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FY2021Q4 ひとり全社会議

ひとり全社会議とは、わたしが今月やったことを勝手に株主に報告する会議である。言わずもがな、エクイティ調達をしていない弊社には、株主は私しかいない。

業績ハイライト

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私が世の中に役立ったるぞと執念を込めているのは自社製品開発であるソフトウェア事業である。起業家がビジネスをする以上、売れるものを作らないといけないことは自明だ。そのために取り組んでいる事業が「データサイエンス研修事業」と「受託事業」である。

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2021年3月末に設立した。すぐに法人に契約を切り替えることはむずかしかった。そのため法人売上は6月度から計上している。

エクイティ調達に踏み切っていない場合、つぎの3点が大切だ。まず、受託事業で経営者のリソースを減らさないこと。2つ目は非労働集約的事業で売上をたてること。さいごに、開発中のプロダクトの付加価値に繋がるフィードバックを得られることである。これがまーじーで簡単ではない。引き続き、小さくない課題である。

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会社を作って起業することはサービスをつくる必須条件ではない。でも私は会社を作って起業した。自分一人ではなくチームで大きな挑戦をしたいと思ったからだ。

売上は法人売上としては及第点未満だと思っている。しかし、稼いだリソースをチームに投資することに挑戦できたことは良かったと思う。チームを作ってみないと気づけない課題もあった。キャッシュフローの課題を除けば、良い挑戦だった。

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PMFに到達していないので、コスト構成は原価・人件費で8割を占めている。

プロダクト開発

現在は限られたユーザーにしか提供していない。顧客ターゲットを変更しているからだ。実現したいコンセプトは大きく変わらないので引き続き開発は継続している。

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SlackやNotionなどに触れると当たり前に感じるが、ソフトウェア開発において「ユーザーが当たり前」だと感じる機能ほど開発がむずかしいのだと実感した。ワークスペース機能がそうだった。

複業で力を貸してくれているエンジニアとAWSのサポートがあって乗り越えることができたので、本当に感謝している。ありがとうございます!

この機能によって1つのプロダクトで複数の組織が利用できる土台が完成した。使いたくなる中身の機能を見極めていく。

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また、UIUXの改善に着手した。正直、この取り組みは邪道だ。スタートアップ起業家であれば、PMFしていないプロダクトのUI改善は時期尚早だからだ。でも私は年内に挑戦することにした。

5月からエンジニアが開発してくれた機能の価値を、最大限ユーザーに届けたいと思ったときに、年内最後に自分がエンジニアに対して返せることだと考えたからだ。

特にクライアントサイドの開発にあたっては、中盤から私自身が画面イメージや仕様作成にリソースをかけられず、エンジニアに負担をかけた。これをUIUXデザイナーの力を借りることで、開発フローの課題を解決したいという意図もある。

顧客開発

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弊社は製品は変えずに、顧客ターゲットを変えるアプローチを実践中だ。
データ分析組織やデータサイエンティストから、大学院生や教授に変えた。
顧客数(市場)が大きく、ニーズが共通だと考えたからだ。

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私たちは「チームで業務をおこなうときの課題を解決する製品」を提供するために開発を進めてきた。しかし、これは問題だった。まず「個人が製品を使いたくなる必要性」を作るべきだった。

マッチングプラットフォームサービスを提供する起業家が「買い手から開拓すべきか?あるいは売り手からか?」を悩むように、提供する順序を考えるべきだった。

FMF(Founder Market Fit)の沼にはまった

自分自身が抱いていたデータ分析組織やデータサイエンス界隈に対する問題意識、思い入れが強すぎた。本当に良くしたいと思っているし、課題だと思っているからだ。でも思いが強すぎて、違う領域にも同じ課題があるかもしれないのに、なぜかそれに向き合えなくなった。

今までは紹介や仕事場で気軽にできたインタビューがほとんどできなくなった。本当に自分から見知らぬ人に出会おうと動かないと絶対に出会えなくなった。ティザーサイトを作って広告を打ったり、TwitterからDM送ったり
本当はやれることたくさんあるのに、やってなかった。やれなくなっていた。恥ずかしい話、こういう状況が2ヶ月続いてた。

ユーザーインタビューの再開

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現役大学生をインターン採用した。正社員0名。業務委託のみで構成された一期目のスタートアップとしてはもしかすると異例かもしれない。

採用後、早速ユーザーインタビューを実施できた。すでに8名のユーザーインタビューが決まっている。今年一番の正しい経営判断だったと思う。なぜ上手くいったのかは後日まとめたい。とにかく、インターン生が実現してくれたから今があるのは言うまでもない。

