しくじりリーンスタートアップ - チームがなければ、はじまらない
2020年秋からリーンスタートアップに挑戦した。会社を設立する半年前だ。会社をつくるまえに、市場が急成長し、たくさん売れる製品アイデアを発見できれば最高にリーンだから。
やってみてどうだったか?完全にしくじりリーンスタートアップな一年間だった。リーンスタートアップには罠がある。自分の頭で考えて、リーンスタートアップをアップデートさせる必要があった。
リーンスタートアップとは
簡単にリーンスタートアップの定義を振り返る。
LEANシリーズの構成
リーンスタートアップは急成長する事業を最小のコスト且つ最速に作り上げる方法を体系化することを目指した経営理論だ。
リーンスタートアップは日本のよくある経営理論書籍とは一線を画する。アメーバ経営などの理論は組織があっての経営論であって、0→1フェーズに参考となる方法論が極端に少ない。
リーンスタートアップに関する書籍は、「リーンスタートアップ」と呼ばれる青本をはじめ、「ランニングリーン」「リーン顧客開発」「リーンアナリティクス」「リーンブランディング」などのO'Reilly出版から販売されているザ「リーン」シリーズが有名どころ。
スタートアップ経営手法を実践してこそ、スタートアップ起業家といえる。スタートアップ起業家といって恥ずかしくない自分になりたい。まず体系化されたリーンスタートアップという方法論で事業づくりに挑戦しよう。そうおもった。
フィードバックがループしない
しくじった理由は明確だった。フィードバックがループしていなかった。
製品開発のフィードバックループとは
フィードバックループとは、下図のような製品アイデアを実際に急成長するサービスに進化させるまでのプロセスである。
リーンの真骨頂はフィードバックループの速さ
リーンとは筋肉質という意味だ。筋肉質ということは、事業づくりに無駄(脂肪)がないということ。脂肪とはなにか?自分の頭で考えた。
アイデアを考える時間の長さであったり、製品を開発する時間の長さ、このまま製品を作り続けるか?どうか決断するまでの時間の長さであると理解した。
実際やってみると、アイデアから構築、構築から製品までに時間が短くなった気がしない。リーンにやっている感覚になれなかった。ひとつひとつ書籍で紹介された方法論を実践した。でも全体として無駄な行為をやっている感覚になっていった。
たとえば、ソリューションアイデアを構築するときに紙芝居をつくるという方法論がある。実際にプログラミングしてプロダクトを作るよりも時間がかからないからだ。でも、紙芝居を作ったところでやりたいことをやっているようにも感じない。紙芝居を見せたソリューションインタビューも、実際に動くものを見せた時のソリューションインタビューのほうが得られるフィードバックの品質が高いように感じた。
フィードバックループに乗せようとするから、失敗している?
当初、リーンスタートアップを愚直に実践すればうまくいくとおもった。実際やってみると、リーンスタートアップに固執しているから事業開発が進んでいないんじゃないか?という気持ちになった。
ユーザーインタビューより先に進みたい。でも、ユーザーインタビューの着地点が見えない。動くプロトタイプのほうがインタビューのフィードバックの品質が高いように感じた。だからフィードバックループを「製品」という次のステップに進めたくなる。このままリーンスタートアップに則っていれば、一生ユーザーインタビューしているんじゃないか?という不安感で心がいっぱいになる。
このまま、リーンスタートアップをそのまま実践するのは良くない。そう思った。
その方法は誰がやっているのか?
リーンスタートアップは方法論
改めてリーンスタートアップを読み直す。リーンスタートアップはカテゴリごとに具体的な手法を紹介している。ユーザーインタビューの台本からプロトタイプ構築方法のパターン、さまざまなデータの計測方法などだ。こうした方法・手段を知っていること自体が大きな一歩だ。
・・・この方法、一体誰がやっているんだろう?すべて起業家なのか?本当にそうか?ここに気づきがあった。
リーンスタートアップは0からはじまっていない
リーンスタートアップは北米はシリコンバレーで体系化された理論だ。だから、対象読者は起業家であると同時にソフトウェアエンジニアである。正しいかどうかわからない。非エンジニア出身の起業家だとしても、日本よりは創業メンバーに優秀なソフトウェアエンジニアを見つけやすい環境だとおもう。
リーンスタートアップというのは創業者に開発力がある。あるいは開発メンバーが集まっている前提があったうえで、ベンチャーキャピタルから資金調達できるレベルの製品を開発する方法論を体系化したものだと理解した。
じゃないほう起業家は、リーンスタートアップを実践できない。壁の正体は創業者である自分自身の弱さだった。残酷な現実だとおもった。
フィードバックループはひとりでは回らない
改めてフィードバックループを眺めた。フィードバックループの外には、開発チームがあるように見えてきた。自分自身のパターンに最適化しよう。チームがあって、それぞれのメンバーが役割を分けていれば、自分自身でもフィードバックループを早く回せるようなイメージが湧いてきた。
じゃないほう起業家の自分がリーンスタートアップを実践してみてもうまくいかない原因が見えてきた気がした。よし、改善しよう。実行しよう。
リーンスタートアップしたければ、チームをつくる
フィードバックループを回せる体制をつくる。そうすれば、フィードバックループを回せる気がする。具体的に言えば、「LEAN顧客開発」の前に「LEANチームづくり」がある。そんなかんじ。
チームをいつ作るのか?順番を考えることが重要だ。(B)リーンスタートアップをひとりで実践しながらチームを作ったほうが、リソースが限られている状況であればリスクも低い。シンプルに節約できる。
LEANを実践する前にチームをつくる決断をする
結局、(A)LEANを実践する前にチームを作る経営判断をおこなった。理由は、LEANはあくまでも安定した開発チームがあったうえで、製品開発の最適化をおこなう方法だと解釈したからだ。
じゃないほう起業家は、安定した開発チームを作る経験がない。急成長する製品アイデアを効率よく探し当てることも重要だが、それを一緒に進めてくれる体制を作らなければ意味がない。フィードバックループが回らないからだ。
そして、チームづくりは簡単じゃーない。メンバーを集める採用業務、エンジニアに開発を担ってもらう分、創業者である自分自身が高品質なプロダクトのマネジメントを実践する必要がある。どういうメンバーが集まっても配られたカードでゲームに勝てるように、日々のコミュニケーションから帰納的に最適なチームのカルチャーと考える必要もある。
リーンをやるために、スタートアップしない
リーンスタートアップを使いこなせずに3ヶ月が経っていた。2021年1月、確実にリーンスタートアップをやるために、起業して数ヶ月はリーンスタートアップしないことを決めた。
まずは第1四半期、チーム作りに自信を持てる起業家になろう。つぎに第2四半期、3ヶ月でプロトタイプをつくるプロダクトマネジメントを実践する。第三四半期から急成長する製品アイデアにたどり着くことに向き合う。方針を決めて、2021年3月会社を設立した。(だから、アドベントカレンダーで最初に採用に関する記事を書いた)
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