ポゼッション率は優位性を示さない〜2024J1第17節 vsアルビレックス新潟【FC町田ゼルビア】
こんにちわこんばんわ、ひだりです。
負けた時しか書かないことに定評のある私のアルビレックス新潟戦、レビュー・雑感記事です。
どうぞよろしくお願いします。
前半
ゼルビアは新潟の中盤パスをカットしての速い攻めを目指し、前傾姿勢でゲームに入る。
最終ラインでのパス交換からロングボール。中盤で圧力の高い新潟のプレッシングに対してはショートパスでの回避〜空いた逆サイドへの展開を絡めて前進を図った。
新潟は縦関係の位置移動を頻繁に繰り返しつつ、初手は中距離程度のミドルパスで前進を図る。
新潟に目立ったミドルパスでの前進
新潟の出方は、
2列目のスペースに選手が出たり入ったりする
小島を絡めたビルドアップ(というか町田ハイプレス牽制)
前進にはサイド高めへのミドルパスを多用
新潟は自陣ビルドアップではボールの出し手も当て先も柔軟な可変を続けるため、町田はプレスのハメどころを設定しきれない。町田の鉄板策であった最終ラインへの同数プレスによる中盤パスコース消しは無効化される。
これをふまえ、町田側も前半わりと早めからハイプレスはサイド誘導+キック精度低下を狙う単騎プレス程度となり、ファーストプレスラインをやや下げミドルプレス気味での中盤奪取に切り替える。(これは想定の範囲内と思われる)
町田の攻撃:保持まじりロングボール
町田はロングスローやコーナーキックなどセットプレーも活かし守備ラインを押し込み、クリアボールを即時奪回して二次攻撃、三次攻撃へとつなぐなど、圧力をかけ続けていく。
ゴール前での惜しいシーンも度々作るが、町田の精度欠いたフィニッシュ、新潟の粘り強い守備の前に決め切れず。
サイドで町田がボールを持った際、新潟のCB+α、中央ゴール前で2、3枚が気持ち早くリトリートする印象もあり、クロスの跳ね返しには注意深く対応していた。
この日の町田は、新潟プレスに対し大きなパスで左右サイドを入れ替えるなど、ほどほどボールをきちんと持ったアクションが目立った。
雑なロングボール攻勢をかけると、新潟にボールが渡りポゼッション機会を与えることになる。新潟のポゼッションで戦況を持っていかれることを防ぐため、ボールをつなぎつつ、なるべく良い状態でロングボールを使いたい意図を感じた。
一方で、隙を探すための慎重さから、前に刺せそうなタイミングでのバックパス、ゴールから迂回するような前進も散見された。
新潟の攻撃:ミドルパス→少タッチ数でのプレス回避→ドリブル前進
序盤の時間帯を超え、町田のファーストプレスが減ってくる時間帯、徐々に新潟のサイド高め起点でのアタックが機能しはじめる。
長足パスのトラップ時、ファーストタッチでの町田圧力のかわしや1タッチ2タッチでのすらしが巧み。
町田新潟と攻防入れ替わる中、新潟のターンで中盤守備でつぶしきれない中、先制点につながるシーンが訪れる。
小見のアグレッシブなドリブルでの仕掛け
前半23分、中盤でのパスワークの奪取を想定していた町田からすると、小見の勢いに負けた中央突破からCB裏をぶち抜かれて失点。
結果論だが、ポゼッション率リーグ1位の新潟は「当然パスで展開してくる」と警戒していた分、中央をまっすぐゴールに向かうドリブル突撃は、結果として町田からすると「奇襲」に映った部分もあるかもしれない。
小見からパスを受けた長倉に対して自陣方向に戻る林のリカバーが、結果として自陣方向守備裏を突くスルーパスのようにつながったのが痛かった。
新潟の前進に対してボールを奪い切るならば林の身体の向きからチャレンジするのはエラーであるし、緊急的な対応とはいえクリアに持ち込むならばしっかりと帰陣を優先すべきだったし、リトリート対応に持ちこみたかったであろうCBとは判断のズレが生じていただろう。
また、新潟からすれば、小見が単騎のやや強引な持ち上がりを見せても、長倉のポストプレイも小見に対して正しくアジャストすることで、間延びなく適切な距離感でのパス交換を使える形を取っていた。
その結果が偶然性のある裏こぼれにつながっており、起きた結果は偶然でも、起きた理由は明確にある偶然だったように見える。
町田イメージ通りのロングカウンター
ゴール直後、勢いに乗る新潟。
CBチャンミンギュの外に出すクリアボールを真横で小見がカットし、クロスボールに谷口が谷の頭を越える浮き玉ヘディングシュート、得点されかけるも、昌子がゴール前を守りヘディングでクリア。
その後、26分に新潟コーナーキックのこぼれ球を回収、一気のロングカウンターで平河の右サイドからのクロスでGKを外して藤尾がキッチリとフィニッシュ。
自陣コーナーキックからかなり距離のある攻撃だったが、この日町田がやりたかった攻撃イメージがまさに凝縮されていた。
新潟、町田の十八番を奪う中盤奪取からのショートカウンターで加点
得点直後の同点弾で振り出しに戻すも44分、GK谷→CBチャンミンギュにパス。
新潟左サイドの谷口のプレスを受けたチャンミンギュから平河への縦楔を新潟・早川の素早いチェックで奪取してショートカウンター発動。(ここ奪われた後の町田プレスも緩い印象!これは良くなかった!)
