ヴィジュアル系の良心、Dの無期限活動休止前 Last Tour 「血界」豊洲PITに行ってきた
3月8日豊洲PIT公演を持ちまして、
Dというバンドが無期限活動休止を宣言しました。
正直なところ、ここ何年かは、
音源は揃えてたけどライブへの足は遠のいており
おそらく10年くらいは赴いていなかったです。
それでも、最後くらいは……という思いで
チケットの一般発売を待ち、最終公演は3/7と3/8の2DAYSだったのですが
……なんと速攻売り切れで買えず!!
あきらめて3/7は普通に仕事に勤しみ、
どうやら即日完売ということで急遽席を追加らしいとの情報を得て
恐る恐るサイトを開いてみると――
おぉ!ほんとに買えるようになっておる!!
幸い3/8は仕事はない日。
ということで前日の夜10時に参加できることが決まりました。よかった!
簡易ライブレポ
ステージは荘厳なヴァンパイア宮殿よろしくの世界観。
メンバー5人分のスペースの他に玉座が鎮座していて印象的。
炎(みたいな何か)もゆらゆらと立ち上っており、さすが豊洲PIT。
広いステージにちゃんと舞台装置がこれでもかと敷き詰められています。
定時に暗転しSEが始まり一人ずつメンバーが姿を現します。
メンバーコールが激しい。
最後なので観客もあらん限りの声援を尽くします。
もう最後のボーカルがお立ち台に上ったときは怒号。
さすが社長。ここまで引っ張ってきたのをみんな知ってるから
ボルテージの高まりがフロア全体を包みます。
一曲目は『Schwarzschild』。
”ド”ヴァンパイアな一曲。ほぼ英語で構成されており
正直歌詞はよくわかりません。苦笑。
世界観重視なDの楽曲の中でも特にゴシックに振られた曲であり
激しい楽曲でオープニングを飾ります。
突き立てるコブシに力が入る!
続けて『太陽を葬る日』。
ドラムがツーバスドコドコしまくりギターが速弾き連発されるメタルな楽曲。
シングルなのにキャッチーではなく技巧を魅せる曲なので
私の耳と体は楽器隊に集中します。
広い会場で聴くメタリックな演奏は心地いいですねぇ!
『Vampire Missa』『Der König der Dunkelheit』と
ヴァンパイアコンセプトアルバムでも重要な位置を示す曲が続き
世界観の構築を深めていきます。
なるほど、幕開けはこれまでの音楽活動で展開してきた世界観を踏襲する形で進行するのですね。
昔馴染みな楽曲ばかりで久々の参戦にも関わらず
自然と当時のライブの光景を思い出してきます。
『薔薇の聖戦』
昨年末に発売された休止前ラストアイテムから。
ここからヴァンパイアストーリー最終章に取り掛かります。
そんなに聴きこんでないので初見に近い状態。
なのに昔の曲と並んでもぜんぜん変わらない世界観。
コンセプトが活動初期から一貫しているのがわかる曲調。
まさに安心感、安定感。
最近熱心に聴いてなかったという心配事はこれが払拭してくれて、
久々の参戦でも受け入れてくれるんだ!という包容力を勝手に感じました。
『Face』
ここで玉座で足を組みながら歌唱。
かっこいい!
後半激しくなる構成の曲なのでテンションをコントロールされている感覚。
王たるASAGI様の元で手を振る民衆を見守る目つきが麗しい。
『Kudlak ~死の巨星~』
昔の曲と最新の曲を並べても全く違和感のない曲調。
ノリは全然わからなかったので周りに合わせて適当に手をひらひらさせてみます。それだけでも楽しい。
『Blood Moon』
個人的に大好きな楽曲。まさかこの流れでやってくれるとは!嬉しい。
この曲はシンフォニックなんですよ。だから琴線に触れてくる。
ほんとに新旧織り交ぜて演奏されてますが全然音楽性が変わらないの。
なんて自然な流れ。後で歌詞見てストーリーを繋げてみようと思います。
『組曲「狂王」』
ここから5曲、壮大な世界観を持った組曲が展開されます。
この一曲目で再び玉座に座ったんだっけな?
