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西部戦線異状なし 感想

本日3月13日に発表されたアカデミー賞にて撮影賞、美術賞など4部門受賞した西部戦線異状なしをNetflixで見た時の感想です。
途中一時停止しないと見ていられない衝撃的な内容でした。R16+作品。

<あらすじ>
第一次世界大戦中の欧州。祖国ドイツのために戦おうと意気揚々と仲間たちと西部戦線へ赴いた17歳のパウル。しかし、その高揚感と志は、最前線の凄惨な現実を前に打ち砕かれることになる。

<補足・冒頭シーン>
西部戦線とはスイスからフランスにかけて数百メートルおきに掘られていた塹壕戦のことです。
冒頭、ハインリッヒという青年の突撃シーンから始まります。
白兵戦では銃剣で刺すと引き抜きづらいため、塹壕構築用のスコップで殴り殺す方が有効であった。といった軍事的な考証が再現されています。
冒頭の4分の映像は↓

本編では、この後
突撃で死んだ兵士達の軍服を脱がして埋葬→着ていた軍服・ブーツを洗浄→ミシンで縫い直し→主人公たちの手に渡ります。
主人公の手に渡った軍服にはハインリッヒのタグが…「別の人のでは?」と主人公が返そうとすると、お偉いさんが「彼には小さすぎたんだろう」タグを引きちぎり、「頑張れよ」と軍服を差し出す。
ここまで13分。
もうキツイ。。。
「数週間後にはパリにたどり着ける」という話を聞き、意気揚々と出兵する主人公が数分後には残酷な現実を目の当たりにします。

<感想>
細部に工夫がなされている圧倒的な映像体験は素晴らしかったです。
軍事的な考証は徹底されており、
当時の歩兵銃、拳銃、手投げ弾、軍服、輸送車、フランス軍のサンシャモン戦車までも再現。死体はCGではなく人形。
数百人のエキストラの突撃シーンではそれぞれにメイクを施し、数時間もかかった模様。
詳細はYouTubeにあがっている舞台裏映像にて↓

塹壕戦や毒ガス、火炎放射器、戦闘機といった近代兵器の惨さと、
ガチョウを食べ歓喜する姿、故郷を思う素朴な気持ち・小さな幸せのシーンを交互に見させられることで、反戦感情を掻き立てられます。
消耗品である1人の兵士の視点で描かれているからこそ伝わるものがありました。戦争映画としてはプライベートライアン並みの名作です。

ちなみに、タイトルは司令部への報告書に書かれた内容が由来らしいですが、どう考えても異状しかありません。
最後にタイトル表示されたときは「いやいやいや」と思いながらも、
皇帝・上官にとっては停滞している戦線=(多くの兵士は死んでいるが全体としては)異状なしという意味を感じ取り、感慨にふけりました。

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