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【プレビュー】vs鹿島アントラーズ Make a New History!【FC町田ゼルビア2024年J1第38節】
こんにちわこんばんわ、ひだりです。
2024シーズン日程発表時からわかっていた最終節の鹿島アウェイ。
「鹿島が最後なんて……最終節ひょっとしたらなんかあるかもね」程度の予感がいくらかあった……とはいえ、これほどのクライマックスを予想できた人は流石にいないのではないでしょうか。
町田からすると優勝を持ってくるには勝つしかないこの一戦。
鹿島は勝てば勝ち点65に到達。3位町田の勝ち点66には届きませんが同時刻開催のガンバvs広島戦の結果次第で4位浮上の可能性があります。
リーグ戦、ルヴァンカップと今季野津田で2度敗れている相手とのホーム最終戦で、シーズントリプルからのシャーレアップなんて絶対にさせたくない鹿島も、当然負けられない。
町田は過去に相馬直樹さんと秋田豊さんが監督を務め、本田泰人さんをフロントに入れ、中島裕希や平戸太貴、昌子源と「元鹿島」の選手に支えられてきたクラブなので、古参勢はアントラーズへの畏怖と敬意を込めて現地に向かうのであります。
— 大島 和人(Kazuto Oshima) (@augustoparty) December 5, 2024
町田にとってひとつのクラブのモデルであった鹿島と、しっかりかかるものがある今季最終戦、舞台は整いました。
2024年J1リーグ第38節 vs鹿島アントラーズ戦。今シーズン最後のプレビューです。どうぞよろしくお願いします。
試合の背景
鹿島アントラーズは10/5(土)開催の第33節・アウェイ新潟戦(4-0で鹿島勝利)の翌日、10/6(日)にポポヴィッチ監督解任を発表。
その後、10/9(水)ポポヴィッチ体制でトップチームコーチを務めていた中後雅喜氏が監督に就任。
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保持型に2勝、守備型に3スコアレス。さて今節は
中後監督就任以降、ここまで5戦戦って戦績は2勝3分。
対戦相手で見ると、鹿島が勝利したのは川﨑とセレッソの保持型チーム。
福岡・名古屋・京都と守備に特色あるチーム相手にすべてスコアレス。(特に名古屋は非保持とは言い切れませんが)
この星取推移をふまえると、後者・非保持守備型に分類される町田との対戦も、大ポカのない展開で進めば、スコアレスの時間帯が長く続く1点を争うゲームになる可能性が高そう。前節・京都戦に引き続き、ジリジリとした隙の突き合いが予想されます。
鹿島戦前に読んでおきたい2記事
中後アントラーズがやっているサッカーについては、鹿島のサッカーを追い続けているタケゴラさんが現状分析記事を公開しており、これまでの経緯もふまえ非常にわかりやすく説明されています。
また12/3(火)に公開された昌子の「発源力」がもう素晴らしい。
現場の状況、雰囲気を伝える生の声、それも鹿島を深く理解しているキャプテンの言葉でチームの戦い方まで言及されている。
この2つを読んでおけば、もうプレビュー十分な気もしますが……少し細かにデータや映像を見て展開予測していこうと思います。
ハイライト
鹿島アントラーズの現状
Football Lab の鹿島アントラーズのマッチレポートページの数値を集計して中後監督就任後ここ5戦のスタッツデータ平均を算出、今季全体の平均値と比較したものが以下の表です。
表中、青いセルは今季平均より低下した項目、赤いセルは今季平均より上昇した項目です。
スタッツ
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目立つ変化が見られる指標は以下。
ゴール期待値の低下
-50を越えるパス数の大幅減
クリア数の増加
チャンスビルディングポイント
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チャンスビルディングポイントも同様に見ていくと下記が目立ちます。
攻撃、パスの低下
クロスのやや大きめの低下
奪取が低下する一方で顕著な守備の向上
ポポ→中後体制で変わったこと
