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【2024年の振り返り】 - VC立ち上げ一年目の振り返り

皆さんこんにちは!Asu Capital Partners(ACP)の夏目です!

今年も早いもので、一年の締めくくりの時期になりましたね。ACPにとっても今年はファームの設立を迎えたと同時に、10社を超える素晴らしいスタートアップ、そして素敵な国内/海外のLP投資家の皆様とご一緒できた一年でした。

毎年、Facebookに個人的な一年の振り返りを書いていたのですが、今年はVCを立ち上げて一年ということもあり、ファームとしての振り返りを含めて、Noteに書いていきたいと思います。

最後までお付き合いいただけますと幸いです。

自分たち自身が常に「Why Japan」と「Why Global」に向き合った一年

まず、総括的な振り返りについて。今年は私たちのファームのテーマでもある”Japan to Global”が大きな追い風を迎えた一年でした。日経新聞によると、今年の8月時点で海外投資家による日本のスタートアップ投資が前年同期比で7割増えたと同時に、Sakana AIなど海外起業家によって設立された日本のスタートアップが国内外で脚光を浴びた一年でした。また、TechstarやAlchemistなどといったアクセラレーターが日本特化のプログラムを展開し、Y Combinator、a16zなどといった米国のトップティア投資家が日本のスタートアップイベントに登壇することも増えてきました。日本のスタートアップ業界にとって、”グローバル元年”といっても過言ではない一年だったのではないでしょうか。そんなタイミングで、私たちもグローバルをテーマにしたファームを立ち上げることができて、本当に恵まれた一年となりました。

一方で、今年は見出しのようにファームとして「Why Japan」(なぜ日本市場、日本のスタートアップなのか)と「Why Global」(なぜグローバルを目指すのか)という質問を最も投げかけられた一年でした。日本のスタートアップ市場は間違いなく盛り上がっているーーしかし、それは一時的な盛り上がりではないのか;日本のスタートアップはグローバルで通用するのか;国内市場だけにフォーカスすれば良いのでは、など。

そもそも、世界から見た日本のスタートアップ業界の盛り上がりは、米中対立による資本のリアロケーション、そして政府によるスタートアップ振興などの外部要因がメインです。外部要因に突き動かされることによって、内部の市場変革が起きるのですが、まだまだ「変革」という文字からは程遠い、というのが正直なところになります。

もちろん、日本市場単体で見ても大きなポテンシャルを秘めています。海外投資家から見ても、単一市場でここまでデジタル的に“未開の地”として存在するのは世界でも一握り、先進国でも日本くらいという評価になります。一方で、当たり前のことにはなりますが、日本に興味を持っている/投資実績を持つ海外投資家は常に複数マーケットを同時に見ています。ひとたび、日本以外の市場のパフォーマンスが上がれば当たり前のように投資の重心を他の市場に寄せます。短期的に日本市場にフォーカスしても、中長期的には市場の飽和と少子高齢化による経済衰退よって、発展途上国への投資に舵を切る可能性は大きくあります。

だからこそ私たちは常に「Why Japan」、「Why Global」という質問に答え続けなければいけないのです。

ただし、幸いなことに今は日本の「ボーナスタイム」とも言えます。国内外のリスクキャピタルの供給や日本国内の起業家の多様性も増え、日本のスタートアップ業界に可能性を感じている海外投資家や起業家が多い。地政学の変動によって、多くの人材が日本に流れ始めている上、心の底から日本文化が好きなタレントも日本に移住している。また、日本にはまだまだ”眠っている”技術もあれば、まだグローバルの投資家に発掘されていない領域もたくさん存在する。そんな今だからこそ、日本ないしは世界を代表する「ヒーロー」的な存在を日本から生み出さなければいけない。逆にこの「ボーナスタイム」を逸してしまえば、次いつチャンスが訪れるかはわからないーーそんな端境期に私たちはいると思います。

私たちにとっての“Japan to Global”は必然的に海外の”市場”を狙いにいくわけではありません。以前書いたnoteでも記載させていただいた通り、私たちが考える「日本のスタートアップのグローバル化」は以下の三つになります。

① 日本で圧倒的に勝てる領域 or 市場 = 資本、人材の「グローバル化」

② グローバル市場と“共通スタンダード”が存在する領域 = 基準、市場の「グローバル化」

③ 日本の強みを活かし、海外で一定の市場を占有できる領域 = 日本の強みの「グローバル化」

(詳細は以下のリンクから)

このように、日本”だからこそ”存在する強みがあると考えます。そしてその強みを活かして、世界で挑戦すること。例えば、日本の強みである「アニメ」を米国のVCであるa16zが”Anime Is Eating The World”という形で提唱するのではなく、日本からそういったムーブメントを作っていく。そんな世界をAsu Capital Partnersは起業家の皆さんと描いていきたいと思います。

Asu Capital Partnersの「To Global」

もちろん、これほど“Japan to Global”を提唱する中で、当たり前ではありますが、自分たち自身がまず「To Global」しないといけません(笑)。そんなこんなで、今年も昨年と同じく、数多くの海外トリップに行ったり、イベントを開催したり、プログラムに参加してきました!一部XやFacebookで取り上げたものもありますが、振り返りNoteということで、いくつかピックアップして振り返りたいと思います!

