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アニソンは作曲家で聴け!♯23「齋藤真也」『空色デイズ』

前回、作曲家の山田高弘さんを扱ったわけですが
彼のクレジットでよく編曲に名前を連ねているのが齋藤真也さんなのです。


<序章>編曲家として

とはいいましたが、山田高弘だけでなく、
ほんとあらゆるところで見かける名前でもあります。
特に印象深いのが、fripSideの八木沼悟志との連名
なんでもワンマンで一人で全部をこなしたがりそうな八木沼と、たまにではありますが長い間共同作業者として君臨しています。

それだけの信頼を寄せられているのか、はたまた別の理由なのかは分かりかねますが、編曲家として数々の名曲に「編曲:齋藤真也」がクレジットされているのです。

おそらく彼の最古のクレジットとして確認できるのが――

Believe / 玉置成実

機動戦士ガンダムSEED】オープニング。作曲はあおい吉勇
平成ガンダムオープニングらしいトランスとライトロックの融合。
デビュー作かどうかは調べてもよく分からなかったんですが、最初期からいきなりヒット作に関わっているというわけですね。
これが齋藤のお得意のアレンジなのか、この感触はまさにアニソンとの相性が抜群によく、この路線でまさしく名前を上げていきます。

おそらく八木沼からの信頼はこの部分で勝ち取ってることは想像に難くありません。
最新のfripSideアニメタイアップでもその手腕は十分に発揮されました。

Secret Operation / fripSide feat. Yoshino Nanjo

夜桜さんちの大作戦】オープニング。
20年経っても変わらない老舗の味!なんと心地のいいトランスロック!
正直八木沼だけでもこれくらいのアレンジをかませそうな気がするんですが
わざわざ編曲を齋藤真也に任せるだけの理由があるのでしょう。
しかも二代目ボーカルの南條愛乃との重要なコラボ曲での起用。
凄い信頼感です。

こうして編曲家としてのイメージが強い齋藤真也ですが、
アニソンファン的にもアンセムとなる神曲を生み出してその歴史に名前を刻むことになりました。

それが――

ギザ神曲:『空色デイズ』

空色デイズ / 中川翔子

天元突破グレンラガン】オープニング。
アニメファンなら知らない人はいないであろう神曲がリリースされました。
同時に中川翔子の名前も日本中を席巻することになります。
当時はアニメを見ていなかった私でさえその名前を知るほどにこのアニメは大ヒットしましたし、それと同じくらいこの主題歌も評価されました。

これを作曲したのが齋藤真也。
それまでもアニメ・ゲームの編曲を中心に活躍してたのですが
ここにきて一気にスターダムへとのし上がるわけです。

アニソンの評価はカバーされる数と比例します。
私のライブラリで確認できるのはなんと21アーティスト。

井上麻里奈:おそらく【グレンラガン】出演ということで選曲。
BabyDollSynphony:ティッシュ姫を擁するロックバンド。
花たん:ニコニコ動画の「歌ってみた」で著名な歌い手。
秋月律子(CV.若林直美):【アイドルマスター】企画での歌唱。
富田麻帆:カバーアルバムで本人が好きということで選曲。
168-one sixty eight-:ヴィジュアル系バンド彩冷えるのボーカル。
Mitchie M×ちtoせ:テレビ東京×ニコニコ動画のソニー主催の企画。
EMERGENCY:小野坂昌也主催のEDMユニット。小林ゆうが歌唱。
Trefle:声優アイドルユニット。鹿野優以と後藤友香里がデュエット。
アフィリア・サーガ:志倉千代丸プロデュースのアイドル。
Eizo Sakamoto×湯毛×高濱祐輔:坂本英三のハードロックプロジェクト。
The Sketchbook:【SKET DANCE】発祥のバンド。
昴×風弥:ヴィジュアル系バンドRoyzのボーカルとDaizyStripperのドラム。
榊原ゆい:AngelNote監修のカバー企画。
Pile:【ラブライブ】声優。中川翔子ともコラボしていた。
氷堂美智留(CV.矢作紗友里):【冴えない彼女の育てかた】劇中歌。
vip店長:ニコニコ動画の「歌ってみた」で著名な歌い手。
Souwer:同人サークルZERO SOUNDS主催のロボットアニメカバー企画。
かしこまり:Vtuberのカバー企画。
Poppin'Party:【バンドリ】のカバー企画。
平野綾:声優アニソンカバー企画「CrosSing」。

