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【歌詞解釈】小松未歩の『さよならのかけら』を本気出して集めて「一つのさよなら」にしてみた

毎月恒例、考察という域を超えて妄想をお届けするシリーズの第10弾。
小松未歩の1曲だけで1時間話すという企画の一環として執筆する、
下書きというかカンペとなります。

開催は来週12/22。
是非興味のある方は覗きに来てくださいませ。

『さよならのかけら』は小松未歩にハマったきっかけの曲

ついに二桁の大台に乗った本企画。
記念すべき第10回は『さよならのかけら』に決定しました。

この曲、個人的には彼女を強く意識したきっかけで、
それまでポジティブな印象だったシングルの中で
初めてネガティブを押し出した表題曲となっており
ここでググっと彼女を好きになりました。

いうなれば、「小松未歩らしさ」の原点といいますか
疑問を投げかけてはいるけど実は既に自分の中で明確な答えが出ていて
事実確認の意味も含めて誰にでもない誰かに問いかけている

という構図が強く現れている曲だなと感じていまして。

加えて、もう冬曲というだけで加点される私の好みも相まって
それはもう大好きな楽曲でございます。

そんなわけで、今回は
最近はちょっと鳴りを潜めていた
「歌詞解釈じゃなくて拡大解釈」を発揮できる楽曲となっております!!

やっぱり好きな曲だと熱の入り方違うくね?と言われること請け合い!
久々の深読み過ぎな行間をご覧くださいませ。


好きじゃない理由を無理やり見つけて未練を断ち切りたいわるあがき

結論から申しますと、
「なぜ君は行くの?」と問いかけてはいますが
すでにこの恋は終わりゆくものと捉えてる主人公
諦めるための理由かけらを一つずつ集めているようなイメージを抱いています。

さよならのかけら 蹴飛ばして
負けないように未来へ走るよ

ここだけを見れば、むしろサヨナラの原因となるものを消していって
=サヨナラにしないために頑張る
となりそうなものですが

なぜ君は行くの?ひずんだ僕の声

そうまでしても君は僕の元を去ってしまう。
それはもう抗えない結末なのだと、受け入れてしまっているのです。
ゆえに、問いかけもまっすぐ発せられることなく、
歪んでしまっているのです。

もう会えないと 笑えないジョーク
ねぇ できれば捨てゼリフなげかけて

「笑えないジョーク」みたいね。「笑えないジョーク」だと言ってよ。
「笑えないジョーク」なら良かったのに。

でも、ちゃんと「もう会えない」と打ち明けてくれるのは
たしかに残酷かもしれませんがどちらかと言えば誠実さを私は感じます。

どっかの思わせぶり野郎やナンパな二股野郎とは一線を画します。

捨てゼリフさえ投げかけていないということは
「もう会えない」の前に「ごめんね」くらいは言ってくれてそうです。
つまり最後まで優しさを感じてしまってるということなんですね。

まぁその優しさが裏目に出てるわけなんですがそれはまた別のお話。
きっと僕の方からアプローチして付き合うことになったのでしょう。

これ、自分が言われるべき「捨てゼリフ」を
主人公はもう悟ってる
んじゃないかなと思ってます。
例えば、「もっと明るい子が好きだったんだ」とか
「もっと本音をぶつけ合える関係でいたかったんだ」とか

例えば、「ピアスが似合うようなヒトがよかったんだ」とか。

ポケットにあるピアス 指で探った

探った、ということは普段は身につけていないもの。
君がくれたもの、なのか、自分で頑張って身につけようとしたもの
どちらなのかは定かではありませんが
どちらにせよ、自発的にというよりは君の趣味に合わせていたもの

君が好きならと、それに応えようとした努力の結晶です。
縋るように探って、指先に当たり、
摘み上げて親指でピンッと上空へ弾いてみます。
そう、まるでコイントスをするように

この街の出会いと別れは
コインで決めるほど簡単なの

コインには裏と表が公平に存在し
決まる行き先は50%ずつの確率となりますが
ピアスにおける表面とは、
おおよそ耳朶の前面に来る部分が相等するはずなので

落ちた先ではどう転んでも表とはなりませんよね……?
(※横にしかならない)

やはりここでも、「簡単なの」とかいいながら
「別れる」の答えにしか辿り着かない賭けをしていることになるのです。

さよならのかけら 蹴飛ばして
負けないように未来へ走るよ

そうして自然の摂理に見せかけた自分の選択を蹴飛ばして
未来へと走り出します。

なぜ君は行くの?ひずんだ僕の声

「なぜ君は行くの?」という問いかけは
本心とは沿っていない故に、「歪む」という表現になっているのです。

「なぜ」なんてそんな空々しい。
ほんとはその理由なんて、自覚してる知ってるでしょ?

