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インタビュイーを仲間にする

本記事は 株式会社パタンナー アドベントカレンダー 2021  13日目の記事です。

前回の記事では、マーケットを大きく捉えるためには、課題を軸足に顧客をピボットしたほうがいいのでは?という気づきをまとめた。

本記事では、私にとって3度目のユーザーインタビューで実践した(実践中である)リーン顧客開発の打開策、戦略を紹介する。

はじめに

結論から述べると、インタビュイーを採用し、インタビュイーとともに顧客開発をおこなっている。この戦略は、今期の経営判断で一番正解だったとおもっている。顧客に対する解像度を上げるスピードが段違いで早くなった。

ユーザーインタビューでつらかったこと

インタビュイーに恩返しできなくてつらい

何よりもまず、せっかく協力してくれたインタビュイーに恩返しできないことが何よりもキツイ。メンタル的にキツイ。特に、見込み顧客でないユーザーにインタビューすると、出来上がったプロトタイプを見せることにすら価値がない。

ソリューションアイデアが固まってプロトタイプにならないと、見込み顧客のインタビュイーにも提供できない。さらに辛い。

だいたい、二次紹介で詰んでつらい

つぎに、インタビューの数を増やすために、一次紹介で友人知人に二次紹介を依頼することになる。これがね、続かない。元データサイエンティストとして定量的に記録していったが、二次紹介の消化率は50%を下回る。三次紹介に至っては20%以下だった。

二次紹介者ってほとんど初対面だから催促しづらい。これがね、すげーきつい。メンタル的にきつい。一次紹介者のメンツ、信頼関係に傷をつけたくないし、二次紹介はすでにインタビューに協力してくれている。それだのに二次紹介に、「三次紹介者の人にもう声かけてくれました?」なんて言えねーんだよ!馬鹿野郎ッ!この野郎ッ!

ユーザーインタビューは起業家のリア充さに依存する

ユーザーインタビューって何回も連発できるもんじゃーない。友達の多さが一次紹介者数に反映される。その後の話は前述のとおりだ。

ビザスクLiteを使えば?とかSNSでDM送れば?っていう意見もあるとおもう。ビザスクLiteはtoB向けの顧客属性が明確な事業アイデアには最適だがそうでない場合は不適だ。また、SNSも同様だ。SNSを使うユーザーって属性に偏りがある。課題の持ち方にも偏りがある。

ユーザーインタビューにおいては、脳死で方法論の1~10までをやればいいってもんじゃーない。どんな方法も自分の事業アイデアの見込顧客にリーチできるかを検討したい。

何回もできないからだ。下手すると人間関係や自分の信頼性に傷がつく。起業家は行動力が大事だっていうけど、ユーザーインタビューって、目に見えない大切なものがエネルギーになっている側面があるとおもうから、俺は結構慎重にやるべきだなっておもう。異論は認める。

繰り返しフィードバックをもらえるスキームをつくる

そういうわけで、ユーザーインタビューの母集団を増やさずに、ユーザーに対する解像度を高める方法を考える必要がある。ここでリーンスタートアップがなぜ有効な経営理論なのか?俺はもう一回振り返った。

リーンスタートアップっていうのは、フィードバックループの回転数が多くて速いから有効なのだ。なぜ有効なのか?ユーザーに対する解像度が高くなって、正しい仮説にたどり着くスピードが早いから。正しい仮説であれば、作った製品が売れる可能性はかなり高い。ユーザーインタビューにおいて同じように考えてみた。

インタビュー1回数十分程度じゃ解像度はあがらない

累計30名以上にインタビューしていて感じたことは、たかだか数十分のインタビューでね、解像度なんて上がらない。顧客の課題を理解するってそんなね、簡単じゃーないっていうことだ。

フィードバックを回すと解像度が上がる

インタビュー数が多くて1回のフィードバックしかもらえないよりも、インタビュー数が少なくて複数回のフィードバックをもらったほうが顧客の課題に対して解像度が上がる。同じ人に「だったらこう?じゃなかったら、こう?」と聞くから、正しい仮説にたどりつく。

フィードバック回数最大化 = 気軽に毎回聞けるスキーム

インタビュイーをチームメンバーにすればいいのでは?そう考えた。そこで、見込み顧客である大学院生を採用するために、相当キテいたメンタルの最後の力を振り絞って全力でやったった。

・大学教育センターなどの採用媒体に採用広告を載せる
・友人知人に大学院生で働きたい人はいないのか?聞きまくる
・indeedなどのインターネット広告に求人を載せまくる

結果、一度もオフラインで会ったこともない人から奇跡的に大学院生を紹介していただいた。コロナもあったが、緊急事態宣言は明けていたし本当にこの戦略を実行できないとオワコンするって思ったから対面でお会いした。力を貸して欲しいことを全力で伝えた。奇跡的に力を貸してくれることになった。

課題に対する想いに人が集まってくる?

現役大学生をインターン採用という経営判断は、正社員0名、業務委託のみで構成された一期目のスタートアップとしてはもしかすると異例かもしれない。

キックオフから二日後、早速ユーザーインタビューを実施できた。現在までに10名のユーザーインタビュー実施できた。今年一番の正しい経営判断だったと思う。なぜ上手くいったのだろうか。彼が実現してくれたから今があるのは言うまでもない。

「偉大なことをしているのに研究が道楽だと思われている風潮に対して、本当に役立つことをしたいなと思います。一緒に考えていければ幸いです!」

と彼が話していた。ここに気づきがあった。

インターン生は私の話を聞きながら、私が心では思っているけれど言葉にはできていないことに、気づいてくれたのだと思う。

上手な言葉で表現しないと伝わらない、プロダクトを一言で説明できないピッチは洗練されていない。すべて正しいと思う。でも、私の話や言葉の中の行間を感じてくれる人もいる。ビジョンは伝えるものであると同時に、気づいてくれるものなのかもしれない。

気づいてくれる人の優しさが沁みた。気づいてくれる人をもっと大切にしたいと思った。

なぜ、戦略が実行できたのか?

身のあるユーザーインタビューは紹介に限る。特に一次紹介の価値は大きい。二次紹介以降はインタビュイーの確保が難しいからだ。一次紹介数が多いインタビュイー自身を採用すれば、ユーザーインタビューを安定して継続できると考えた。きっとこの戦略は正しかった。戦略は実現されないと意味がない。経営者は正しい戦略かどうかの判断だけでなく、なぜそれが実現されたのかまで考える必要がある。

今回、ビジョンに共感してもらえたから実現できたのだと思う。私はまだ使いこなせていないのだが。


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