崎浜秀男

人間は時として生きる意味を考える。過去にタイムリープしてみれば、そこに生きる意味を求めた偉人たちを見出すことができる。私は歴史や哲学を教えた教師であり、思春期の子どもや親に話をするプロとして研鑽を積んだ。情報に振り回されている現代人、生きる意味を見失いかけた人に読んでもらいたい。

崎浜秀男

人間は時として生きる意味を考える。過去にタイムリープしてみれば、そこに生きる意味を求めた偉人たちを見出すことができる。私は歴史や哲学を教えた教師であり、思春期の子どもや親に話をするプロとして研鑽を積んだ。情報に振り回されている現代人、生きる意味を見失いかけた人に読んでもらいたい。

マガジン

  • コラム集 賢者の知恵

    教育者や管理職にとって、マイクの前で、印象深い訓話をするのは、研鑽を積まなければ難しい。この訓話集は、いにしえの寓話や故事や物語に説かれた普遍的なエピソードをもとに、短く、平易で、奥深い、現代人にとって役立つ重要な話材を提供している。ここには、正に「賢者の知恵」が凝縮されていて、常に携行したくなる一書である。この書をひも解けば、あなたは間違いなく、人々の心の拠り所と成れる。

最近の記事

真偽不明のSNSの拡散で始まるAⅠ時代の人間の非人間化

     中国の古典『韓非子(かんぴし)』の内儲説(ないちょせつ)・(上)に「三人成虎(さんにんせいこ)」、読み下すと「三人、虎を成す」という故事があります。     中国の戦国時代、魏の龐恭(ほうきょう)が、魏王に「町に虎が出たと一人が言ったら信じるか」とたずねて、魏王が「信じない」と答えたので、「二人の者が言ったら信じるか」と問い直したら、「もしかしたらと疑うかもしれない」と答えました。そこでさらに、「三人ではどうか」と問い直したら、「信ずるようになるだろう」と答えたとい

    • 自己中心的になりがちな自分に勝て

       なぜこの世の中に、争いはなくならないのでしょうか。人々が欲しがるものが空気のように無限と思えるほど豊富にあれば、争いは起きないでしょう。しかし、欲しがるものが少なく、その同じものをみんなが欲しがれば、争いが起き、激しい奪い合いになるでしょう。  争いから手を引くか、話し合ってみんなで分け合うかしなければ、争いは長引くことになります。第一次世界大戦が起こったのは、中東で発見された油田をめぐってドイツとイギリスが対立したことが主な原因の一つでした。「クリスマスまでには帰れる」と

      • 確かに自分の意志で選択しましたか

         マーク・トウェインの『トム・ソーヤーの冒険』に「ペンキ塗り」の話があります。  土曜日の朝なのに、主人公のトム・ソーヤーは、いたずらをしたために、ポリーおばさんから罰として、長さ30m、高さ2m70cmの家の板塀をペンキで白く塗る仕事をさせられるはめになりました。トムは、この仕事が面倒でなりません。どうにかして、逃げる手はないかと考えました。そんなトムをからかいに少年ベンがやってきました。  するとトムには素晴らしい霊感がひらめきました。ペンキ塗りを「さも楽しそうに」やり始

        • 幸せホルモンの増やし方

               わたしたちのストレスや痛みを和らげたり、幸福感をもたらしたりするものは、「幸せホルモン」とも呼ばれ、中でも、心の安定をもたらす「セロトニン」、意欲がみなぎる「ドーパミン」、優しい気持ちになる「オキシトシン」は、三大幸せホルモンと呼ばれています。これらは、どこでつくられ、どこへ、どのように伝わるのでしょうか。        神経伝達物質は、主に神経細胞(ニューロン)から放出され、隣接する神経細胞や筋肉細胞に作用し、興奮や鎮静などの反応を引き起こします。神経シ