谷口→長倉がペナルティエリア内に持ち込んで、中央に落としたボールを谷口がシュート、DFにあたってこぼれ球を右SB藤原奏哉が押し込む。
町田がやりたかった攻撃を完全に新潟にやられた形。
前半終了
後半
後半に入り藤本outナサンホin。
後半の入りはハーフタイムにお灸を据えられたか、自陣守備での守備対応では「ゴールを背中で隠す」は笑えてしまうほどしっかり徹底されていた。
ただ逆に言えば、アラート状態になり過ぎたがゆえに、対応の柔軟性を失っていた面が現れていたのかもしれない。3失点目は力んだチームの虚を突かれるものだった。
なぜか奪われたオウンゴール
ここからまた追いつくぞ、とリスタートを切りたいタイミングの52分、新潟、秋山裕紀のフリーキックが谷口とチャンミンギュの競り合いの上ですれてオウンゴールに。
フリーキックも秋山の回転をかけた良いボールだったが、風の影響かボールの変化の仕方はかなり不思議な動きを見せた。ゴール後の秋山本人も回転の変化をかけたのは意識的とはいえ、DAZN見る限り完全に狙ったというより入っちゃったよというしてやったり半分びっくり半分といった笑顔だったように見えたが、はてさて、、。
ともあれ、ああしたボールがゴールに入る、また防げないのがこの日のゲームのムードだった。こういう日にうかつなファウル、FKを与えたことが良くなかった。
交替策、変化を尽くすもズレる町田、硬めて良い新潟を前に功を奏せず
2点差となり、いよいよ点を取らなくてはならない町田。
59分オセフンに替えてエリキ入れて裏狙い、59分鈴木・藤尾・仙頭out ヘンリー・デューク・荒木inで前の起点、中盤でのパステンポの変化をつけて反攻を図る。荒木ボランチはちょっと久しぶりの印象で相変わらずの万能性。
守備時3バック気味の振る舞いも見せて、新潟が繰り返していた2人ユニットでのサイド前進に対応できるようになる。
デュークのプレスバックやヘンリーの新潟ミドルパスへの跳ね返し+サイド起点となり、一定の効果はあった。
ただ、その効果は点差をふまえ新潟が前に出なくて良い状況も手伝ってのものでもある。
藤尾交代直後の後半72分56秒ころ、町田陣内に蹴り込まれた新潟GKの間接FKのヘディング競り合いからボール回収。
早いテンポのパスで展開したい荒木の軽い落としと、ボールを下がって受けようとした柴戸で距離感が合わず、一瞬だけ呼吸がズレたシーンがあった。
このシーンでボールを奪われることはなかったものの、実に今節の試合のちぐはぐさが現れていたシーンだった。
ヘンリーは前進、クロスともにかなり良くなっている点は今節の数少ない光明。ヘンリーの緩めに低下弾道でふわりと飛ぶクロス個人的にすごく面白い。速い球と緩急つけて打てると良さそうな気がした。
新潟は交替策で守備強度を担保しつつ、自信あふれるパス交換やコーナー付近での時間消費もうまく運びつつ、町田は最後まで決めきれないまま試合終了。新潟3-1町田で敗戦、玉川マッチデーの勝率を上げたい。。おつかれさまでした。
総括雑感
町田が攻めないといけない立場なので当然ポゼッションは高くなるわけですが、新潟、トータルでそこまでチャカってない。むしろ平たく町田に合わせてきたようなスタッツ差になっている点が、この試合の展開を物語ります。
反証的に、ポゼッション率の数字だけで試合の優位性は示されないことをJ1最多ポゼッションチームであるアルビが証明した点も興味深い。勝ったからアルビが強かった。
総括
町田のお株を奪う中距離パスでの前進、中盤奪取でテクニックも活かした新潟の完勝。
町田のゲームプランを凌駕した新潟のプレーの目の細かさ。
町田がボール保持者のいるレーンを押さえても、新潟はサイド2レーンをうまい距離感の2、3人で使ってフリックですらしドリブルで前進した。町田の対応そのものはおそらく良くも悪くも事前の想定通り。得点シーンやそこそこあった決定機の数考えても、選手もプラン遂行のために全力を尽くした点は疑いない。
ただボールを奪う出足、迫力は確かに欠けていた。林であれチャンミンギュであれ浦和戦勝利が残した身体以上にメンタルや判断、脳疲労に新潟のパス連携力が沁みた。燃え尽き気味というか、サポもうっすらわかると思うなにか。町田の前傾姿勢の守備の狙いが逆にハマった(新潟からすると、ちょっとズラしで裏返せる)
先制され後手を踏んだのが全て。天皇杯に続いて得点で小見ちゃんさん正式な町田キラー襲名。ぐぬぬ。
雑感
今節の町田に、相手の出方ふまえガッシリと受け止める強靭さはなかった
