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現代対遮、あるいは HyperLydian、解析“的”接続【2】

割引あり

前回のあらすじ:前回の記事見ろ

注:タイトルにある3つの厳つい語は、全て私の造語です。通じません。
(~Lydian のアイデアは、私が確認する限り Jacob Collier 氏が先です。)

しかし適当ではなく、真面目に検討してネーミングはしています。

最後のは「解析学」の「解析」の意味でつけているし、解析接続を連想はしています。
流石にそのまま借用してはつけられないよ。私、数Ⅲの内容すら知らないもん。



 前回は、私が紹介しようとしている「不協和」の類が、歴史的経緯としても「不協和」として扱われていたんだよ、言わば一種の「対遮」という感じだよ、という話でした。

🔹

 紹介したい音響を端的に言うと、「F△7 の時に F#音 を鳴らしてしまう」感じでした。もっと言えば G B D などのピッチも鳴らした方が良好です。

重要な点として、この時、F#音 はrootである)F音 よりも上方に来ます。
(この上下関係が逆になると、だいぶ別の話に変わって来るので触れない)

 前回、(話を広げ過ぎないように)触れなかったことが一つあります。
この対遮のサウンド、減8度を形成するよりも、増8度を形成する場合の方が、遥かに不協和度がヤバいです。(ジミヘンコードは減8度。)

 件の音響は、このヤバい方の増8度を形成します。

F# の上方に F なら、減。F の上方に F# が来るのが、増。

 これらの意味で、前回は G△7/F△7 という形で紹介しました。

ピアノ十二候』上巻より「五月晴れ」終盤。ここには G音 は無い。
FF# の間の関係は、オクターブ+増8度。

Db△7/Gb 上でメロディが「G Eb C」 ≒ Ab△7/Gb△7

しかし、以上の形式的側面の説明では足りず、加えて重要なことは、
「上手い使い方」というものはありそう
☑ この F#音 は、概ね Gb音 と解釈すべきものではない



F7(-9) だが、F△7(+15) である(と考えられる)

 今から説明することは、一朝一夕に釈明できることではないため、ここでは鵜呑みにして下さい。レッスン来て

F7 に加えられるのは Gb音 だと解される(確度80%くらい)が、
F△7 に加えられる音は F#音 だと解すべき(確度65%くらい)。

異名同音の割とどうでも良くないタイプの問題です。▶参考動画◀

 以上は、とりわけ純正ハーモニーとかの観点のものではなく、十二平均律の世界でもこの通りです。まぁ「和声法の視点」「クラシックの感性」とは表現し得る事柄なので、私は強制まではしません。

その「気持ち」が読み取れる表記であるよう、努めることは必要。それは多様性とはまた別。

🔹

 なぜ名実ともに同じピッチなのに、表記が Gb だったり F# だったりするのかですが、その根源は「🍎7コード と 🍎△7コード は、結構 違うから」です。

 何が違うのか。示唆するディグリー(調の中での位置付け)が、です。
 ディグリーが異なるならば、🍎7  🍎△7 は、7th音 が半音違うだけの癖に、「所属先のキーがもう異なる」ということを意味します。

左は Bb: における Bbm:Ⅴ の借用。
右は…まぁ C: だろうが G: 説もゼロではない。F# どっちがノンダイアトニックの音か?

 とは言ってもツッコみたい人のために、以下の2記事を置いときます。
「所属転換」「借用和音」というワードも置いときます。

私が言わんとすることの忖度・空気読みをお願いします。

――“「属調への(完全な)転調」とは区別し得るもの” としての「ドッペルドミナント」は、「主調に帰属のボキャブラリー」として、主調から座標を数えたものとして受け止め得る。
 藝大和声ではこの再解釈を「所属転換(Ⅲ巻p41)」と呼び、その和音を「借用和音」と呼ぶ。――

ジャズを「 理 解 」した話」の補足文より。


> 話を戻すよ <

 ディグリーが異なるならば、🍎7  🍎△7 は、7th音 が半音違うだけの癖に、「所属先のキーがもう異なる」ということを意味します。

 想定される「周囲の状況」が違うので、その上方に置かれた “FGの間の黒鍵の音” の、優先的な解釈に差異が出て来ます。大まかには以上です。

勿論ケースバイケース。メロディが細かく「F F# G」とか「G Gb F」とか動く場合など、
土台のコードに関わらずこの通りの表記かもしれない。(伝統的な半音階の表記原則があるため)
(それでも右譜例の下行側は「G F# F E」と表記する方がやや普通かも。好み。)

🔸

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最大限の “調性音楽” 的な解釈

 以降はもう G△7/F△7 の形で話していきます。
これが使えたら、ここから音を間引くことの方が容易です。

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