまり教養のない人が特に意味なく使用する接頭語」
という解説と共に
Where is my fucking car?
(俺の車はどこ行っちまったんだ?"レッカー移動後")
という例文が載っていたのを思い出します。

これ、「特に意味なく」というのは語弊があり、実際には正確ではないにしろ、
どんな感情で
どんな口調で
どんななりの人が
どんな声の大きさで

とかの情報がなんとなく補われますね。

映画「パルプ・フィクション」の劇中でタランティーノ氏が
I don't wanna get fuckin' divorced!
(俺は離婚なんてしたかねーんだよ!)
と叫んでいたのも印象的でした。

多分、リアルタイムで生きた

ワンチャン

を使っている若者はその辺の情報を、普段ワンチャンを使えていないおっさんよりももっと高い精度で感じ取っているのだと思います。

このような言語化しにくいニュアンスが変化しつつある生きた言語から発せられ、且つ、渦中にいないと体で理解しきれない、机上の理解では追い付かないところにある、というのは非常に興味深いです。

<転>

また、こういう言語の変化は、地理的にも同時多発的に起こるのではないでしょうか。

実体験として、1996年頃・・・
私は「普通に」を意味はなくはないのですがなんとも形容し難いニュアンスで、形容詞の前に置くという使い方を生み出しました。
何だかこう使うとしっくりくるというか、体が反応したという感じでした。

例)
あれ、「普通に」おいしいよね。
これは「普通に」良い曲だなぁ。

当時、友人に
「何だよ、その普通にっての。」
と違和感を何度か指摘されたものです。

それが、2、3年後は誰もが使う言葉となっており、すかさず
「え、ちょ、、、おれのオリジナル用法めちゃくちゃ広まってんじゃん。」
と言ったところで、こんな戯言めいた話を誰も信じるはずもなく、、、

となると

文化として機が熟した頃になると、それにあてられた人(あてられやすい人)が各地で同じ行動に出る(この場合は同様の新しい言語を使い始める)と考えられます。
※この現象、学術的に何らか名前がついていそうですが・・・と思っていたら「100匹目の猿現象」というのを友人が教えてくれました。

思い返してみれば、「普通に」を初めて使ってみてからは自分で意識して、というより自然と癖のようにスラスラと勝手に常用するようになったものです。

<結>

いや、でも・・・
ワンチャン私が使った「普通に」がワンチャンオリジナルで、ワンチャン使い勝手が良すぎて自然と広まり、ワンチャン私自身がワンチャン用法の起源である、という捉え方もワンチャンあるかも・・・

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