映像とデータ推移を見る限り、ポポ体制から中後体制への移行で以下の3点に変化を感じます。
チーム守備の再構築(442ブロック守備の整備)
ビルドアップへ過度にこだわらない前進
攻守における素早いトランジションの徹底
(2022年以前からのゼルビアサポーターの方であれば記憶濃いと思いますが)ポポさんのサッカーは、ビルドアップの過程で前進が難しくなると、最終ラインとサイドでの組み立て直しを多用します。その一方で、相手陣にスペースがあると見るや、人・ボールともにアグレッシブに動いて、スピーディーに攻め切ることを求めます。
時にポジション配置を崩してでも相手陣に迫るため、パスミスやトラップミス、球際争いでボールを失った際、自軍の守備の型が崩れたまま一気に相手のカウンター攻撃に晒される脆さがありました。また、その脆さは時間帯が深くなるにつれ頻発しがちでした。(2022年終盤に見慣れた光景。)
中後体制では、ボールを奪っては素早く攻め上がり、ボールを失うと素早く帰陣して442ブロックを組む、基本的な規律の徹底を通じて、この辺の「ポポさんのチームあるある」を切り離す改善が見られます。
フォーメーション:442(攻撃 244 撤退守備442)
相手ビルドアップに対してはミドルブロック&積極的なプレスでボールホルダーの自由を奪う。
自陣撤退守備では442で堅固な守備ブロックを敷く。ボール奪うと中盤経由で奪取の勢いそのまま加速。ボランチを底にサイドバックも高い位置を取り、縦楔と幅を使った攻撃 双方をチラつかせながら相手を押し込む。
ハーフレーンに流れてポスト役・フィニッシャーとシチュエーションに応じて柔軟に役割を替える鈴木優磨が常に賢い。
要は鹿島らしい442回帰ですが、相手ゴール前をワンタッチパスで連携するテンポ良い崩しやレイオフでボールを落として1.5〜2列目の選手を活かすアタックには、ポポさんのサッカーから続くエッセンスがいくらか残っているようにも見えます。
タイトな試合展開を質の高い個で取り切る
守備型チームから点を取れていない事実が示すように、鹿島がゴール決定力に一定の課題を残している向きはありそうです。
それでも、442ベースの膠着した展開であれワンチャンスで勝ち切れる質の高い個がある。
川﨑戦の三竿ゴール、セレッソ戦の2得点が個の能力を活かして勝ち切った典型例です。
監督交代がシーズン終盤ということもあり、ポポ体制からガラッとやり方を変えたというよりは、守備の見直しをメインに「引き締めた」印象。
守備のやり方を整えたことで、ポジティブトランジションのタイミングではより安定した態勢から裏やサイド、縦楔と鋭い攻撃を狙えるようになっています。
規律だった442で鹿島らしい守備・ハードワークを取り戻しつつ、前線の崩しに今年指向してきた取り組みも活かす。オーソドックスなスタイルに今年1年分の積み上げを足した状態で来シーズンへつなげていきたい意図を感じます。
試合のポイント
互いに手ごたえあるやり方でのぶつかりあい
一方の町田も、FC東京との国立決戦で3バック変更を契機に、選手の個を活かす術・チームとしての手ごたえを取り戻し、この最終節へ間に合わせました。京都戦含め2連勝を経て、チームのバイオリズムは間違いなく上がっています。京都戦でのCB中山、MF荒木の戦線復帰も好材料です。
両チームともに苦しい時期をすこし越えた「復調傾向」の最中にあることを考える「うまくいっている部分は大きく変えない」原則に基づき、双方いま最も手ごたえを感じているやり方で試合に臨むものと思われます。
町田は3バックの前向き守備、ロングボールを生かした前進とサイドの仕掛け。
鹿島は442ブロックで中盤〜自陣をコンパクトに締め、奪ったら速い攻撃。
ブレずにらしさを出せた方が戦況を優位に進められる。
前節スタメンで町田3142 / 鹿島442 を配置すると以下の通り。
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町田の優位ポジション:アンカー、CBの数的優位
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町田の優位ポジションはアンカー。
アンカーにボールが入った際、サイド・IH・CFが前にいるため、展開できる先は多い。
