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『現代アートハウス入門Vol.2』に行ってきました
12月11日から17日まで開催中の『現代アートハウス入門Vol.2』に行ってきました。七夜連続での映画上映&東京・ユーロスペースから全国23の映画館に配信されるトークイベントです。
日本では”ミニシアター”という名称で知られる形態の映画館が、アメリカでは”アートハウス”と呼ばれていることがそもそも初耳。地元金沢ではシネモンドさんがそれに当たるわけですが、私の場合は2021年公開のホン・サンス監督作『逃げた女』をどうしても観たかったことがきっかけで通い始めた”にわか観客”。アートハウスで上映されるような作品はもっぱらMUBIやU-NEXTで観るのが習慣になっていました。
正直なところ果たして自分についていけるか?という不安はあったものの、「何でも見てやろう」の精神で飛び込みました。結論から言えば大満足です。残念ながら私は第6夜までの参加となりましたが大いに刺激を受けました。
絶対なくしてしまうので講義中に取ったノートをnoteに保存しておきたいと思います。
第1夜 『クローズアップ』監督:アッバス・キアロスタミ 講師:深田晃司さん
『クローズ・アップ』映画監督と身分を偽り映画好きな家族を作品づくりに巻き込んだ男の顛末。”詐欺未遂”を裁く実際の法廷シーンと当事者による再現ドラマ。キアロスタミ自身もカメラの外から話しかけるため虚実の境目が限りなく曖昧。嘘をついた男を通して語られる映画や演技のあり方が興味深い。 pic.twitter.com/yT7gSbYHdC
— 高卒派遣社員 (@hidari_s) December 11, 2021
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第2夜 『マッチ工場の少女』監督:アキ・カウリスマキ 講師:岨手由貴子さん&大江崇允さん
『マッチ工場の少女』生産ラインの一部として単調な日々を送る若い女性。ある夜に出会った男と一夜を共にしたことで不幸が降りかかる。極端にセリフが少ない物語なのに音楽と繊細な顔つきの変化が雄弁。黒い服を着てタバコを吸うクライマックスの表情。冷たさと力強さが共存する凄い画面だった。 pic.twitter.com/WEnS9wz9WG
— 高卒派遣社員 (@hidari_s) December 12, 2021
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第3夜 『鳥の歌』監督:ホルヘ・サンヒネス 講師:小田香さん&太田昌国さん
『鳥の歌』16世紀に征服されたボリビア先住民の物語を撮影するために山奥の村にやってきた撮影隊。村長の了承を得て村人に協力を仰ぐが全く応じてもらえない。むしろ緊張が高まり一触即発の事態へ。心の奥深くに潜む差別意識を暴くスリリングな展開。両者の分断だけで終わらない結末が印象的だった。 pic.twitter.com/cRqT7iDd7o
— 高卒派遣社員 (@hidari_s) December 13, 2021
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第4夜 『セールスマン』監督:アルバート・メイズルス、デヴィッド・メイズルス、シャーロット・ズワーリン 講師:想田和弘さん
『セールスマン』カトリック家庭に聖書を売る男たちに密着する。実際に聖書を手に取ってもらい支払い説明までにこぎつけるトークスキルの巧みさ。訪問先のリビングで流れる間延びしたビートルズのイエスタデイが味わい深い。成績が振るわないポール・ブレナンの悪戦苦闘ぶりに人間味が溢れていた。 pic.twitter.com/cgBddoJF26
— 高卒派遣社員 (@hidari_s) December 14, 2021
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第5夜 『ビリディアナ』監督:ルイス・ブニュエル 講師:広瀬奈々子さん&稲川方人さん
『ビリディアナ』主人公は若い修道女。経済面でずっと助けてくれたおじの屋敷に出かける。疎遠だったおじの一方的な好意に振り回される。後半では主が不在となった屋敷にとどまるビリディアナが俗なるものとの関わりを通して大きな変化を経験する。解釈しようとすればするほど突き放される作品だった。 pic.twitter.com/uqtk96kjxO
— 高卒派遣社員 (@hidari_s) December 15, 2021
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第6夜 『ある夏の記録』監督:ジャン・ルーシュ、エドガール・モラン 講師:小森はるかさん&月永理絵さん
『ある夏の記録』60年代のフランスで”あなたは幸せですか?”と問いかける。路上、仕事場、落ち着いた部屋でのインタビュー、カフェでの討論、観光地の喧騒、レジャーを楽しむ家族。暗い過去や鬱屈した気持ちを吐露する人。個人の生活史を見せた最後にドキュメンタリーの前提をひっくり返す仕掛けあり。 pic.twitter.com/WIEm6f8RlE
— 高卒派遣社員 (@hidari_s) December 16, 2021
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ちなみに第7夜はロッセリーニの『イタリア旅行』。上映後は三宅唱さん&大川景子さんのトークだそうです。参加できないのが残念…
今回選ばれた作品は「撮るもの/撮られるものの関係」「カメラの持つ暴力性」「映画が映し出す真実とは何か」というようなテーマが内包されているように感じました。登壇された映画作家のみなさんはが口々に、(アップリンク問題を踏まえた)問題意識に言及されていたことも印象的でした。いち観客としてアートハウスに足を運び続けることはもちろんのこと、善き観客として出来ることが他にも何かあるのだろうか?と考えさせられました。
登壇者の皆さん、運営スタッフの皆さん、全国の映画館の皆さん。本当にありがとうございました。配信イベントが何の問題もなく円滑に開催されるって実は大変なことですよね…第3回が開催されることを願っています。