Global Gateway - グローバル投資家との1on1ピッチ - 5月

ファンド立ち上げのプレスリリースを出した直後に企画したイベントになります!当日はPear VCやDST Global、Google Ventures、Peak XV(旧Sequoia India)、Coatue Management、Makers Fundなど、海外トップティアの投資家と日本のスタートアップをマッチングし、1on1ピッチセッションを開催。当日は8社の枠に対し、60社近くの応募をいただきました!(枠の制限で、残念ながらお断りしたスタートアップの皆様方、本当に申し訳ないです!)ACPとしても、かなり良い感触を掴めたイベントでした!

Pear VC パートナーのArpan Shah氏との対談
海外投資家との1on1ピッチセッション

Japan to Global Meetup @ IVS - 7月

暑い京都の夏に、最も熱いIVSで、最も熱狂したサイドイベントを今年はZVCさんと一緒に開催させていただきました。企画当初こそ80人くらいの参加を想定していたのですが、まさか当日までに260人近くの応募があり、本当に驚きでした。参加者の方からも「こんなに濃く、熱狂したサイドイベントは初めてです」とコメントをいただき、めちゃくちゃ嬉しかったです。来年もやっていきます!!!

Harvard Japan Day - 11月

こちらも昨年に続き、第二回の開催となります!異国かつ縁もゆかりもない米ハーバード大学で、大規模なイベントを開催できているの今でも大変不思議に感じています(笑)。今年も昨年と同じく、スタートアップ・ビジネスパネルやカルチャーパネルなど、日本に関連したセッションを二日間続けて開催しましたが、昨年と比較しても圧倒的に日本に興味がある or 日本で就職を試みている学生が著しく増えている印象でした。特にアジア系の学生にとっては、地政学の変動によって、米国ではなくアジアでキャリアをスタートしたいという声が上がる中で、日本というオプションがかなり増えている様子でした。そういった意味でも、日本は大きなチャンスを迎えていますが、企業側の受け皿が少ないのもまた事実だと思います。友人の光澤くんが特にこの領域で頑張っているので、興味ある方はぜひ連絡してみてください。

今年も大盛り上がりだったHarvard Japan Day

Asu Innovators Summit - 12月

私たちのアニュアルカンファレンスであり、一年の集大成でもあるAsu Innovators Summit(これまではHC Summitとして開催)。今年も昨年に続き、国内外で活躍する起業家や投資家にお越しいただき、「日本市場におけるグローバルチーム/スタートアップの挑戦」、「アジア投資家が考える対日投資」などのセッション以外にも、初の試みとして”Japan to Global”を目指すスタートアップ8社によるピッチセッションも開催しました。事前にアナウンスできなかったのですが、当日は日本国内の投資家以外にも、中国、韓国、シンガポール、そしてグローバルカバレッジをしているファンドにもお越しいただき、中にはこのカンファレンスに参加するため日帰りで来日した投資家もいらっしゃいました。後日、個別で海外投資家と面談を組まれたスタートアップもいらっしゃったので、今後もこの取り組みを続けたいと思います!

年々参加者が増えているAsu Innovators Summit

500 GlobalのVC Unlocked & CoolwaterのEM育成プログラム - 2月&現在進行中

JETROさんが支援されているVC育成プログラムに李と二人で参加させていただきました(Coolwaterは現在進行形です)!これまでの海外プログラムといえば、ほぼスタートアップ向けのプログラムだったと思うのですが、今年からは500 GlobalとCoolwaterがそれぞれVC育成プログラムを展開し、1st Cohortとしてプログラムに参加させていただきました!USの投資家目線でのプログラムは本当に学びが多く、全VC(特に若手)におすすめしたいプログラムです!

上記のイベント以外にも、a16zの元GPで現Board PartnerであるConnie ChanやNew York Timesに$550Mで買収されたThe Athleticの初期メンバー/Chief of StaffであるAkhilとのミートアップイベントも今年の10月に開催。

Connie Chanとのミートアップイベント
Akhilとのミートアップイベント

また海外出張でシンガポール、ニューヨーク、ボストン、北京、上海、深圳、香港などを訪問し、国内では東京以外にも、札幌、名古屋、京都、広島、福岡と今年はいろんな場所でご縁をいただきました!

昨年の振り返りで書いていた内容だと:

① 発信の回数、アウトプットを増やしていきたい → ある程度達成
② 横のつながりをもっと広げたい → ある程度達成
③ 今年以上に地方を回りたい&連携したい → 達成
④ もっとアライアンスを組んで、オールジャパンでいろんな物事を取り組みたい → 達成
⑤ 個人的なことかもしれないが、もっと健康に気をつかいたい → 個人的に未達成

というところです。毎年、振り返りの最後に新年の抱負をいくつか書かせていただいているのですが、来年は「結」という漢字一文字に一年の抱負を込めたいと思います。「結」には、つなぐ、実をむすぶ、組み立てるなどの意味がありますが、ファーム立ち上げ2年目として、ファームの結束や横のつながりを強化する、ファンドとしての結果を出す、新たな方向性を組み立てる、そんな一年にしていきたいと思います(あと毎年書いているように健康に気をつかいたいです!)。

2024年は大変お世話になりました!
2025年も引き続きよろしくお願いいたします!

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