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学級経営において最も大切なことは何か

学級経営において最も大切なこと。
それは、「聞く力」のある子ども集団にしていくことである。

そのやり方や考え方については次の本に詳しく書いた。
先日、校内研修会でも話をさせてもらったので、ここについて記す。

この本の中では、ざっくりと捉えられがちな「聞く力」を3つに分けて考えている。

1 聞く心
2 聞く頭
3 聞く体

1~3の番号は、序列、重要度でもある。
そして、指導のしにくさの順序でもある。

聞く心とは何か。
聞こうとする気持ちのことである。
関心や意欲といった情意面といえる。

例えば、自分が大好きな誰か(有名人でもそうでなくてもいい)が何か話していたとする。
間違いなく、心から意欲的に聞こうとする。
また、好きな話題であってもそうだろう。
これが、聞く心が働いている状態である。

聞く心は、状況に左右されやすい。
興味の範囲が広い人や何事にも謙虚な人はここが強い傾向があるが、それでも限界はある。
好きでもない話でも頑張って聴こうとしている時点で、実はあまり興味がないといえる。

聞く頭は、知識・技能といった面である。
聞いた物事をわかりやすく可視化して理解したり、イメージしたりできる力であり、理解力である。
一方で、例えば極端な話だが、全く知らない言語が相手だと、どんなに心を働かせて頑張っても太刀打ちできない。
「聞く頭」は、個人の知識量に左右される。
そして年齢を重ねるほど高まる力でもある。

聞く体とは、技能であり表現である。
聞こうとする姿勢であり、パフォーマンスである。
良い姿勢での聞き方、立腰ができているのは、これが発揮されている状態である。
頷いてきく、相手の方を向く、頬杖をつかないなどもこれに含まれる。

これらを分けて考えて、子どもの聞く力をつけていく。

直接指導できるのは、聞く体だけである。
ここだけは、直接的に変化を起こせる。
少なくとも、理論として知れば見た目は変えられる。

間接的に指導できるのは、聞く頭である。
知識量は指導で増やせる。
ただし、前提としてやはり教える際にも相手の知識量に依存している。
相手のレベルにある程度合った話しか入りようがないというあたり、依存度が高い。

そして、聞く心の指導は難しい。
心、つまり関心や意欲は相手次第である。
上手く工夫すれば、関心をもってもらいやすくすることはできるかもしれない。
しかし、結局どんなに工夫しようが、やはり相手次第であり、そこは完全に相手に依存する。

当然だが、外国籍で日本語があまり理解できない相手に、どんなに熱心に語ろうがわからせようとしようが、限界がある。
この場合は「聞く力」の方ではなく視覚的手段にシフトするなど工夫が必要となる。

つまり、学校現場において「子どもが聞かない」という問題は、3つのどれに当てはまるか分析する必要がある。

よくあるおしゃべりして話を聞かないとか聞く態度が悪いというのは、心と思われがちだが、実は「わからない」が原因のことが多い。
聞いて理解できるような授業をしないで、「子どもたちにやる気がない」というのはお門違いである。
授業内容が理解できないから、興味がもてないという可能性を疑う必要がある。
また、身体表現としては全く聞いていないようで、かなり意欲的に聞いていたり、理解していたりすることもある。

これら一つ一つを分析しつつ対応していけば、聞く力をつけていきやすい。
結果的に、落ち着いて、意欲的に、円滑なコミュニケーションがとれる子どもが育つ。

聞く力は学級経営の中心である。

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