また、3CBは442の2トップに対して数的優位を保てるため、最終ラインからの展開は比較的行いやすそう。
ロングボールでオセフン・望月へのフィード、最終ライン裏狙いのロングパスの他、CBに相手プレスが来た場合、配置上、中盤に空いたスペース・人が生まれるはずなので、前進の糸口にできそう。
町田はロングボールで陣地を前進させた上でIH・WB・FWが関わりながら鹿島442の守備ブロックを広げて、空いたスペースでの間受けや裏抜けなどでゴールに迫りたい。
鹿島の優位ポジション:サイドの厚み〜SBを起点とした攻撃
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一方、鹿島視点で見ると対3バックの定石としてまずWBの裏は狙いやすい。
WB裏を狙うことで町田のWBを押し下げることができれば、鹿島のSBもフリーでボールが持てるので、偽SB的に内レーンに入る動きや逆サイドへの展開など前進の起点になる。
サイドバックを高く上げるため、柴崎が最終ラインに降りてハイライン強いて最後方からゲームメイクするやり方(334のようになる形)はあり得る変化。前節、京都が失点後に猛攻を仕掛けてきた時間帯の展開は鹿島側にもスカウティングしてきそう。
セットプレー・リスタートのかけひき
拮抗した試合は得てしてセットプレーで決まったりするものなので。
両軍にセットプレー・スコアラーがいる状況なので、セットプレーを仕掛ける時も仕掛けられる時も全集中で対応したい。
相馬だけに見えてるスペースに、誰か飛び込めるといいんだけどね。相馬のキックも相当キレてきているので、もう一撃お願いしたい。
こういうの見ると、クイックスローで近くに投げちゃえって思っちゃう。
個で負けない
現在の鹿島と町田、まず相手のストロングを出させない試合運びを狙うチームである点は共通する。まず人に制限をかける守備アプローチ同士なので、結局は個と個のマッチアップで勝ち切れるかどうかが勝負を分ける。
サイドで仕掛けて相手を抜けるか、相手の仕掛けや侵入を止められるか、ゴール前の空いたスペースに相手より半歩先に入れるか。
後手を踏めば鹿島はどんどん押し込んでくる。強い気持ちで前に出たい。
今季一番、町田らしいゲームを
個で、チームとして、相手に勇気を持って仕掛けていくために必要なのは、まずはなによりも自分たちがやってきたこと、取り組みに対する確固とした自信。
今年のJ1を盛大にかきまぜ、優勝争いに再度喰らいついた、町田のやり方をピッチ上で全開に表現してほしい。
ただ目の前の勝負に勝ち切る、今季一番、町田らしいゲームが見たい。
まとめ
いまの鹿島が見せるオーソドックスな442は、相馬ゼルビアが縦横超圧縮に到達する前、2016・2017あたりのシンプルな戦い方にもかぶって映る。
黄金時代から長く続く鹿島らしいやり方というものがあり、それは確かにいまある町田のサッカーの祖系のひとつだなぁというのはこのプレビューのために映像見ていて感じたこと。
2022年までの計5シーズン半、#FC町田ゼルビア に所属した #平戸太貴 選手がゴール裏へ👏
— FC町田ゼルビア (@FcMachidaZelvia) December 1, 2024
スタンドに見えたのは、
サポーターが大切にしてきた「10」の数々💙
懐かしい声に思わずこみ上げる、平戸選手との再会でした✨@taiki_hirato#1130京都 #zelvia #sanga pic.twitter.com/NrQQEYuKkt
キング平戸 涙の野津田凱旋を経て、更なる自分たちの源流・クラシックに挑むチームの構図はとても漫画的で、ドラマチックで……身も蓋もなく言えばとてもエモい。
「きっとJ1に行けば……」そんな風に思っていたらJ2よりずっとダイナミックにざわついて、いろいろな声で苛まれた1シーズンでしたが、流石にもう、余計な声なんて聞こえない。
「鹿島という歴史あるクラブに、全部をぶつけたい」
最新型の、いまの町田の全部をぶつけて、勝ちにいこう。
去年の熊本や今年の埼スタの前にも近い、闘う覚悟が今週はある。選手たちが全力を引き出せるよう、日曜日はビジター席で全力声出して飛び跳ねに行きます。
みなさん風邪や体調不良にはくれぐれも気をつけて、今シーズンの最後、最高の週末にしましょう!共闘!