“解像度”の意味がわかってきた

解像度にはいろいろな物事に対して整理すべきことだとわかってきた。

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まず、顧客ターゲットを決めても、ペルソナを決めても、その領域の言葉でセグメント化できるくらい理解しないと、製品を提供して本当に喜んでくれる顧客とその順序がわからない。

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つぎに、代替品のツールを目的ごとに細かく具体的に理解することだ。例えば同じ課題に対して2つの代替品を使っているケースも有る。その2つの使い分け、長所と短所まで理解する必要があることに気づいた。

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さいごに、順序だ。課題を解決する前段階から、課題があるところまでを業務フロー図に直す。これによって、どこからどこまでを解決する必要があるのか?を理解し、私たちが提供する製品を使う前後のユーザーの気持ちも理解できるようになってくる。

すべては検証しかない、検証検証検証k..

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仮説は正しくあってほしい。正しい仮説だと思ってソリューションを作っているからだ。現実は甘くない。向き合わないといけない。一つ一つ具体的にインタビューの中で検証していく。仮説に✕の数が増えていく。正直しんどい。でも、この領域の課題を解決したい。めげるには早すぎる。

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ユーザーインタビューで得られるデータは調査(リサーチ)データ。リサーチデータは具体性はあるけれども傾向を掴みづらいという弱みがある。

そこで、簡単なリスティング広告で検索ワードとして顕在化されているニーズの検証、暗黙的データから傾向を掴めるかどうか?の挑戦もおこなった。

FMF(Founder Market Fit)の沼を超える

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今月、沼を抜け出した。内発的にソリューションアイデアを変更したい気持ちになった。

孤独な起業家は、自分のアイデアに固執しやすい。味方がいないように思えて、当初の事業アイデアに執着してしまうのだ。自分が考えたアイデアだけが自分の味方だと思う。問題はこの執着と固執からいかに脱却するかのハウツーがないことだ。起業家がビジネスをする以上、売れるものを作らないといけないことは自明だ。一方、作りたくないものが売れても嬉しくない起業家もいる。わたしだ。

一緒にソリューションを考えてくれる仲間を見つける。ソリューションを自分だけのものではなく、チームや顧客のものにする。これが解決策だと思った。それから同じようなビジョンを持っていること。これも重要だ。議論に挙がるソリューションの形は違えど、向かっている方向性が一致しているから納得感がある。議論に建設性が生まれる。

同じビジョンを持っているならば、チームメンバーにする。これが執着の沼から抜けた一番の理由だ。事業アイデアを相談できる人ではない。事業アイデアを一緒に考える仲間をつくる。自分だけのアイデアがチームのアイデアに昇華することが重要だ。悩みを一緒に考えられるようになる。孤独感がなくなる。自然ともっと考えたくなる。

創業者である起業家は「孤独」という言葉に自惚れ、進捗のない自分を正当化しがちだ。それはカッコ悪い。いかに「孤独」から脱却するかが、PMFに近づくプロダクト開発の成否に繋がると思った。

おわりに

会議資料を作るのは正直しんどい。自分の自己満資料というのは、やらない理由を作ることが簡単だからだ。でも、この月次振り返りルーティンは、月末にサウナで覚醒するよりも精神的な開放感がある。

何よりもまず数値だ。お金が減り続けていると、数値は見たくない。
サラリーマンだって経営者だって主婦だって国だって、景気の悪いときは家計簿を見たくないのだ。これを見る。強制的に見る機会をつくる。いつ死ぬか?がわかれば、残された命の使いかたを少しはポジティブに考えられる。

次に行動の記録だ。「ゼロじゃない。俺はやったんだ。世のためにやったったんだ感」の実感がめちゃ重要。PMFもしていない、プロダクトはほとんどの人が知らない。インタビューだってバーニングニーズなんかに届いちゃすらいない。こんなもの誰に見せたって、「いいね、投資しよう」「スケールしそうだね」なーんてならない。だから作らない…だとNG

プロセスは企業価値には影響を与えない。でも、起業家である自分自身には自信にもなるし影響を与えると思う。良いとか悪いとかじゃない、やったったんだ!を毎月振り返る。

特に11月は「あと来月に一回やれば俺は12ヶ月毎月やったんだ!」って思えたし、ぼっち起業家だった私が、1年後の今5名体制でやったったってる事実だけで、月末にビールを飲んで良いのだ。

来月もやったったるのである。

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