        マガジン

        • コラム集 賢者の知恵
          9本

        記事

          人間だからこそ起きた未曽有の災害

           2003年2月に韓国東南部の大邱(テグ)広域市で発生した地下鉄車両に対する放火事件では、乗客など192人が死亡し、148人が負傷する大惨事となりました。死者が多かったのは、犯人が放火した車両ではなく、火災発生から3分後に入線した対向車線の列車内であり、おそらくこの車輌の車掌や乗務員も状況を把握していなかったに違いありません。この対向列車内で撮影された写真では、避難指示はなかったとはいえ、目の前まで煙が充満しているにもかかわらず、人々は平然と座席に座っている姿が写し出されてい

          人間だからこそ起きた未曽有の災害

          青年よ!人生の土台を作り、根を深く張れ!

                西の国に一人の大金持ちがいました。その家は二階建ての立派な邸でその豪華さは他に並ぶものがありませんでした。     ある時、その大金持ちに東の国の大金持ちから招待があり、邸に招かれました。するとどうでしょう。東の国の大金持ちの邸は四階建ての立派な邸で、その豪華さは自分の邸をはるかに上回っていました。西の国の大金持ちはあのような立派な邸を造れる大工はいないかと探しました。すると国一番の腕前といわれる大工が邸に連れてこられました。西の国の金持ちは「お金はいくらでも出

          青年よ!人生の土台を作り、根を深く張れ!

          感染症パンデミックの社会的影響

           1347年から1350年に大流行し、3000万人を死に至らしめたペストは、この期間だけでヨーロッパ人口の3分の1の命を奪ったといわれています。中央アジアの風土病に過ぎなかったペストが、なぜヨーロッパに瞬く間に広まり、14世紀全世界で1憶人もの人が死亡したのでしょうか。そして、ペストが与えた社会的影響はどのようなものだったのでしょうか。  ペストは、ネズミなどに寄生するペスト菌という細菌がノミを介して人にうつり、さらに人から人へと飛沫感染するとされ、発熱、嘔吐、下痢が続き、

          感染症パンデミックの社会的影響

          沈黙が際立たせる一言の重み

           ものすごく混雑した電車の中にいると、目的の駅で、はたして降りられるかと不安になることがあります。わずかな停車時間に、沈黙のまま、人をかきわけ、かきわけ、必死になって降りていく人の群れを見ていると、それだけで十分大都会がいやになってきます。  しかし、ある時、わたしは、そんな大都会にありながら、とてもさわやかな光景に出会いました。そして、その時程、言葉を発するということが如何に人間的で、しかも大切な行いであるか、ふと気づかされたのです。  夏の朝、大混雑した電車が、とある駅

          沈黙が際立たせる一言の重み

          トップリーダーの要件

           人は誰でも間違いを犯すことがあります。しかし、問題は、間違いに気づいても改めないところにあるのです。「過ちて改めざる、これを過ちという」(孔子)と言われるように、気づいて改めなければそれは本当の過ちとなり、悪となってしまいます。つまり、人間は、自分の過ちにはなかなか気づかないものであり、わかっていてもそれを認めたくない、というのが凡人の常ではないでしょうか。  18世紀のイギリスの政治家フィリップ・チェスターフィールド卿は、「忠告は滅多に歓迎されない。しかも、それを最も必要

          トップリーダーの要件

          ハヤブサとフクロウの真逆な生存戦略

           頂点捕食者というのは、「その動物の活動する生態系圏内で自分を捕食しにくる敵がいない」状況にある動物のことをいいます。生態系のピラミッドの頂点にいて、無敵に見えますが、逆に個体数は少なく、絶滅しやすい存在でもあります。そんな頂点捕食者に、猛禽類がいます。捕食される側の鳥たちは、目が横向きについています。左右の単眼の視野をあわせると300度を超える鳥もいます。自分を狙う天敵がいないか、常に警戒しています。一方、猛禽類は両眼とも前向きについています。後ろが見えない分、視野は狭いで

