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ひみつのこころ

「お疲れ様です」
廊下から微かに届くジェルミの声に
ミナムは息をつめ
慎重にドアへと急いだ

音を立てないように
細心の注意でドアを開け
廊下に出る

そんなミナムの姿を見つけ
遠くから良く通る声で
ジェルミがミナムの名を呼ぶ

ミナムは慌てて
口元に人差し指を立てて
ジェルミに駆け寄る

「しーって」

「どうしたんだ?
ミナム」

ジェルミと視線を合わせたシヌも
慌てた様子のミナムを気遣う

「テギョンさんが寝てるんです」

「寝てる?」

「テギョンが?」

二人はまた驚いた表情で
見つめ合う

人前で隙を見せないテギョンを
二人はよく知っている
誰かの前で寝るなど到底あり得ない

「本当に寝てるのか?」

「瞑想してるとか」

茶化しているのではなく
二人は真面目に話している

「違うんです
話していたら急に返事が無くなって
きっと私との話に
退屈したんだと思います」

しゅんとしてミナムは答える

けれど
その綺麗な寝顔を
しばらくじっと
見つめてしまっていた事は
心の中にしまっておく

4人が合流しての仕事まで
まだしばらく待ち時間がある

「折角なので
もう少し寝かせておいてあげたくて」

テギョンの万年睡眠不足は
メンバーみんなの知るところで
シヌもジェルミもすぐに賛同し

「それじゃロビーの自販機に
新商品が入っていたから
それでも買いに行こうか」

そうシヌが提案してくれた

「はい!
飲んでみたいです!」

嬉し気に頷くミナムを
間に挟んで
3人で廊下を戻ると
背後から呼び止められた

「コ ミナム
携帯が鳴ってる」

ミナムの携帯を手にした
テギョンが
ちょっと不機嫌そうに
それを掲げている

「あっ・・・」

急いでテギョンに駆け寄り
「すみません」
ぺこりと頭を下げて
受け取ると
コールが切れた


ジェルミの声が
聞こえた事で
手にしたスマホを
慌てて置いてきてしまった事を
ミナムは心底後悔した

そして
綺麗な寝顔を
写真に収める事に
失敗した事に
ミナムは心の中で
さらに大きな
後悔のため息を吐いた




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