今日見た映画(2020/06/12)
・セサミ・ストリートへ愛を込めて ~エルモに命を吹き込んだ人形師 監督:コンスタンス・A・マークス(2011年)
ケヴィン・クラッシュという名前を聞いて誰か知っている人はそう多くないだろう。ではエルモの後ろにいつもくっついている黒人男性、といえばどうだろう。子供の頃から見ていたあの声のキャラクターは彼によって操られていたのだ。このドキュメンタリーではセサミ・ストリートを見て人形師に憧れた男が最終的にセサミ・ストリートを作る側になるまでのストーリーを描いている。ナレーションはウーピー・ゴールドバーグ。この作品の中で明かされているエピソードで意外だったのはエルモには前任者がいたということだ。1980年代初頭、エルモを操っていた人形師の名はリチャード・ハント。番組初期から参加している人物で、その頃を知る仲間いわく「彼はこの役を演じるのが嫌いだった」と振り返る。当時のエルモは声が低く言葉遣いが汚ないキャラクターだった。リチャードが投げ出したあの赤い人形を引き継いだ人物こそがケヴィンその人。「愛」をエルモの中心に置き、ハグ・キス・言葉で愛情表現をするキャラクターとして新たに命を吹き込んだ。「10代の男子がお人形遊びしてる」と周囲に後ろ指をさされる息子に「好きな道を歩みなさい」と背中を押した両親の人格が投影されているそうだ。生まれ変わったエルモが人気になるにつれ「エルモに会いたい」というリクエストが増えてくる。死期が迫る幼い子どもたちの願いを叶えるケヴィンの姿は感動的だった。幼い頃のケヴィンと同じよう、将来人形師になる夢を持つ子どもがスタジオを訪れて自作の人形を披露したり様々な質問をするシーンも良かった。セサミ・ストリートの中心人物のなるにつれて妻や娘と疎遠になっていくことへの葛藤も描かれていた。(娘の誕生日パーティーでL.L.Cool.Jのお祝いコメントをプレゼントとかヤバすぎ)ボルティモアの貧しい労働者階級の家庭に生まれた黒人男性が世界中を魅了する存在になるまでの物語。このご時世に見ると味わい深いドキュメンタリーだった。
映画自体の感想はここまで。2011年公開ということもあり、ケヴィン・クラッシュの現在が気になり調べてみると衝撃の事実を発見。
「発端となったのは、クラッシュ氏と交際していた男性(23)の発言。今年6月、番組を制作するセサミ・ワークショップに、同氏との関係は16歳の時に始まったと話していた。ワークショップ側は今月12日、徹底調査の結果、同氏が未成年者と性的関係を持った事実はないとの結論に達したと発表した。」
ゲイであることは別として、50前後の立場ある男性が16歳の男子に手を出すとか。これはちょっとどうなんだろう。
2013年よりエルモ役はライアン・ディロンに交代して現在に至っている。