凭れ掛かりながら歌う姿がまさに狂王で世界観どっぷりです。
組曲なれど5曲5様な曲調なので飽きることなく鑑賞。
一番は序章っぽく穏やかに2番は深く、
3番でポップに転換し4番で激しく展開、
5番でさわやかに終幕、みたいなイメージ。
もちろんファストでメロディアスな曲が好きなので
個人的には3番と5番が特に好き。
ドラムソロ~
『サバブを継ぐ者』
『天象Parade』
さすが技巧バンド。ボーカル抜きのインストルメンタルも魅せてきます。
演奏力のあるバンドは必ずこのコーナーを設けますね。
ヴィジュアル系は見た目だけのバンド、そんな価値観をぶち壊す
完璧なドラミングとベース・ギター陣です。
ここから後半戦、というわかりやすいブリッジでもあります。
『Noblesse oblige』
『紅沙 ~マカイロドゥスの涙~』
『赤い惑星の天秤』
『千年樹の希い』
『流線上のアクア』
最新アルバムより連続で5曲。「血界」の世界観を彩る楽曲陣。
やはり聴きこんでないのでここも組曲の様に聴いていた記憶。
一様にダークで、ゴシックで、メロディアス。
これぞDの形成する世界観。
昔と全く遜色ない楽曲の色。まるで演劇を見てるよう。
この辺りは浸るように聴き入ってました。
やっぱりDの表現する楽曲は好みだなぁ、なんて思いながら。
『Elfhame 〜[R]osalie's End〜』
この日と前日に無料配布された楽曲。
マルチエンディングの一角を担う曲。
ぶっちゃけ、このCDが欲しくてライブに来た側面もあります。
仕方ないじゃない。私は音源ヲタだもの。
ライブそのものよりスタジオ録音された作品が素晴らしいほうが喜ぶ人種だもの。もちろんライブではライブならではの表現を好みますが
まずはCDでいい作品でないと残念なのです。
しっとりとしたバラード。
活動休止を「石化」と表現してる以上、
この楽曲も重要な立ち位置にいる楽曲だと思います。
CDのセルフライナーノーツも物語的で読み応えありました。
こういうのあると倍嬉しい!いいCDでした。
『終末と逆行のコナトゥス ~[D]reizehn End~』
『黒薔薇の騎士』
『血界 NEW WORLD ~Dreizehn ver.~』
もう一つのエンディング曲に過去編みたいな一曲を挟んで
この作品の表題曲へ。まさに感情がクライマックス。
あぁ終幕へ向かってるんだな……というのが曲調からも感じられてきます。
なんだろう、世界観がかっちりしてるからか
終わるのが寂しいと感じるよりもこの終焉を見届けたいという親心みたいなものが芽生えてきます。
これまでも「ラストライブ」というものはいくつか見てきましたが
そのどれとも雰囲気が違います。
バンドが歩みを止めるというよりは、あくまで物語が終わるだけという風に感じてしまうのです。
言葉を変えると、ほんとにこのバンドは休止してしまうのか?という純粋な疑問にも。
ASAGIは活動休止を「石化する」と表現していましたが、まさにそれ。
「解散」ではなく「休止」であることに、また必ず復活することを約束してくれてるような、そんな不思議な感覚。
いったん物語は完結するけど、また動き出すことを約束してくれてるような
そのための「血界」を張るということなのかな、なんて邪推してしまうのです。
『Nirgends ~[F]inal End~』
トゥルーエンドという立ち位置の楽曲で本編締め。
しっとりと、あまりにも綺麗に幕が降ります。
そしてここからアンコールが始まるわけですが
私のような古参大歓喜のセットリストとなっております。
『Night-ship "D"』
もはや代表曲。むしろ定番曲。
Dのライブは「旗を振る」という認識を固定化させた楽曲。
最近やってなかったというのを聴いて逆にびっくりしてました。
だからこそ最終日であるこの日にはやるだろうとは誰もが予想していたのでは。
観客の旗振りもなんという一体感。自然と高まります。
もうこの曲を聴きに来たといっても過言ではありません。
『闇より暗い慟哭のアカペラと薔薇より赤い情熱のアリア』
立て続けにキラーチューンが炸裂。
正真正銘の代表曲。Dといえばと名を知らしめた楽曲。
ASAGIも調子のいい時にしか歌えないという難曲でもあります。
このオペラ歌唱で度肝をぬかれた人も多いでしょう。
これも最近やってなかったということで最終日になってくれるはずだと願われていた楽曲でしょう。
この曲聴かないと終われません。
『7th Rose』
Dがさらに進化したと言われた楽曲。
なぜなら高音シャウトの他にデスヴォイスを習得したと思われたため。
つまりキラーチューン3連発。
実際私がライブに通ってたのがこの辺りの時期までです。
……ということは15年ライブに行ってなかったってことになりますね。
普段も聴いてたので懐かしいという感覚はありませんが
……感慨深いですね。
『Alice』
2回目のアンコール。
D始まりの曲。D結成して初めての音源だったんじゃないでしょうか。
この曲もこれまでやってこなかったので最終日にやるだろうと言われていた楽曲。まさかそんな声を拾うということはしてないでしょうけど
まさに留飲を下げる選曲です。
『闇の国のアリス』
そして「アリスシリーズ」と呼ばれているのもあり立て続けに。
どんだけ要望に応えてくれるんだこのバンドは!?
振りも完璧の覚えてたので参加。
というかアンコール入ってから全部知ってるので超参加しています。
ライブ見に来たってひしひしと感じている!
それまでは荘厳な演劇を見てるみたいな感覚だったから余計に!
『真昼の声』
そしてここにきてまさかの『真昼の声』。
私、この曲が一番好きなのですよ。
昨今の訃報続きの業界を思っての選曲なのでしょうか……
無事此処で涙腺決壊しました。
繰り返す「I want to see you, Can I see you once again…」
まさに我々がDに思う感情ではないでしょうか。
『Lost breath』
3回目のアンコール。これも最初期の楽曲。
昔ながらの曲ですよねぇ。
でもまさかこれで終わるとは思えない。まだもう一曲あるんだな?
いったい最後の曲には何が演奏されるんだ……
『EDEN』
これかー!!
この曲も大好き!というかDでこの曲嫌いな人はいないと思う!
そういえばこれ合唱曲だったな。
でも合唱するにはこの曲むずすぎるのよ。笑
当時から思ってました。歌ってやりましたとも。
超満足!
Afterword
ということで簡単にですがまとめてみました。
まだ「血界」というアルバムを聴きこんでないことをかなり後悔しましたが
それでも割と高めなお金を払ってライブに行ったことに微塵も後悔はありません。
私はこれからも音源は聴き続けます。
ASAGIはこの活動休止を「石化」と表現しています。
それはいつか石化が解けることを暗示してると思わずにはいられません。
20年間の活動、お疲れさまでした。
途中で関係が悪化したことも、喉の調子が悪くなったことも知っています。
一筋縄ではいかなかった活動だったことでしょう。
それでもこれまで世界観を保って長年活動してきたことは
間違いなく快挙であり称賛されるべき事象でございます。
素敵な景色をありがとうございました。
これからも大切に聴き続けます。
Dのみなさん、本当にありがとうございました!!