これだけのアーティストにカバーされる曲ってのは神曲の証でしょう!
『残酷な天使のテーゼ』と並ぶほどの数ですよ。
そんな齋藤真也はこれを期にアニソン主題歌を連発します。
まさに売れっ子アニソン作家として名を轟かせることになるのです。


齋藤真也のアニソンの歴史

Faze to love / 橋本みゆき

ガンパレード・オーケストラ】オープニング。
アニメは観てませんが原作は好きで読んでました。
玉置成実の『Believe』を思わすトランスロックでまさにロボットアニメの主題歌といった感じ。王道でかっこいい!
橋本みゆきもゲームソングが好きで集めていましたしね。
ゲームも全然やってないんですけど。


たったひとつだけ / yozuca*

タクティカルロア】オープニング。
こんなタイアップがあったこともこんなアニメがあったことも今知りました。笑 yozuca*もゲームソングが好きで以下略。
デジタル成分は薄く『空色デイズ』と似た感触ですね。
逆にyozuca*としては珍しい曲調かもしれません。
yozuca*提供曲では『believe yourself』のほうが好みです。


少女迷路でつかまえて / 美郷あき

ストロベリー・パニック】オープニング。
美郷あきもゲームソングが好きで以下略。
どんなアニメかは知らないんですが意味深なタイトルが訴求力ありました。
歌詞もそんな感じですごく気になりますね。百合っぽい感じでしょうか。
ミステリアスで妙に気に入ってた曲です。
他にも『Goal to NEW WORLD』と『here I am』も提供していていずれも良曲。


NEOPHILIA / 平野綾

タイアップはアニメではないんですが平野綾の5thシングルとしてドロップ。
アイドル売りしていた当時としては珍しくクールな曲で気に入ってました。
これ以降かっこいい曲も増えていくんでそういう意味では転機になった曲かもしれません。
アルバム「RIOT GIRL」では『星のカケラ』『Harmonia vita』も提供しておりどれも好みの楽曲。信頼の実績です。
同時期に水樹奈々にも3曲提供してるので、平野綾的には嬉しい楽曲提供だったんじゃないでしょうか。


unripe hero / 栗林みな実

BLASSREITER】オープニング。
栗林みな実も以下略なんですがアニソンタイアップも多いのでこの曲もそうだったかーという感想。齋藤真也、ロボットアニメの主題歌多いですね。笑
たぶん発注がそうだと思うんですがこれも『空色デイズ』っぽいです。
えぇ思惑通り好きな曲ですよ!
アルバム「mind touch」には『桜時計』と『Heart All Green』も提供。
この季節は『桜時計』が聴きたくなります。


AROUSING SOUL / 飛蘭

CANAAN】オープニング。オリジナルアニメビデオのほう。
【CANAAN】は「CANAAN Inspired album」というアルバムも出してるくらいなんで飛蘭を多用してる上にそうじゃない曲も良曲多いんですよねぇ。
バンドアニメか何かだったんでしょうか。まぁなんであれ関連曲が多いのは個人的には嬉しいです。ちゃんと音源化されるので。笑
飛蘭には『LOVED SEASON』も提供しています。


ENERGY / earthmind

ビビッドレッド・オペレーション】オープニング。
やっと見てるアニメに追いつきました。
このearthmindというバンドが不思議で、ボーカルは声優とは無関係のグラビアモデルさんで、なのにアニメタイアップが多くて、私はベースの高井淳が目的で集めたんですが、作曲は全部メンバーじゃない齋藤真也で、という謎のバンドだったんですよね。
結果的にいい曲が多かったんでナイスなプロジェクト!とは思ってたんですが。
そういえばこのバンドでも【機動戦士ガンダムUC episode 4】に、つまりロボットアニメに提供しています。