頼ることが苦手だった僕は、
なんでも自分でできるって強がってた。
もっと君を、頼っても良かったのに。
甘えられれば、よかったのに。

今日見かけたよ さり気なくカバン持ってた
ねぇ 好みも趣味も もう あの子の匂い

君に新しく出来た好きな人は
ちゃんと君を頼りにしてるみたい。

僕が出来なかったことは、あの子は出来てるみたい。
僕に出来なかったことは、あの子にはしてあげられてるみたい。

粉雪が舞う空 すべて隠して

できればそんな理想は、見たくなかったかな。

明かり零れる窓辺に立ち
帰りを急ぐ人並みを見てた

気がつけば、自分以外の誰もがそんな当たり前の幸せを享受している、
そんな気がして勝手に哀しみに浸って悲劇のヒロインごっこをしている。

我が身かわいい、なんて適切な表現すぎて泣けてきちゃうね。

さよならのかけら 蹴飛ばして
負けないように未来へ走るよ

そんなネガティブは蹴飛ばして、未来を見つめましょう。

取り戻せないの どんなに足掻いても

どう足掻いても、君と寄り添うことはもう、叶わないのだから。


あの子と友達になるわ 会えなくならずに済むのなら
ドアの外で凍えそうで 何も感じなくして

この歌詞の最大のキーワード部分ですね。
これがあるせいで
ドロドロな関係性を想像する人が多いんじゃないでしょうか。

私としては、タイトルにも冠し、歌詞でも何度も登場している
「さよならのかけら」を掻き集めて「さよなら」にしてしまおうと
そう目論んでいる
と踏んでいます。


実際あの子と友だちになるかどうかは全然重要じゃなくて
君との恋を成就"させない"ピースを集める行為

上手くいかなかった要因はきっとたくさんあったはず。
それは君が好きになったあの子と比較すれば
すべて浮き彫りになるかもしれない。

これだけ好きになった君だから
君が好きなあの子を知るのは怖いけど
そんな現実は寒空のもとで震えるように心を麻痺させてしまえばいい?

僕は君を頼れなかった。
いや、逆に頼りすぎていたのかも?
君の優しさに縋っていたかもしれない。
なんだか君の時間を僕に使わせるのは申し訳ないな。
僕は君の負担になってしまってはいないだろうか。
応えられない期待を、抱かせてしまってはいないだろうか。
なんか、その他諸々、
僕が好きという気持ちだけを押し付けていたような気もする。

そんな君と会えない時間に怯えて集めた――

さよならのかけら 蹴飛ばして

あの子と君、ふたりに

負けないように未来へ走るよ

それができれば「

なぜ君は行くの?

」という僕の声にモザイクを施して
テレビの画面が砂嵐に飲まれるようにしてようやく

ひずんだ僕の声

よし、これでようやく次の恋に進める……!



余談ですが

この解釈、実は同時期にT.M.Revolutionが発表した
『last resort』という楽曲にかなり引っ張られています。

この曲、世にも珍しいフる側の失恋歌。
しかも今回の私の解釈のように、片方が好意を向けて付き合ったけど
片方はそれに戸惑っているという歌詞なのです。

なので『さよならのかけら』の相手がこの『last resort』の彼
という解釈がとってもしっくり来る。

そしてもう一曲。
こちらは『さよならのかけら』歌詞を表面上で辿ってみた、
つまり「付き合ってる状態で彼に好きな人ができてそれを悔しがる」
という情景によく似た世界観なのが、シドの『and boyfriend』。

おおよそこちらの解釈のほうが、共感多いかなと思ってるのが本音です。

というか、こう比べてみるとヴィジュアル系の歌詞のほうが
解釈の余地が狭くて限定的な気がしますね。
わかりやすいというか。

小松未歩とかスピッツとか、
歌詞が普遍的な方がいろんな解釈が生まれるという
典型的な例かもしれません。そりゃ白熱するわけだ。
ラルクも逆に抽象的すぎて解釈が広がりそうな気もしてますが。


Afterword

以上が、発売当初から私が抱いているこの楽曲の印象です。
今回言語化してみただけで、この解釈の大筋は変わっていません。

まぁ深読みし過ぎかもですが、
でもこれと同じ印象を抱く曲が小松未歩の曲には多すぎるんです。

だって、書いてても思ったんですが、以前執筆した
『あなたを愛してくこと』『恋心』『I~誰か』でも
似たようなこと言った記憶ありますよ。笑

恋愛に於いてドロドロな関係性を想像できないから
こういう「身を引く」系の解釈になってしまう部分も否めませんが。


そんな感じで。
影響されないようにまだスピーカー記事は読んでません苦笑
書き終わったのであとでお邪魔します。

また次回更新した際はよしなに。


↓スピーカー記事



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最後まで長文お読みいただき誠にありがとうございました。 つっこみどころを残してあるはずなので 些細なことでもコメント残してくれると嬉しいです!