【2022/11/08~2024/02/27 Vol:7】
愛する娘 遥へ
遥が逝ってしまってから49日の間
貴方の彼氏は毎日来てくれていたよ
ローソクに火を灯し お線香をあげて
父さんと一緒に晩御飯を食べて
時には笑いながら
時には悲しみに満ちた
時間を共に過ごした
最初に彼氏に会った時には随分と年下に見えたよ
確か事務所の外であなたが彼氏を待たせているときに
父さんがばったりと帰ってきた時だった
軽く会釈をして照れ臭そうに
離れた場所であなたを待っていた様子
今も目に浮かぶ
遥が逝って 彼氏も随分と寂しく悲しい想いだったろう
一人娘を先に亡くす想いは父さんにしか分からないのと同じで
一緒に暮らしていたパートナーが先に逝く経験は彼にしか分からない
ただ分かる事は
とてつもなく悲しく
寂しく
絶望の淵に立たされてしまったことだけ
彼氏は父さんのことを心配してくれていたよ
優しい良い男だね
遥が病に臥せってから
父さんも同じく体調が日に日に悪くなり
本心で言うと遥が逝くなら一緒に逝ってしまいたいとさえ思っていたよ
だけど現実は遥が先に逝ってしまい
残される者の悲しみは日に日に大きくなり
その悲しみの大きさは計り知れないことも学んだ
母さんや家族がどれだけ悲しむかを考えたら
軽はずみに思ってはいけないことだと感じたよ
何とか夏を迎えるころには日常に戻りつつあった
仕事もしなくちゃだし
何より前向きに生きていかないと
遥にも彼氏にも心配させ続けちゃうなと思った
何より母さんには遥が無くなった悲しみと一緒に
生きている父さんの心配をさせる事にも
申し訳なく感じたから
きっと父さんと同じくらい
もしかしたらそれ以上の悲しみの淵に居るかもしれない
ようやくそんな風に考えることが出来るようになった夏
毎月一~二度 遥の彼氏には会っていて
近況報告や遥との楽しい思い出話を
聞かせてもらっていたんだよ
籍こそ入れていなかったけれど
遥と彼氏が真剣にそういったことを考えていたこと
彼氏に聞かされてからは自分の息子のように向き合ってきた
母さんは特に愛おしく思っていたと思う
マー君とお付き合いしていた時から考えると
彼氏の方が遥を大切にしてくれていると感じたんだろうね
それが終わりを迎えるとは
8月8日最後に会った日は遥の月命日だったよ…
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