最近のボーカリストは声に特徴がない、という風潮について
清春さんの発言されたこの記事は読まれたでしょうか。
まぁ、この発言自体は別にいいのです。
確かに”クセのあるボーカリスト”代表格自身の言葉ですし
実際クセが強すぎて歌詞が聴き取れないとネタにされ番組を一本成立させてしまいましたし
最後に「世代もあるから勉強不足かもしれないけど」で締め括ってるので。
問題はこの意見に同調して揶揄する老害の方々。
「あの頃は誰誰、誰誰とか特徴ある人がいっぱいいた!」
と懐古主義を爆発させています。
これが許せない!!!
例えば私は「Laputaは歌声がクセ強すぎて万人にはお勧めできない」
とか、逆に「Waiveは歌声にクセがないので一般層にも訴求できる」
とかこのnote記事で書いてきましたが
一般的に言えば「ヴィジュアル系はどれも歌い方が一緒で気持ち悪い」
という評価に落ち着くわけです。
クセのある、ない、はそのジャンルを深掘っているからこそ抱く感情であり
つまりそれ以外のジャンルにハマっている人からしてみれば
J-popアーティストはみんな特徴がないということになってしまうのです。
実際私の好きじゃないジャンル(※明言は避けますが)に対しては
「どれも同じに聴こえる……」と思ってしまっています。
これと同じことが、それぞれ千差万別に存在しているということではないでしょうか。
だって、「西城秀樹さんや沢田研二ら昭和のスターたちも特長的だった」
と記事内で扱われていますが
昭和歌謡に詳しくない私からしてみれば
「え、そうかなぁ。80年代ってなんでみんなこんな歌い方なんだろう」
って思ってしまうというのが本音です。
親がこの辺り大好きなので子供の頃よく聴いてましたが
特徴的だと思ったことはありませんでした。
ぜんぜん聴き分けできてなかったです。
(現在は好きな昭和アーティストさんも見つけているので個人的に好きな歌声の方はいらっしゃいますよ。中森明菜とか)
つまり、興味を持って聴いてるか。その一言に尽きると思います。
私はヴィジュアル系を好んでよく聴いているので
V系に個性的な歌声が多いと感じていますが、そういうことです。
(逆にアニソンはジャンルを超越して聴かせられる強烈な濾過装置だと思ってるのでクセは均されてるとは思いますがまぁそれはまた別のお話。)
結局自分が一番聴いてるアーティストが一番好きなボーカリストなわけで、昔の人しか特徴がないって言ってるのはずっとそのアーティストが好きなだけ、という話です。
最近の音楽をそんなに熱心に聴いてないだけでしょ。
その「昔は誰誰」の部分に共感できないのです。
また、興味ないジャンルに於いても「あ、特徴的だな」と思ったとして
それはきっと耳障りに感じる人が多いのではないでしょうか。
なので、一部例として挙げられる「最近はだとAdoとか該当するかもしれないけど~」に肯定的なニュアンスは含まれていないことが多いわけですが
それがカウントされていないわけです。
特徴的な人いるじゃん!!
それが「特徴的」ってことじゃないの!?
えてして、クセが強いということは好き嫌いが発生しやすい側面を孕んでいるわけですが、賛否を集めているなら「Adoの声は特徴的」でいいじゃないですか。なんでそこを認めないのさ。
まぁ確かに、時代的なものはあると思いますよ。
今は歌手デビューへの障壁はかなり薄くなっているので
大して個性的でなくても世に発表することはできてしまいますし
歌の上手い下手もMIXでごまかせる時代になってしまっていますよね。
ボイストレーニングも充実してきてどんどん喉に負担がかからない歌い方が確立してきています。
クセが強い声の特徴って喉とか鼻に引っかかった歌い方な気がしません?
そういう声帯を活かす講師の方もいらっしゃいますが、
やっぱりカラオケで高得点を取れるような歌い方を求める人は一般的には多いイメージです。
でもだからって「いない」ということはないでしょう。
見つけにくくはなっているかもしれませんが。
でもねぇ、結局好き嫌いの話だと思うんですよ。
結局自分が一番好きなアーティストが一番個性的だと感じませんか?
どこかしら琴線に触れるから好きなるわけであって
なんとも思ってないアーティストの特徴を探ろうとは思わないじゃないですか。
よって、最近のボーカリストは声に特徴がない、という意見に対しては
全然そんなことない。
・ディグりが足りてないだけ、
・もしくは興味を持って聴いてないだけ、
という意見をぶつけさせていただきます。
これは他のジャンルにも言えることです。
「最近の曲は全部同じに聴こえる」
「アイドルの顔がみんな一緒に見える」
「漫画の絵が全部一緒に見える」
「若者がみんな同じ髪形をしている」
昔はもっといろんなものがあった?
何を言ってるんですかね。
当時だって老害からは全く同じ言葉を投げかけられていましたよ。
ついに自分がそれを言う側になったってだけってことを自覚してください。
興味を持てなくなった途端に区別がつかなくなっただけの老害の仲間入りです。おめでとう。ようこそ世界。
どう考えても今のほうがいろんなものがありますよ。
いつでも現在が一番多様。
鈍くなった感性で享受できなくなった不幸を祝福してください。
Afterword
というわけで、そんなにクセの強い歌声をお求めなら
クセだらけの歌声をいかんなく発揮しているアイナ・ジ・エンドさんの新曲をどうぞ。
作詞作曲もTK from 凛として時雨でクセが強い。笑
【劇場版モノノ怪 唐傘】面白かったですよ。
この作品にしては主人公が最初から最後まで大活躍していて
あの特徴的なエフェクトで作画も美麗だし
珍しくアクションシーンも豊富で逆に新鮮。
まさにクセだらけの作品となっています。
あ、一応念のため釈明しておきますが、
清春さんのことは全く否定してないですよ。
黒夢もSADSもソロも大好き。
ただ、あくまでそれに同調して「昔はよかった」って宣う方々へのアンチズムです。ついに自分が若者を評価できない老害になり下がったんだと自覚してください。
いつでも若者の夢を潰し均そうとするのはいい歳した大人の方々なのです。
平均年齢が上がってしまっている日本ではさらにその傾向は強くなっていくんでしょうね……とまさにそいつらと同じくらいの年齢の私が言ってみます。
なんで自分が好きモノのを主張するときに他の何かを落とすのさ。
懐古主義を突き詰めても平和な未来は訪れませんよ。
もっと人々が認め合える世界になりますように。
――という、なんのクセも持ち合わせていない一般人の主張でした。