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【レビュー速報版】vs東京ヴェルディ戦 【FC町田ゼルビア 2025 J1第3節】

おつかれさまです。ひだりです。

黒田体制で最悪なのではというほどキツい試合となったヴェルディ戦。一番気になった前半を中心に、軽く見直してみました。

前半

序盤5分すぎくらいまでは、町田側も前傾姿勢を取れており、ハイボールも含めた前方向での空中戦バトルからこぼれ玉を一気に敵陣へ持っていく動きを見せた。

キックオフ直後の相馬のシュートも含め、出だしは決してまずい入り方という空気はなかった。

新井・翁長による町田右サイド撹乱

だが、前半6分、町田自陣右サイド ペナ角付近からイボのロングフィードを山見が身体にあて、相手ボールとなってピンチになりかける。
このタイミングでは、イボのロングフィードを信じて望月が前方へのランニングを仕掛けたものの、イボがボールを奪われてしまったことで、結果として右サイドへの対応が遅れる形となった。以後、望月・イボが相互にカバーし合う姿勢を見せるも、細かなエラーも重なりそのカバーそのものがうまく機能しない。

町田が地上戦ビルドアップへチャレンジする中、ボール奪取に強い姿勢を見せるヴェルディの網にひっかかりまくった。

ヴェルディの左サイド新井の仕掛け・持ち出しと翁長のサポートや機を見た飛び出しで、望月ヘンリー・イボがケアする町田の右サイドを面として狙われた。
イボが山見や新井のケアに引っ張り出されては、望月が後ろを埋め、結果、町田右サイド守備の重心が非常に重くなった。

望月のタスクとしては幅を取って開き前進を狙いたい。望月もその意識はあり、GKからの再開時やボールを逆サイドへ展開する際、たびたび幅を取るポジショニングを試みるのだが、ヴェルディの最終ラインへのチェックが速く結局望月もサポートに降りることになった。また逆サイド経由展開の際はヴェルディのサイド圧縮守備の影響で両軍のプレイ全体が左サイドに集中、逆側で高く張っている望月がゲームに関与できなくなるため、やむなく1〜2レーン程度内に入る≒幅を保てなくなることも多かった。

また望月のところにボールが流れてきても、前方を翁長や谷口が埋めている状態が多くオープンスペースがなく、近い距離で堰き止められることになり、前方へ一気に加速するのは難しかった。

町田右サイド制圧の背景:森田による前の監視

新井・翁長の撹乱が成功した背景には、町田の右ボランチ前に対する森田の監視があった。
町田右サイドをサポートする機会の多い前を規制し収めさせないことで、結果、望月・イボとの連動を妨げた。

前へのチェックから生まれた決勝ゴール

前への監視体制は意識的に行われ、12:30 前が後ろからのチャージを受けてボールロスト、ヴェルディの前向き数的優位(ヴェルディ4:3町田)の状況が生まれる。
山見がドリブル前進、左サイドに抜けた新井がシュートを匂わせつつふわりとした浮き玉で町田守備の頭を越して反対の齋藤功佑へ。齋藤功佑も巧みに逆側サイドネットに流し込むハーフボレー。

ボランチがボール奪取のターゲットにされ、一気にゴールに持ち込まれる、というのはまさに前節ヴェルディが鹿島2点目で森田に対してやられたこと。しっかり反省が生きている。

逆に町田からすれば、自分たちがやるべきだったことを完全に相手にやられた形だった。

町田の左サイド前進(相馬・中山)には人数かけて塞ぐ守備

切り替えて左サイドでの前進を図るも、谷や昌子のロングフィードのズレも多く、なかなか効果的な前進を作れない。
町田の左サイド前進に対しては、ヴェルディが全体を右側へに圧縮ブロックを構成し、そもそもDFに関わる人数を多くした。
相馬がキレの良い動きを見せても、ひとりが粘り強く張り付くことで動きを遅らせ、そのうちに他の選手が自陣に戻り塞ぐ守備を徹底した。

左サイドでボールを奪うと、前線の山田へ速いボールや、対角に大きく展開し、ヴェルディ選手が一気に右方向に雪崩れ込んで行くアタックもよく見せた。
勢い持って前に出られると、やはり町田は全体に後ろに下がらざるを得ない。

