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エルフ湯つからば(西義之)

異世界ファンタジーもので、ながらく謎とされてきた冒険者たちの公衆衛生に関する疑問について、ひとつの答えが出ました。
それがこのマンガ「エルフ湯つからば」です。
作者は西義之。少年ジャンプで「ムヒョとロージーの魔法律相談事務所」などを描いてきた方です。
作品のあらすじというか、世界観はこんなかんじ。
「冒険には心強い仲間や強い武器も必要だが、傷ついた時の癒やしも重要である。浸かればあらゆる疲れや汚れを洗い流してくれるという幻の移動温泉「エルフ湯」。たった一人で温泉を率いる番頭・ユフは、懸命に冒険者の「癒やし」のために風呂を入れてくれるという・・・。異世界を舞台に繰り広げられる、まったく新しい冒険物語、開幕!」

エルフのユフさんが屋台?のお風呂を提供してくれるという、異色のファンタジーです。
西先生、ジャンプ出身だけあって、バツグンに絵が上手い。
移動温泉とか薬湯の材料とかユフさんの衣装とか、いろんな細かい部分にデザインセンスの良さが光ります。(ユフさんの衣装は風呂屋の三助の衣装をモチーフにしていて、異世界感とセクシー度がプラスされています。)
移動温泉のしくみなどは、セリフではなく、絵で見せてくれる辺りが、じつにプロの仕事らしい。

管理人がこのマンガを初めて読んだのは、某SNSです。タイムラインに第1話が流れてきたのを何気なく読んで、その発想のユニークさに驚きました。
エンターテインメントは数多ありますが、異世界とエルフと風呂という三題噺は未開拓でした。
その後、コミックスの1巻を手に入れたので喜んで読んでみました。5話まで収録されていて、どのエピソードも傑作です。
エルフ湯は作中では「伝説」「絵本の物語」ぐらいのレベルで伝わっている「幻の湯」です。単に汚れを落とすだけでなく、人生を一変させるほどの癒しの効能がある「秘湯」なのです。
エンタメの王道として「カタルシスを与える」というものがありますが、このマンガは文字通り、登場人物にも読者にもカタルシスを与える効果をもっています。
その過程についても、セリフではなく「絵」で見せるところがこの作品の見どころです。
コミックスは現在1巻まで発行されていて、連載がしばらく止まっていたようですが、再開の運びとなったようです。
西先生のご活躍に期待します。

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