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金利と経済を読み解く① -基礎-

本日は金利と経済の基本と、今後の経済がどうなるかをまとめてみます。

1. 金利は景気の良し悪しの基準となる

金利とは「借りた(預かった)お金を返す際に上乗せし支払う金額の割合(%)」です。金利5%で100万円を借りた場合、返す際には105万円になります。お金を貸し借りするのは個人間だけでなく、銀行-個人、銀行-銀行、個人-国、国-国などなど多くのパターンがあります。

一般に金利が安くなると預貯金から消費や設備投資などに資金が回しやすくなり、景気が良くなります(銀行にお金を預けていても全然増えませんよね?)。景気が良い=お金を使う、ということです。現在の日本は「マイナス金利」政策を取っていますので、お金が目減りするってことすらあります。

逆に金利が高くなると預貯金をすると儲かりますので、個人や企業は消費を控えるようになります。お金を使わなくなるので景気は悪くなります。

企業の業績も景気に左右されます。日経平均株価なども景気指標の一つとされるほどで、景気と株価は運命共同体と言えるぐらいです。景気と株価は概ね同じ方向に動き、やや株価は先行するイメージ(企業が頑張って経済を良くするイメージ)です(下図)。

ここまでをまとめると

金利上昇→景気拡大中で、次第に悪くなる
金利低下→景気縮小中で、次第に良くなる


2. 金利と債権の関係
国や企業の借金である債権と呼びます。
国の債権は「国債」、企業の債権は「社債」です。どちらも個人投資家が購入することができます。債権投資に関する話は別機会にしますが、ここでは国債に関して例示します。

まず、一般に債権価格は金利と逆に価格変動します。つまり金利が上がると債権価格は下がり、金利が下がると債権価格は上がります。金利が上がると債権の価値が落ちる、と理解してください。

(https://www.daiwa.jp/seminar/study_products/bond_special/interest.html より転載)

その理由は以下の通りです。
債権には「例えば10年間お金を預けっぱなしにする代わりに、元本と利息3%を絶対に返しますよ」という「○○年縛り」というルールがあります。縛り期間が長いほど一般に利息が高くなります。約束の期間はお金が帰ってきません。その代わり満期時(償還日)には100%儲かる仕組みになっています。債権は購入した際の金利が適応されますので、例えば2019年4月1日に購入したアメリカ国債(10年)が仮に3%で、10月1日に金利が4%になったとしても購入した国債は3%のリターンしかありません。

上図を見てください。
金利(借金返済時の上乗せ分の割合)が3→4%に上昇したとします。
4月1日に発行された債権の価値はどうなりますか??
そりゃあ、4月1日発行の債権価格は落ちますよね。

債権は償還日まで保持し続ければ、確実に利益をあげられます。
しかし一般株式と同じく、一度購入した債権を売り買いもできます。
価格が落ちた債権を安く買って、債権価格が上がれば売ることができるってことです(債権売買はまたどこかでまとめます)。

ここまでをまとめると

金利上昇(景気拡大中だが次第に下目) → 債権価格↓
金利下落(景気縮小中だが次第に上目) → 債権価格↑


3. 金利と株価の関係

債権にも大きく関係するのが株価です。
金利上昇場面では、投資家からすれば債権市場より株式市場の方が儲けやすいので、資本が後者に集まります。金利上昇の場面は、景気は「だんだん下目」になる一方、景気拡大の最中です。企業投資も盛んで、業績を伸ばし株価も上がります。金利上昇時は株価も上昇します。企業の事業拡大による借入需要の増加が、さらなる金利上昇を呼びます。

しかし次第に金利負担が大きくなり、設備投資や事業拡大にブレーキがかかってきます。個人でも金利があまりに高いと家を買うのをやめようかなってなりますよね。経済成長(景気)に限界が見え始めると株価は下落していきます

ちなみに2019年4月12日現在、景気拡大は限界に近づいている兆しが伺えます。別記事(https://ameblo.jp/y-invest/)をご参照ください。

ここまでのまとめ

金利上昇(景気拡大中だが次第に下目) → 株価↑(〜→〜↓) 債権↓ 
金利下落(景気縮小中だが次第に上目) → 株価↓(〜→〜↑) 債権↑ 


4. 金利と為替の関係
まず為替とはA国とB国の通貨を交感するレートのことです。1ドル=100円とか、1ユーロ=120円だとか言いますね。このレートも金利と密接な関係性があります。今回は日本円(JPY)と米国ドル(USD)で例示します。

ここで一つの大原則があります。
ずばり、一般に全ての人が儲けを出したいと考えるため、お金は常に有利な投資先に移動させる、です。

例えば、
日本の金利が1%
アメリカの金利が3%
だったとすると、どちらの通貨でお金を保持する方(=貯金する)がお得でしょうか。

当然、米国ドル(USD)ですよね。
この場合、円(JPY)が売られ、米ドル(USD)が買われます。

つまりこの状況では為替は「円安ドル高」になるということになります。単純には相対的に金利が高い(景気拡大中だが、次第に下目)方が通貨高になる、と言えます。経済が強い方の通貨価値が高い、との認識でOKです。

相対的に通貨安となった国も、①輸出企業の業績が伸びてくる、②輸入企業業績悪化→輸入品が値上がり→物価が上がる(お金がかかる)→お金の需要が上がる→徐々に金利上昇、などの理由から、相対的に通貨価値があがってきます。

(https://www.itmedia.co.jp/bizid/articles/1204/05/news095.htmlより)

6. 全体のまとめ

金利上昇(景気拡大中だが、次第に下目) → 株価↑(〜→〜↓) 債権↓ 通貨↑
金利下落(景気縮小中だが、次第に上目) → 株価↓(〜→〜↑) 債権↑ 通貨↓

個人的には、「金利が上がる」というのは「その国の経済は上がり調子なんだけど、そのうちピークが近づいてくるなあ」と認識するようにしています。

次回は米国経済(および日本経済も)はまさにピークに近づいている、を金利の観点などから推察してみようと思います。

おわり

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