小説 群青1
蟻を殺した、加害者である。
蟻を殺したのに、周りの人は私を咎めない。
こんなことが蔓延っている世界が、ひいてはこの学校が嫌いだ。
正確には嫌いなのではなく迎合したくないのだが、それは双方嫌いに向かう一本道なのでやはり嫌いなのだ。
私は綾。
高校3年生の春からクラスが替わり、先述のような性格のせいもあってクラスでは孤立していた。
周りの連中はみんな馬鹿だ。それは勉強ができないとかでは無く、放課後に将来関わらない奴と笑い合ったり、教師にタメ口をきいてカーストを維持したり、群れて気が大きくなるところのことだ。
ただ、私は馬鹿ではないので、自分のような人間が世界に必要ないことには自覚がある。これといって楽しみもないうちに死にたいと考えている。
全力で作った私に好意を示してくれている友達は一応いる。幸いにもクラスの中にそんな人物が存在することに感謝している。
「咲、さっきみんなでなに騒いでたの?」
咲は残念ながら人と関わるのが得意なできた人間だ。なので、嫌いだからといって無関心なわけではないクラスメイトのことをたまに教えてもらっている。
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