逃避の散歩 11.蛇崩川緑道(その1:親和橋跡から茶屋下橋跡)
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ほどほどにいい天気の昼下がりに、自分は「親和橋を偲ぶ」と刻まれた石柱の前にいる。
東急世田谷線の世田谷駅か松陰神社前駅から10分くらいのところ、弦巻通り沿いにある。背後には横断歩道があり、歩道が左右にある。右は弦巻通りのもので、左は「蛇崩川緑道」と呼ばれる暗渠。
いまいる場所はその蛇崩川緑道の起点ということになっている。
これから、この蛇崩川緑道を歩いていく。今回は、ただ歩くのも面白くないので、暗渠であったことを示す橋跡の写真を撮りつつ、どのくらいの時間で抜けるか計測する。タイムアタック逃避とでも言っておこう。
暗渠でありがちなこととして、車が良く通る道路を渡る際に目の前に横断歩道がなく、続きを歩くには左右の横断歩道で遠回りしなければならないことがある。安全面も考え、自分は道路交通法を守って歩きたいので、2車線以上の道路では近くの横断歩道を渡ってから続きを進む。
今いる石柱を撮った時間から開始。いきなりだが、横断歩道の信号が赤なので、青に変わるまで待機。
スタートから1分経過。信号が青に変わった横断歩道を渡り、目の前に見えていた親和橋跡を通過。そもそも、この横断歩道が橋跡だが、それはそれ。
ところで、この辺りの橋跡を確認する方法の多くは、傷み具合がまちまち、かつ統一されていない車止めに貼られている申し訳程度の名称シールだけだ。これから、雰囲気が感じられない車止めの写真がたくさん出てくることは事前に伝えておく。
これより、本格的に蛇崩川緑道を進む。
左右を住宅に挟まれ、植物が生い茂る暗渠を歩いていく。しばらく脳内BGMはリズム・ヘリテッジの『Theme From S.W.A.T.』(『特別狙撃隊S.W.A.T.』のテーマ曲)にしよう。荒廃した古代の道を歩いているという誇大妄想も働かせて。
スタートから2分経過、駒沢橋跡を通過。
目の前は2車線の道路なので、右側の弦巻通りにある駒沢中学校交差点の横断歩道を渡って向こう側へ進む。早くも遠回りだ。
横断歩道に差し掛かるところで、信号が青に切り替わり難なく渡る。
スタートから4分経過、緑道の続きは並木のお出迎えだ。短いけど。
この並木の先には小泉公園がある。道は公園の敷地を通っているので、そのまま真っ直ぐ通り抜ける。
スタートから5分経過、公園の端にある小泉橋跡を通過。
またしばらくこの先は住宅の間を通る狭い道となる。
ここで脳内BGMはクインシー・ジョーンズの『Ironside』(『鬼警部アイアンサイドのテーマ』)に切り替える。
スタートから6分経過、向橋跡を通過したところでまた2車線道路だ。右側の鶴巻通りまで行き、上馬四丁目交差点の横断歩道を渡る。
経過時間からわかる通り、平均で徒歩1分ほど、短いと徒歩数十秒の間隔で橋跡が存在する。そんなわけで、撮影の方が時間掛かるかもしれない。
緑道の続きに入って気づいたが、道は緩やかではあるが左右に蛇行している。それで少し先がはっきりとしないので、夜歩くには不安になりそうだ。一応、街灯があるにはあるが、それでも申し訳程度だ。
そう考え事にふけりながらスタートから8分経過、田端橋跡を通過。
暗渠ではよくあることだが、その例に漏れずこの緑道は舗装が統一されていない。アスファルトから、いきなり敷石風の板になったりする。車止めも形状や色がバラバラで、傷んでいたりスプレーでいたずら書きされた形跡が残っているものがある。
スタートから9分経過、宮前橋跡を通過。
いままで静かだった道も、ここを越えたあたりから駒留通りの騒音がはっきりと聞こえてくる。
スタートから10分経過したところで、駒留橋跡に着く。目前に見えるのは環状七号線の駒留陸橋だ。
