はじめに
最近、カーボンニュートラルやGX(グリーントランスフォーメーション)に関する記事を目にすることが増えてきました。それらの記事では、専門用語も多く、たとえば「スコープ」といった言葉が出てきても、果たして何の「範囲」なのか、私も最初は正直よくわかっておりませんでした。
そこで、今回はそういったことについて少し書いていこうと思います。
LCA?
これらの記事の中では、LCAという単語が登場することがあります。ここでいうLCAとは
とあります。「アセスメント」とあるとおり、本来は「環境への影響を定量評価する」ことを指します。
ただし、
このように、ある対象製品の生成から廃棄まで、つまり
「ゆりかごから墓場まで」のCO2排出量(を求めること)
をLCAと呼んでいる場合があるので注意が必要です。
GHG?
さて、企業活動におけるCO2の排出はどのように調査・分析するのでしょうか? この「スコープ」について以下のように定められています。
上では、CO2の話だけをしていましたが、実際はCO2以外にも地球温暖化に影響するとみられるガスがあります。それらのことをGHG(Greenhouse Gas Protocol: 温室効果ガス)と呼びます。そして
というように、温室効果ガス排出量の算定・報告の基準として世界的に推奨されているものに「GHGプロトコル」というものがあるのです。
Scope1, 2, 3?
話を戻すと、サプライチェーンにおけるCO2の排出量は、GHGプロトコルにおいて、以下の3つのスコープに分類されています。
簡単に言うと、自社を基準として
自社の中から出たCO2がScope1/2、自社の外で出たCO2がScope3
になります。さらにScope3は15のカテゴリに分かれます。(上図の丸付き数字はScope3のカテゴリを表しています)
Scope3のトレースは実現可能か?
「カーボンニュートラルを目指し、当社はScope1,2,3のトレースはしっかりやっています!」と声高らかにうたう企業も出てきている様に感じます。しかし、実際のところ、このトレースはとても難しいことです。
Scope1,2は自社の活動のことですから、自社の中で計測をすればわかるのです。具体的には、燃料代や電気代を調べれば、それらの使用量はすぐにわかるでしょう。
しかし、Scope3は社外の活動のことですから、その値は社外から貰わないといけません。また、サプライチェーン全体で考えると、
社外というのは直接取引のある会社だけではありません。
その会社もさらに上流の会社を持っている場合が考えられますし、下流側もまた同様です。したがって、直接取引のある会社のさらに上流や下流から正しく値を貰えないとScope3の算出はできないのです。
実際のところ、各企業ではどのようにこの値を貰っているのでしょうか? 多くの場合は、専用のデータベースを活用し、購入した量になんらかの係数をかけて算出して求めている場合がほとんどだと考えられます。ただし、ほかにも、