トコハナ / やなぎなぎ

ブラック・ブレット】エンディング。
アニメが非常に面白かったのでとても印象に残ってる楽曲。
であると同時に齋藤真也楽曲で一番好きな曲!
やなぎなぎには【AMNESIA】の『Zoetrope』他、合計6曲も提供。
やなぎなぎ×齋藤真也は良い曲しかないのでオススメです。


ZoNE-iT / KOTOKO

白銀の意思 アルジェヴォルン】オープニング。
トランスが得意ならやはりKOTOKOへの提供は免れないでしょう!
【シンカリオン】の『Fastest!』でも同タッグが見られます。
どちらもオープニングらしい疾走感ある楽曲でいいんですが
個人的には『サクラノアメモエギノヨ』を推したいところ。
季節感のあるミディアムな曲調で歌詞が染みるんですよ。


eternal eternity / セーラーウラヌス×セーラーネプチューン

美少女戦士セーラームーンCrystal】エンディング。
齋藤真也にしては珍しいキャラクターソングに属する楽曲。
デュエットというのも珍しいかも。皆川純子×大原さやか。
女王蜂が歌ったヴァージョンもありますが。
リメイクセーラームーンの楽曲は好きな曲が多くていい企画でしたね。
アルバムは好んでよく聴いてます。


消えない宙 / 昆夏美

劇場版 マジェスティックプリンス】エンディング。
昆夏美はほんとに出した作品が少ないのに好きな曲が多い!
どうしてアーティスト活動が短命だったんだ?売れなかったのか!?
こちらもロボットアニメということでやっぱり『空色デイズ』っぽいです。
完全に齋藤真也はコレ!というイメージがついてしまってますね。


えんどろ~る! / 勇者パーティー [ユーシャ(CV.赤尾ひかる), セイラ(CV.夏川椎菜), ファイ(CV.小澤亜李), メイ(CV.水瀬いのり)]

えんどろ~!】オープニング。
ラストはハッピーで緩い萌えアニメの主題歌で。
逆にこれまでの曲とは一味違った感触で新鮮な気がします。こういう曲も作れるのか!さすが職業作家です。この編曲も珍しい気がしますね。
声優的にも美味しいのでコレクターアイテムとしても貴重です。
アニメも面白かった記憶。


その他オススメ齋藤真也楽曲

ではその他ノンタイアップの曲をピックアップしてみましょう。

もうひとつの夜明け / 高橋瞳

デビュー曲である『青空のナミダ』のカップリング。
表題曲が評価されすぎてしまって隠れ気味ではありますがこちらもギターのアルペジオやリフが特徴的な良曲。ロック好きに訴求する曲かもしれません。もしかして八木沼はこのギター部分を評価して採用してるのかな?と思わせます。


REALIZE / 喜多村英梨

二個目のレコード会社からの一発目のシングル。
ちょっとは喜多村英梨の趣向を反映したのか、前でコード会社よりはロックな曲調で再デビュー。それでもやはり彼女にしてはあまりロックしてない部類ではありますが個人的には全然許容範囲内。もちろん「RE;STORY」以降のほうが好みですが。
ヴィジュアル系ライクな音楽性を辞めないでほしいので応援してます。
自主製作でもいつかアニソンタイアップがあることを願って……!