プレイエリア低くデュークもゴールに迫るシーンを作れず

左右の前進が機能不全を起こし、ロングボールも飛んでこない。そうなるとデュークもどうしてもボールを受けに後ろに下がらざるを得ない。

目と判断の良さを活かした意外性のあるボール捌きで良い展開も見せたが、どうしても横や後ろ向きでの関わりが多く、ゴールへ直結する迫力を見せることができない。

ミスの多発で局面を変えられない

改めて見てみると、一応あの手この手とライン取りを大きく上げるための取り組みは折々試行していた。だが、ヴェルディ側のプレスの圧を感じ続けた影響か、基本的なパスやトラップなどでエラーが多く、なかなか継続的にボール保持で前進することができない。

9:19 谷ロングフィードで陣地回復はかるもタッチを割る。

11:11 昌子ロングスロー前進試みるもほぼ不発で相手ボールへ。

18:11 望月、敵陣高めでボールを収める。中央に相馬、前線にデューク、西村あたりがいるも、中途半端なミスキックが流れてタッチを割り攻撃終了。

21:10前の鼻先で森田にボール奪われ、山見がドリブル前進を見せるも、バイタルエリア手前で回避、望月がドリブル前進を見せるもすぐ前を塞がれる。

22:10 GK再開、右サイド経由での前進図る。イボ→白崎→望月とパス渡る。白崎が中央にいる前を指差しパスを指示し、望月はパスを出すもボールが弱く前のところまで届かず、森田にボールさらわれ攻撃終了しネガトラ移行を強いられる。

新井の好守:この日のヴェルディの象徴のようなプレー

39:48 ヴェルディ新井の素晴らしいチェイス!

ボールを受けた白崎へのアプローチにはじまり、白崎が後方のイボに戻すと二度追いで突撃、イボは望月に渡すも三度追いで突撃、望月イボに戻すと四度追いで突撃。
結果、イボのミスを誘い、新井自身は転びながらも傍から出てきた翁長がこぼれ球を回収して前進につなげた。

もうこの日のヴェルディの良さはひとえにこういう部分に尽きる。
この日のヴェルディはガンギマリで走って、闘えていたのだ。

後半

後半はデュークに代えてナサンホ。
左に相馬、右にナサンホとシンプルに前へ当てて、収めて、ドリブルではがすアプローチも交え、攻撃の態勢を変えていく町田。

対するヴェルディは前に出てくる町田の動きも想定してややライン深めに構えながらゴールを塞ぎ、町田がボールを下げればチェイス、奪えればカウンターと、防御姿勢を鮮明にさせていく。

望月は大外レーン高めをなるべく意識する形にポジショニングがやや改善。逆サイドからの展開を受けると、前方や右サイド大外へのランニング・谷からのロングボールを受けるポスト役としてセンターライン付近に張るなど、位置問題の面は一定の改善を見せた。

59分、GKまじえた自陣ビルドにプレスをかけられ、谷→前から岡村へのバックパスがコースをそれ、山田剛毅へのプレゼントパスに。正面から強烈なシュートを打たれるも谷が弾いてセーブ。プレッシャーかかり続ける中で、どうにもエラーが多い。

64分、西村・白崎に代えて下田北斗、オセフンIN。
ここから徐々にロングボール戦術に戻していく。

存在感を見せた下田北斗・オセフン

驚くべきは下田北斗が入ることによる中盤管理の改善。67分、周囲に指示を出しつつサポートできる位置に移動し自らボールを受ける。前方の相馬の胸元へピタリと届く高精度キックに至るプレイは圧巻だった。

オセフンが入ることでシンプルなロングボールが躊躇なく入れられるようになる。
最終ラインでのパス交換でプレスをいなしつつ、前進そのものはロングボールをオセフンに入れていく。

中盤のスムーズ化、こぼれ球奪取のための空中戦の多発と合わせて町田の攻撃の加速局面が増えたことで相手のファウルを誘いセットプレーのチャンスも増えていく。そうした流れが試合終了まで続いたことになる。

漢・昌子源、怒りの顔面ブロック

74分、新井が縦楔を受けたこぼれ球を大外から疾走する翁長がかっさらい一気の突破を試みる。岡村がクリア対応にかかるも、岡村の蹴ったクリアボールが翁長の身体前面に直撃、ゴール方向にこぼれ、キーパーと翁長の一対一に。流れの悪い試合ではこういうトラブルはなぜか起こるもの…。