少し気分を落ち着かせたくなったので、脳内BGMをビートルズの『Blackbird』をジャコ・パストリアスがインストゥルメンタルでカバーしたものに切り替える。原曲よりこっちが好きだ。
ここが橋跡であることを示す名称のシールは、目の前の傷んだガードパイプにさりげなく貼られていて、うっかり見逃しそうになる。
横断歩道を2回渡って12分経過、三軒茶屋寄りの駒留橋跡を通過。急に車止めが立派になった。
さっきまで、二人横並びになるのが精いっぱいな住宅の間にある狭い緑道が、この駒留橋跡から道が広くなる。
すぐ先には次の橋跡が、そして奥には東急線世田谷線の三軒茶屋駅があるキャロットタワーが見える。
13分経過、実際には駒留橋跡から1分経っていないが、鎌倉橋跡を通過。撮影時間の方が明らかに長い。そして、ここからわずかな間は車道と並行しながら進むことになる。
先を進むと2車線の道路に遭遇したので、また右の弦巻通り側にある横断歩道を渡って続きに移動。ここで信号待ちをする。
16分経過したところで、新開橋跡を通過。確認に少し手間取った。
車止めの色とシールの経年劣化でわかりづらいが、右側にうっすらと文字が見える。これの確認に手間取った。さっきの駒留橋跡に続き、うっかり見落としそうな表示がまた一つ。
表示の統一性のなさはこういう暗渠でよくあることとはいえ、こういうわかりにくいものを見かけると不親切だといつも思う。
スタートから17分経過。新開橋跡から数十秒くらいで郷之橋跡を通過。
この橋跡の左側には、広場同然ながら小さな滑り台がある三軒茶屋公園がある。そして道は再び住宅に左右を挟まれる。
スタートから18分経過。大和橋跡を通過。
スタートから19分経過。弦巻通りと交差する水道橋跡を通過。
世田谷区の水道橋は多くの人が行き交うこともないし非常に地味だ。
スタートから20分経過。右側に丸山公園がある丸山橋跡に着く。
ここらで脳内BGMを軽い感じのものにしたくなったので、ソルト・ン・ペパーの『Shoop』に切り替えるか。
目の前にはガードパイプがあり、右側にある丸山公園前交差点の横断歩道を渡って先を進まなければならない。
信号が青に変わり横断歩道を渡る。続きを進むと、また道がやや狭めになる。木々とその葉でトンネルっぽくなったその先を抜けると、世田谷警察署と世田谷郵便局の裏側に出る。
世田谷警察署は昔一度だけ免許更新でお世話になったことがあるけど、以降はゴールドになっていて、更新するには住んでいる場所からは都庁が近いので以降利用していない。
道が少し幅広くなり、そのまま進むと、ガードパイプのそばにベンチやちょっとしたストレッチなどができる器具が置かれた申し訳程度の公園っぽいスペースがある。
スタートから23分経過。市場橋跡を通過。車止めのシールの位置は左下にあった。また間違い探しのような意地悪な表示だ。
市場橋の先を進み、行く先を塞ぐように通っているのは、国道246号線と首都高速3号渋谷線。
視線の先にあるビルの間がこの続きだ。
もちろん、このまま渡れるわけがない。
右の世田谷郵便局前にある、この道路と駒留通りと世田谷観音通り、三つの道が合流する世田谷警察署前交差点を渡って、先に進む必要がある。
あ、そろそろBGMを切り替えるか。
E-Z Rollersの『Walk This Land』にしよう。
世田谷郵便局前の横断歩道を渡り、緑道の続きまで移動し、階段を降りていく。左奥に小さな神社が見え、進行方向奥に次の橋跡がある。
スタートから28分経過、茶屋下橋跡を通過。目を凝らせば一応字が読めるので間違いない。
とはいえ、いくらなんでもこれは酷いと思いつつ、ふと向かいを見ると……
こっちの方は字がはっきりしている。しかし、こっちもシールが劣化しているな。
ここから次の橋跡が見える。撮影も済んだので進もう。