書きかけのDestiny / 茅原実里

茅原実里にも「Sing All Love」のときだけ楽曲提供をしております。
やっぱりギターの主張があってそういう曲調が得意なのかな?と思わせます。キーボードソロ×ギターソロもかっこいい。
シンフォニック成分を薄くしてる過渡期みたいな時期だったので、ちょうどいいグラデーションになってる気がしますね。


Love Brick / 水樹奈々

ちょっと重さもあるポジティブなポップロック。
表題曲がバキバキのシンフォニックなのでその対比が面白かった記憶。
サビの「ベイビーアイラブユー」が絶妙にサダくていいです。
他にもっといい単語はなかったですか奈々さん。笑
そこ以外の歌詞は好きなんですが。


Crimson roses / 黒崎真音

一転、ダークなシリアスでミディアムな一曲。
徐々にテンポもテンションも上がってく組曲のような構成でカップリングだけにとどめておくには勿体ないと思うのは自分だけでしょうか。
齋藤真也にしては珍しい曲調な気がします。
やなぎなぎの『トコハナ』もそうですが、やはりダークな雰囲気の楽曲には一目置いてしまいますね。


わたしのステージ / 内田真礼

アコースティックから入るハッピーな一曲。
先ほどの黒崎真音とは真逆に位置しそうな雰囲気で、意図せず職業作曲家の真価をこれでもかと見せつける曲順になってしまいました。
とはいえこの曲も一番と二番で印象が変わる構成なので、いい対比になってるんじゃないかと思います。


Dreaming Girls / 水瀬いのり

ハッピーな鍵盤ポップロックな一曲。
水瀬いのりの瑞々しい歌声が弾ける良曲。こういう曲歌わすと強いです。
多分こういう曲が歌いたいんだろうなぁと思います。
シリアスロックな曲に比べると声が乗ってますよね。


Starline / 竹達彩奈

こちらもポジティブだけどちょっとシリアス寄りのデジタルポップロック。
なんだかノンタイアップだとあんまりトランスにならないですね。
そういう曲を私が選り好んでるだけでしょうか。
竹達さんの曲にしてはギターソロがロックしててかっこいいです。


Snow Breath Celebration / 楠田亜衣奈

その流れで同様に疾走感のあるデジタルポップロック。
冬をテーマにしてるので琴線に触れまくってます。かっこいい!
楠田亜衣奈、このアルバムまでは好きなんですよ……苦笑
山田高弘カムバック!


Amazing my love / 飯田里穂

なんだか90年代を思わす曲調で大変好みです。
オーケストラヒット連発がダサかっこよくて最高ですね。
そういう意味ではこれは齋藤真也のルーツには入ってそうな気がします。
そう考えれば冒頭のトランス編曲が得意というのも納得。



Afterword

というわけで齋藤真也特集でした。
作曲した楽曲の3倍くらいの編曲担当曲があって、実際作曲してる曲はそんなに多くない印象でしたが、それでも結構集まってましたね。
特に最近はあまり作曲を担当してない傾向にあって、編曲だけで名前を見るという場面も増えています。
私が使ってるWindows Media Playerには「編曲」という項目はないのですが個人的に「作曲」と部分に「編曲.齋藤真也」と書き加える程度には意識している作家でございます。
(※「齋藤真也」と検索して引っかかるようにするため)

あと齋藤真也の特徴として
あまり一人のアーティストに集中して提供することがないという事。
多くても6,7曲程に止まります。
earthmindだけが特別。ほんとに謎のバンドです。特に齋藤真也がプロデューサーだったとかそういう記述もないんですけどね。

何はともあれ『空色デイズ』
それ以降は『空色デイズ』っぽい曲を、という発注も多かったのかそれっぽい曲も多い印象です。
でもやっぱり指向的にはロックな曲を求めているので、私が紹介するとそういう曲に偏りがちかなぁ?という気もしてますが。

中川翔子にも他に6曲ほど提供してるのですが、ダントツで『TYRANT too young』が好みです。これもまた謎の本格シンフォニックメタルで齋藤真也っぽくないんですよね。笑


他の方はどこで齋藤真也を意識したんでしょうね?気になります。
もしよければ教えてください。

尚、このシリーズは #アニソンは作曲家で聴け で全て読めます。
では本日はこのへんで。よしなに。


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えいちびぃ
最後まで長文お読みいただき誠にありがとうございました。 つっこみどころを残してあるはずなので 些細なことでもコメント残してくれると嬉しいです!