結果論として、今節については「奪って速く攻める」ではなく「しっかり耐えて裏を取る」が正解だったのは町田得点シーンからも透けて見えた。
相手から見て「つまらない展開」に持ち込めれば勝率は上がりそうな現状。
うまくハマらない時はスローインに逃げる・前に蹴る・リスク高なチャレンジよりリトリートなど試合の流れ見て対応の向きを判断することの重要性。1失点目 : 攻撃の時に守備のことを考えられているか。
町田のCKからロングカウンターにあったように守備の時に攻撃は考えられていたと思う。でも逆はどうか。
まず守ること、守れるは勝てることをやりきれていたか。「町田にはボール持たせればOK」と考えゴール前を固める相手にキレイな崩しは難しい。
ハイプレス継続やロングスローなどダメージを与えて隙をうかがう展開持ち込みたかった。とはいえ先制許してしまうと相手も自信持って向かってくるし、まあしゃあない
町田は「先制されたら弱い」は事実ですが「先制されると勝つ」と言うほど先制されるのに強いチームは正直あまり知りません。町田に限らず普通はどこのチームも先制はしたいものなので深くは気にしません。
行くなら奪い切らなければならないところリスク管理足りなかった町田守備を反省するとともに、先制点持ち込んだ小見の勇気に拍手を送りたい。
また、この勝ち方はJ1トップクラスのポゼッション能力に長けたアルビだからこそできた勝ち方でもあると思います。
相手に少しの緩みやエラーがあれば町田も一気に喰える。
町田が相手を油断して舐めてかかることはあり得ないとして、ここまで積み上げてきた正しい自信を揺るがす必要はない敗戦じゃないかなと思います。
しかし磐田・新潟と現J1勢の中でも『J2耐性』ある相手に敗戦している事実は、しっかりと受け止める必要があるでしょう。
まとめ
サイド→中央のレーンまたいでの前進でダメージ食うという点で言えば、鳥栖戦・広島戦でもあった町田4バック守備の課題と近い部分もあると思います。
昨年翻れば、天皇杯からは松井蓮之や安井、髙橋大悟らの重要度が上がってきた季節。今節のボール保持の織り交ぜ方は対新潟戦仕様だけでなく、夏に向けた取り組みなのかなとは感じた。
とはいえ、謹製疲労の感は本当に否めないと思うので、昨日オフ明け、今日から控え組含めた新たな競争+ルヴァン・天皇杯でチャレンジできるのは悪くないタイミングには思います。
ここまでのチャレンジの成果はなにも否定されないですし、サッカーなのだから、まあこんな日もある。
次の勝利に向け、選手たちが切り替え0秒で走れるよう応援続けます。共闘🔥
なおルヴァン杯はプレビューお休みします。Xのポスト程度はするかも。
天皇杯・筑波大学戦はあちらの現状を調べて軽くまとめられたらなーと思っているのでやれたらやります!
おまけ:コージについて
たくさんリアクションいただいて驚いたんですけども、新潟サポのみなさんも、ありがとうございました。
試合前の拍手の量で、きっと現地いらした新潟サポさんにも、いかにコージが町田で愛された選手であったか、伝わったと思います。
大分とのJ2・J3入れ替え戦ホーム・アウェイでの全ゴール、J2再昇格後の味スタ東京ヴェルディ戦で突然横から決めた決勝ゴールが印象深いですが、町田でのコージはチームが絶対に点がほしいタイミングで決めてくれる選手であるとともに、練習環境も十分に揃わない町田で足を痛めてでも走り切る献身性の鬼でした。
いつかJ1でコージと再開したいという想いは、今回の勝負前に抱くには余計な感情だったかもしれませんが、今節は間違いなく「コージに拍手をすること」がスタジアムに行った大事な目的のひとつでした。
その目的を達成できたのは、本当に良かった。リアクションの数からしても、そういう方、町田にはすごく多かったと思います。
本当に愛されるだけの理由がある漢です。コージを長く活躍させてくれてありがとう。今回、J1で、特別な野津田での挨拶は済んだので、次ビッグスワンでの対戦では負けないよ。アウェイ新潟戦で勝利できるよう、ここからチームの更なる底上げを期待してただただ祈ります。
町田組のみなさんも新潟組のみなさんもおつかれさまでした!がんばろう🔥
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アルビ戦の他レビュー記事ぶらさげ。これから拝読します!
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