【プレビュー】vsアビスパ福岡 高強度・高速度の中で技術を発揮する【FC町田ゼルビア2024年第19節 挑戦J1】
こんにちはこんばんわ、ひだりです。写真は2018年11月14日、J2 第40節、福岡戦の試合後の風景です。
いままで町田の試合を見てきて印象に残る試合はいくつもあるけれど、個人的には五本指に入るくらい思い出深い試合。勝利の瞬間、吠えていました。
J1ライセンスは認められなかったものの、その勇敢な闘いぶりでサイバーエージェントを振り向かせた、結果で環境を変えた10月を越え、4チームが一進一退の優勝争い繰り広げる中ここで負ければ一歩脱落というリーグ最終盤。
福岡のレジェンド城後に決められた後、俺たちの中島・俺たちのバブがゴール決める70分からのジェットコースター逆転勝利でした。
時は流れて2024年、町田もあの頃からいろいろ変わってアビスパ福岡とは2020年のJ2以来、お久しぶり!な対戦となります。
J1リーグも今節をもって1巡折り返し、ここまで書いてきたプレビューもJ1の対戦相手19チーム目でこれで1巡です。
まあ、ちょっとほっとするのは、試合が終わってからにしたい。
区切りのホーム戦を勝利で飾り、後半戦のスタートダッシュを図る、今節も毎節同様、重要な試合です。
そんな感じでさっさといきます。アビスパ福岡戦、プレビューです。
よろしくお願いします。
アビスパ福岡の現状
2020年から続く長谷部茂利監督体制4年目の今季。
ここまで18戦7勝7分4敗、勝ち点28の7位。
堅守をベースにここ3戦3連勝を果たしており、失点数では町田の16失点に次ぐ福岡17失点でリーグ4番目につけています。
選手
今節の福岡 最大のトピックは、FC東京時代の人気・活躍でも知られるドリブラー・紺野和也が累積警告で欠場する点です。
今季18試合全試合出場、うち13試合スタメン、チーム2位の4得点を取っている主戦なので福岡にとって影響はそれなりに大きいかもしれません。
ウェリントン←→ザへディ交代策取れるのはオセフン←→デュークにも比肩するヘビーさ。
佐藤凌我・松岡大起・岩崎悠人に感じるロマン感と守備陣のシブみ深い武闘派感はギャップがすごくアイスにエスプレッソかけるアフォガートのように極端です。
なお松岡大起は鳥栖アカデミー出身、金明輝HCチルドレンですね。恩返しは勝ち点3くれれば大丈夫です。
基本フォーメーション 3421(保持攻撃325 非保持守備523)
基本フォーメーション3421 保持敵陣攻略には325 非保持523。
かなり蹴ってくる。前進でのロングボール、ミドルサードとアタッキングサードの境目あたりからもうクロスラインで早めの放り込みも多々。(特に右サイドWB小田のところ。反対の左サイド岩崎はスピードで縦に持ち込むことが多い)
FWも中盤もボールの行き先に対し前方からハードなプレスを仕掛ける。激しく寄せて奪取してショートカウンター、あるいは相手の回避するパスや雑になったキックをMFや最終ラインで回収し、その後も鋭くゴール前に迫る。
ゴール前にボールを入れればなにかが起きる
WBがサイド突破を仕掛けて抜いてクロスが戦い方の基本線。
相手保持で前向きなプレッシャーかけてボール奪ってゴール直結のクロス放り込み事故性のもの含めワンチャン狙い、かつそのワンチャンを何度も発生させるためにハイプレスで再回収する。
攻撃のテンションとテンポが非常に速く連続的にゴールを脅かすアタックを繰り返し、相手チームに守備態勢整える間を与えずプレッシャーにさらし続ける。
相手チームはプレッシャーにさらされ続けるからゴール前で事故が起きる。そういう関係。
福岡がゴール前にボールを速く運ぶ設計上の建て付け
福岡の3421はWBを活かして攻撃で325、守備で523を組む。
3421は本来、中央の2VO+2OHが四角に配置されるため中央が分厚い型になる。
ただし、WBの動き次第で攻撃時は最前線、撤退守備時は最後方に人を割く戦い方をする中、必然的に中盤はVO2枚で回すことになる。
逆に言えば攻撃で前に出ている時、守備で撤退している時、瞬間的にVO2枚の脇あるいは2選手間のスペースというのを相手に使われるのは大きなリスクになる。だから、なるべくボールを中央に置いておきたくない。