          ハヤブサとフクロウの真逆な生存戦略

          すべてを得ようとするとすべてを失う

             ロシアの文豪・トルストイの短編に『人にはどれほどの土地が必要か』という作品があります。それは、パホームという主人公がパシキール人に贈り物やお茶を分け与えたお礼に、彼らの土地を安価で分けてもらうという話です。そのお礼の土地とは、一日で歩いてもどって来られる範囲なら、いくらでも同じ値段で売るが、万一、元の場所までもどれなかった時は、土地は売らないというものでした。  日没までに、パシキ―ル人の村長が目印に置いた帽子のところにもどってこなければなりません。日の昇る方へ歩き出

          すべてを得ようとするとすべてを失う

          「コブラ効果」は、なぜ起こるのか

              イギリスによる植民地時代に、インドを統治していたインド総督府は、デリーにおける多くの毒ヘビによる被害、特にコブラに噛まれて亡くなる人が相次いだことを脅威と感じ、コブラを撲滅するため、コブラを駆除した者に報酬を与えるという政策を実施しました。それは、コブラの死骸を役所に持ってくれば、その数に応じて報酬が受け取れるというものでした。最初のうちは報酬目当てに多くのコブラが捕獲されたのでうまくいくと思われましたが、コブラの死骸を多く持ち込めば収入が多くなるのなら、コブラを捕獲

          「コブラ効果」は、なぜ起こるのか

          人生を早送りする魔法の糸

               録画した映画を早送りしたり、偉人伝のページを飛ばして読むように、自分の一生を時々早送り出来たら、どうでしょうか。努力も苦労もなしで、手に入れたいものが手に入り、望みの時が早送りでやってくるとしたら、人生はこの上もなく楽しいものになるでしょうか。そんな物語が、フランスの寓話『魔法の糸』です。    あるところにピーターという少年が母親と二人きりで暮らしていました。ピーターは空想好きで、現実の学校生活を楽しむことはできませんでした。ピーターが一番楽しい時は、ガールフレン

          人生を早送りする魔法の糸

          物事をどう解釈するかで人生は変わる

           世界中をまわっていた旅人が、ある町外れの一本道を歩いていると、一人の男が道の脇でレンガを積んでいました。 旅人はその男のそばに立ち止まって、「ここでいったい何をしているのですか?」と尋ねました。「何って、見ればわかるだろう。レンガ積みに決まっているだろ。朝から晩まで、俺はここでレンガを積まなきゃいけないのさ。あんたにはわからないだろうけど、暑い日も寒い日も、風の強い日も、日がな一日レンガ積みさ。腰は痛くなるし、手はこのとおり。」男は自らのひび割れた汚れた両手を差し出して見せ

          物事をどう解釈するかで人生は変わる

          「面従腹背」を強いる組織は崩壊する

           「面従腹背」の語源とされる語は、古代中国の歴史書「書経」にある「面従後言(めんじゅうこうげん)」とされています。「書経」には、中国の神話に登場する王の舜(しゅん)が、次の王となる禹(う)に、「汝面従して、退きて後言有ること無かれ」(表面で服従し、裏で陰口をいってはいけない)と伝えたという話があります。ここから、「面従後言」は「表向きは服従して、裏では陰口をたたく」という意味で使われるようになり、後に日本では、「面従腹背」といって、表面上は相手に従っているふりをしながら、内心

          「面従腹背」を強いる組織は崩壊する

          人材を集め育てるには、「先ず隗より始めよ!」

             紀元前3世紀中国の戦国時代、「戦国の七雄」と呼ばれた国々の中でも、斉(せい)の国は、他のどの国も逆らえない程の強国でした。斉は北隣の燕(えん)に国内で王位継承をめぐる内乱が起きたのに乗じて、燕を斉の国の属国としてしまいました。そこで燕の昭王(しょうおう)は人材を集め国力の充実を図ろうとします。   『戦国策』の「燕策(一)昭王」によると、戦国時代の燕の昭王(在位前311~前279年)は、小国の燕を強国にするためには、まずどのようにして優れた人材を集めたらよいかと賢者と

          人材を集め育てるには、「先ず隗より始めよ!」