谷が翁長の正面〜ニアサイドを埋める形で飛び出さず構え、スプリントで帰陣し中央〜ファー範囲のサポートに戻った昌子が加勢。
シュートフェイントをかける翁長の正面を埋める粘り強い守備対応から、体制崩されながらも翁長のシュートを寝転んだまま顔面ブロック。

ボールはタッチを割り、2失点目の危機を間一髪で回避した。

藤尾・林投入でパワープレーするも得点できず

76分、望月・イボに代えて藤尾・林投入。スクランブル体制でパワープレー、ハイボールの嵐に。

77分ヴェルディのコーナーキックでは、ゴール前で相馬・翁長がポジション取りで激しくやりあい審判に二度止められる。二度目で相馬がイエローカード。(やり合い激しいながらファウルというほどのことはなさそうだったけど、あれ抗議なの?)

83分ナサンホのダイレクトボールを皮切りに攻め続けるも、徹底したゴール前の守備ブロック構え+GKエリソン、DF谷口らを筆頭とする集中した対応によりゴールを割らせず。

ロスタイム6分までCKから超高圧的にシュートの嵐を浴びせるも最後までネットが揺れることはなく試合終了。町田0-1ヴェルディ
おつかれさまでした。

まとめ

前半の酷い展開の主な理由は、主に下記あたりのようです。

  • 新井・翁長コンビによる町田右サイド撹乱

  • ボランチ前の徹底監視で右サイドを機能不全化、イボ・望月との連携を遮断

  • 町田のストロング左サイドには人数かけた塞ぐ圧縮守備で相馬・中山の前進を食い止める

  • 左右前進できず、デュークもライン低いプレイ強いられゴールも遠く

  • ヴェルディの激しいプレッシャーかかる中でキックミスの多発

  • とにかく真っ直ぐにヴェルディが走り戦った

まずヴェルディが打ち出したハイプレッシャーな状況ありき。町田の低い位置でのポゼッションはむしろヴェルディ側の出方を勢いづける結果となった。

チャレンジの必要性とチームとして保つべきものの天秤

その上で、今回のゲーム通じて2025年ゼルビアの3バック構想の現状の脆さを晒してしまう結果となった。
特にイボ・望月の連携の課題とチーム全体に漂った焦りから来るエラーの多さは非常に残念だった。

判断スピードの遅さも、けっきょく日頃のトレーニングと実戦で積み上げていかなければ改善はしていかないものなので、現行のスタイルを更に改善していくのが基本線であるべきだろう。

ただし、それが人が代わって実行不可能になるレベルのスタイルなら、スタイルが崩れた時に穴を開陳することにしかならないので話が変わってくる。

ハイラインを保ち、3CBから高い位置を取り、WBを押し上げ、前線中盤からガンガンとプレスに行ける態勢を取ってはじめて目標とする3421に辿り着くはずで、そもそも3CBが高い位置を取れないならばこの形に固執する意味はあまりなさそう。

町田が黒田体制はおろか、それ以前からチームの強みとしてきた選手全員が連動してのプレスワークが影をひそめてしまうようでは元も子もない。保ちたいのは静的な配置ではなく、相手に高強度の圧をかけ続けられるサイクルなのだから。

広島戦前半のように昌子、岡村大八、ダビドリューホの三人が揃っていればまた違うのかもしれないが、ダビドの不在によりこの形がもし難しいのであれば、選手がチームとして迷いなく遂行できるやり方をとっていかないと、結果として選手のストロングも十分引き出すこともできないように思う。

それでも3421で習熟していく方向を選んでいくなら、今回露見した右サイド対応のあいまいさはロジカルに解決していく必要がある。

その際は、おそらく望月・イボだけではなくボランチのサポート、IHのフォローも含めチーム全体で右からでも前進できる形を成立させていかなければ、明白な弱点として突かれ続けることになりそう。

とりあえず休め休め!

次の名古屋戦もすぐ来てしまうので、選手・監督たちもまずは心身休め、十分な回復を祈りたい。

その上で、今回起きた事態を正しく振り返り、この手痛い一敗を必ずチームの向上につなげる材料にしてほしい。

強い気持ちで、戦い続けましょう。共闘🔥

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