早めに前線入れて人数かけてハイプレス併用して殴り続けるか、守備で後5枚で固め中盤2枚前線3枚で前進妨害+プレスで前向きに奪取チャレンジの形を取っていたい。
中庸的な配置として3421で中央レーンを締める局面もあるかもしれないが、基本的には3421でいたところで攻めるにも守るにも厚み不足が否めない。
だから、なるべく前でゲームをしたいため、奪ったら早くゴール前にロングボールを入れてセカンドボールを奪って更にゴール前へ仕掛ける。
前に蹴ることでリスク回避とストロングを押し出しつつウィークをぼかすやり方が福岡の早く蹴る戦い方。
ただやみくもに「蹴ればいいんじゃ!」ではなく今季序盤の町田とも重なる一定のロジックを持って蹴っている。結局蹴るんですけども。
個人戦術兵器シャハブ・ザへディ
イランの選手らしいパワー・迫力・思い切りの良さを全力で発揮する。
無理が効くフィジカル、どこからでもゴールへのルートを見出す冷静な貪欲さ、決め切るシュート精度とコース取り判断の老獪さ。攻守で強引に動けてピンポイント貫ける巨漢。
プロの圧力を相手に、ゴールシーンはごく簡単に決めているように見えるのは実力者の証。
しかし福岡、マジでよくこんな福岡にピッタリな人材、見つけてきたね。ご褒美に黄色いカードをあげたい。
セットプレー:ゾーン守備
ゴール前 ニア ペナ角寄りに楕円形の密集を作り、人ではなくスペースをケアして飛んでくるボールを迎え打つゾーン守備。「とにかく跳ね返す」意識の強い対応に感じる。
人についていく部分よりボールの来る方向に寄る傾向がある。アビスパの守備密集と相手前衛が混戦となった際、後ろからの飛び込みにフリーでのヘディングを許す傾向が見られる。
元町田戦士・小田逸稀 躍動中
ウィングバックとしてもともとからの攻撃性を十全に発揮している。
セレッソ戦 ザへディ退場に代わってFW出場いきなり決定機見せていて、チームが小田逸稀に何を期待しているか伝わる話。
ガツガツと奪いに行く守備、ゴール前に配給するクロッサー、そしてセットプレーやクロスボールに手加減なしに飛び込んでくるヘッダーとして脅威。
前向きにアグレッシブにいくのが良さなので、町田としては真正面から突破図るよりも、前に来るところをいなしてイツキの空けたスペースを突く戦い方の方が御しやすそう。
ともあれ、どうか怪我人は出さないでおくれイツキ……やるときやるからなー君……。
ゼルビアの対策
前寛之を越えるとチャンスが見えそう
2016:札幌(J2)
2018・2019:水戸(J2)
2020:福岡(J2)
と、J2でのゼルビアとの対戦経験も多いので、大枠、町田がどういうサッカーする傾向のチームかイメージは理解してそうな選手。
前線のサポートで攻撃にアクセントを加えたり、攻撃の最後をフィニッシュで終えるミドルシュート、守備での危機管理対応と仕事が多い名手。今季もリーグ18試合中15試合に出ているので、今節もまあ出るだろう。
町田としてはアビスパの攻めがかった局面で奪ってショートカウンターの流れでボランチの裏を取り、アビスパの守備戻りが来る前、最終ラインと中盤のライン間スペースをうまく使いたい。
ゴールエリア内で2人さわってフィニッシュ
福岡は町田にも近い、自陣最後のところ全力で身体を張り、全員でゴールを隠す守備を成立させるチーム。
中央の3CBの硬さ+(ハイボール対応や前に出ていくプレイに比べ)シュートストップの得意なGKを配置しているため、目の前に来たボールを真正面にシュートするだけでは塞がれる可能性が高く、1発で狙おうとしてもなかなかゴールにはつながらない。
逆に言えば、ペナルティエリア内でボールを受けると福岡守備の注意をグッとひきつけることができる。
ペナ内でボールを受けた後、もう1人ペナ内で受け渡し、さわった2人目でフィニッシュに持ち込みたい。縦への守備意識が強い分、ヨコズレの変化に脆さがありそう。
50cmでもズラして角度つけて打つだけでも違った結果に結びつく可能性。ゴール前で焦らず意外性や創造性を利かせ、ゴールの可能性を最大限高めた状態で1本中の1本を決め切ってほしい。
セットプレー:1列目でゾーンを乱して2列目で突く
