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ユーザーインタビューに失敗した3つの理由

本記事は 株式会社パタンナー アドベントカレンダー 2021  11日目の記事です。

はじめに

まだ顧客開発の壁を超えられていない。リーン顧客開発について、自分の頭で考えて咀嚼しつづけている。今回はユーザーインタビューの失敗を振り返る。

1 見込み顧客とは何か?を考えていない

ユーザーインタビューとはお友達インタビューではない。お金を払えるお財布を持っており、お財布からお金お出してくれそうなユーザーのうち、お金を支払う”顧客”になりそうなユーザーのうち十数名にインタビューする行為がユーザーインタビューだ。

「リーン顧客開発」には『外へ出ろ!顧客に会え!』とだけ軽く書いてある。あまり深く理解せずにいると、とりあえずユーザーインタビューを実施しよう!やらないよりもやる!これが大事だ!と行動をはじめてしまう。これはね、ユーザーインタビューの罠だ。

インタビューは数を確保しようとするとリーンじゃなくなる。無駄が増える。インタビューの実施数だけを重視すると、だいたい自分が直接声をかけられる人から始める。すると、自分の友人がお金を払うであろう見込みのある顧客候補か深く検討することを忘れてしまうのだ。

2 決裁権者にリーチできない

toCサービスは当たるかどうかわからない。事業を固くやりたい人はtoBサービスを検討するだろう。おそらく社会人になって起業する人たちはtoBサービスのほうが多いんじゃないだろうか。

toBサービスでのユーザーインタビューは”決済権者”にインタビューすることが重要だ。支払う権利もない人にインタビューしたところで売上に繋がらないからだ。しかし、じゃないほう起業家である場合この壁をなかなか越えられないんじゃないかとおもう。日本の場合は特にそうだろうと感じた。

たとえば、学習塾の宣伝は校門で学生にティッシュを配る。そして学生から親御さんにリーチする。親御さんと一緒に学生が塾にやってくる。ここからクロージングだ。こういうスキームのようにインタビューを数珠つなぎさせたいと考える。

実際はちがう。20代後半の起業家の卵がユーザーインタビューを実施すると、インタビュイーは同年代の会社員になる。同年代の会社員は後輩の新入社員を二次紹介してくれるが、上司を紹介してくれる確率は異常に低い。というかほぼゼロだ。

自分の考えている事業アイデアを買うかどうか判断できる見込み顧客が、自分のリーチしやすい人材かどうか?を考えることはもっと重要視されていいとおもう。

事業アイデアを事業化するのって、起業家自身のディストリビューション(流通網)に依存する。

3 見込み顧客が少ない

ユーザーインタビューにおける最大のミスはこれだ。

落ち着いて戦略を考えれば見込み顧客を具体的に考えられる。お偉いさんにリーチする方法って時間はかかるからリーンじゃないんだけど方法はある。でも、見込み顧客を自分の力で増やすことはできない。マーケットは起業家がコントロールできない。

おそらくスタートアップの成功って運だよねっていわれる類のひとつだとおもう。たまたま見込み顧客が多い領域で事業アイデアを考えられた起業家はこの壁を無意識にぶっ壊している。そうでない起業家はずっとしぶいままだ。

ベンチャーキャピタルや投資家は、事業アイデアを考える時は創業者自身の想いや事業アイデアと創業者の経歴の関係性を重視する。いざ投資検討段階になるとマーケットサイズの問題にぶつかる。最低100億円以上の市場で10%のシェアを取らないと年商10億は論理的に不可能だからだ。年商10億が達成できないならIPOも実現できない。

平凡な俺は、難病患者を救えない

何がいいたいのかと言うと、事業アイデアが思いつくと使って欲しいユーザーに対してインタビューしたくなる。でもこれだと、PMF(プロダクト・マーケット・フィット)の壁を越えられない。達成できてPUF(プロダクト・ユーザー・フィット)だろう。これでは大きな事業は作れない。この現実がなかなか残酷だとおもった。

PMFできないで苦戦している起業家って、難病を救いたいお医者さんと似ている気がする。もし、自分自身ががん患者を救いたかったり、がんの研究に関心があったら、好きなことをやっていたら(難病よりもがん患者のほうが人数が多いから)自然に多くの人救える。そして、研究費用も集まりやすい。でも、難病を救いたい場合はどうだろう?

(中略)お客さんに使っていただいたり、資金調達をする前に『本当にこのスケールのビジネスでいいのか?』と考えたほうがいいと思います。もちろん、本当に自分が解決したい課題であれば市場規模が小さくてもいいんですが、僕の周りにはスタートアップで一山当てたいっていう人が多いんですよ。そういう人が小さい市場でビジネスをはじめると、はじめた後にビジネスを続けていくのが辛くなっていくと思います。大きく成功したいなら、大きな市場のなかで、大きな課題を見つけることだと思いますね」

「SmartHR」開発のヒントは超速仮説検証と、宮田氏が語る | STARTUP DB MEDIA | 日々進化する、成長産業領域に特化した情報プラットフォーム

スタートアップ起業家の取材記事って極力避けていた。広報とブランディングが上手なスタートアップって悪評がネットにはびこらない罠があるから。それでも、この記事にはとても大きな学びがあった。

原体験だけでは乗り越えられない壁が多いってことだ。

じゃないほう起業家はお金がないんだ。裕福じゃーない。じゃないほう起業家にはスキルの限界がある。挑戦する年齢が若ければ若いほど稼げるスキルも身につきづらい。稼ぎづらいんだ。ということは受託事業をやっていても上限値がある。資金調達に頼らないといけない。

お金がなかったり、自分ひとりではできないことを助けてくれる人たちに出会うと、応えたいっておもうようになるから不思議だ。助けてくれる人の数が増えてくると、一山当てないと恩返しできないし、恩返しするために一山当てたいっていう想いも強くなってくる。

難病を救いたいという気持ちをあきらめる必要がある。少なくとも、初手からは難病を救うことに挑めない。自分はマーケットに向き合うことにした。その結果、このあと数ヶ月くっそメンタル的に苦しくなってくる話は恥ずかしいから秘密ね!

ちなみに、SmartHRの場合は、さらに運がいい。マーケットが大きい領域の事業アイデアに対してファウンダーマーケットフィットできていることもまた運だから。

(つづく)


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