福岡のゾーン守備はニア ペナ角寄りに楕円形の密集を作る。
人についていく対応はあまりせず、ボールの落下地点に近い選手が単独で跳ね返す形が多い。
そのため、セットプレー前衛が密集を押し込み守備ゾーンを乱すことで結構スペースが空く。空いたスペースに後から飛び込んで決め切るセットプレーが有効性高そう。
代表的なのはアウェイ名古屋戦でのロングスローからの2撃目、クロスに対する藤尾ゴールの動き。
ゾーン守備者をひきつける役
ブロック行うストーン役
スペースを突く役
など、ゾーン守備なら1発で合わせるより、むしろ変化つけたセットプレーが効く。
最終ライン余り1を作っての前進
442-3421だと、町田うしろ4枚・福岡前3枚なので町田の最終ラインがひとり余る。この1枚をうまく活かして前進を図りたい。
サイド裏へのロングボール配球
CBやGKでアビスパ前線守備を釣った上で空いた1枚でボールを前に持ち出しロングボールで3バックの脇を狙っていく鉄板のやり方。
敵陣内に起点を作る目的+WBも押し下げる意味でも重要。
縦クサビで直接中盤につける
最終ライン浮いた4人目がドリブル前進、SB経由せずボランチやサイドアタッカーと直接絡みながら縦につけていく。
中盤が縦楔受けるタイミングは、福岡もボール奪取を狙ってつっかけてくるため、SBやCBもフォローに入り後ろに戻せるようにしておきたい。
GKからプレスで空いたスペースor最前線へ配球
なお、福岡が最終ラインに合わせて同数プレスにしてきたならGKも絡み、福岡の前プレスで空いたスペース、またはハイラインなら前線に直接当てるボールを狙っていく。
プレスをかいくぐった後の早いプレイ
福岡はハイプレスの裏を取っても次の寄せも非常に早い。そのため、裏を取った後の素早いプレイ選択が非常に重要になる。もしボール持つならパス受けた1トラップ目の置き所で相手を外す保持なども必須。
裏を取った後ダイレクト〜1タッチ程度で次の受け手にはたく / 前線の裏抜けに合わせてロングボールで最終ライン裏狙いなど。
ハイプレスの裏を取って、もう一度次のプレスの裏を取れれば、そこには大きなチャンスシーンが生まれているはず。
福岡のプレスがビュンビュン飛んでくる試合にはなるため、今週のトレーニング映像で相当ハイスピード・ハイテンションのロンドをやっていたのはことさら納得感がある。
「横のいなし」と「蹴る」バランス
この辺の「プレスかいくぐった後の早いプレイ」をうまく使ったのがセレッソ大阪。今節すごく参考になる試合です。
逆に、柏はかなりあれこれトライはしていたのだけど、攻撃時に横をうまく使えなかった。縦縦に行き過ぎると、塞ぐ守備の福岡のブロックにことごとくひっかかってしまった。
前に直線的に圧をかけてくる福岡に対しては、相手の守備のベクトルを折る「横のいなし」が重要になりそう。
だからこそ中盤で時間のない中での瞬間的なボール保持の技術、そこから前に進める展開力が求められる。
実際に保持ばかりにこだわったところで、町田のストロングを放棄するだけになるので、福岡が前がかりに来るならシンプルに前に蹴る、前に蹴って引いてくるならしっかり保持する。
保持で崩しきれなければ得点はセットプレーで狙えば良いので、中途半端な奪取を許さない、ハッキリしたフィニッシュで終わることは徹底したいところ。
まとめ
福岡の長谷部監督はジェフでのヘッドコーチの経験(2016-2017)、水戸での監督経験(2018-2019)、2020福岡でのJ2時代と、J2リーグでの経験も長く、J2の魂をよく心得た監督という点で、今季町田が敗戦を喫している新潟・磐田などと同様の難しさがある相手です。
ただ、今回の試合で必要とされる「高強度・高速度の中で技術を発揮する」という要求は、まさにまさに黒田さんの青森山田が長い時間をかけて目指してきたあり方でもあります。
今節、想定した形で町田が勝つことができれば、保持でも非保持でもなんでもできるサッカーの実現に一歩前進することになると思います。
簡単ではなく、相当に難しい試合になるとは思いますが、全力で勝利してチームにもう一段高いレベルの強さを身につけていってほしいところです。
今週末も楽しんで勝ちましょう。共闘🔥