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県立吉城高校カレー部コラボ”柏葉カレー”と“オクラとトマトのアチャール”

もう2ヶ月も経って季節も変わってしまいましたが、吉城高校カレー部とのコラボ企画の記事とレシピを公開します。
公開が大変遅れしてしまい申し訳ありません〜


始まりは高校での授業から

今年、飛騨スパ研と並行して事業をしているSeeds Food Design で飛騨のいくつかの学校(中学校・高等学校)から依頼をいただきフードデザインの講師をさせてもらいました。
もともと飛騨スパ研もSeeds Food Design(以下SFD)も「本来あるべき食環境の実現」を最終目標にしていて、植物や行動の種(動機)を重要視しながら商品の企画開発〜パッケージデザイン、ブランディングのコンサルティングをしていくSFDと、一方でそれらのコンサルティング内容を実際に自らの手で実現していく一つの形として「食卓にもっとスパイスを!」を合言葉にスパイスやスパイスカレーの販売を実践していく飛騨スパ研を同軸上でやってきたので(正確に言うと、飛騨スパ研が先でその後にSFDの事業がスタートしています)、今年のはじめに飛騨市の食のまち推進課から学校での講師についてご依頼をいただいた時「これは次世代を担う学生たちに食の大切さを伝えるのに最高の機会だ」と快諾しました。

受け持ったのは県立吉城高校と飛騨神岡高校の選択クラス。
両校とも選択科目のため生徒の数は少ないものの、その分内容の濃い話をさせてもらいました。
でも、この段階ではまだスパイスカレーの話はなかったのです。

飛騨神岡高校の授業の終わりに飛騨スパ研の話になり、担当の先生から「次回は是非スパイスカレー作りの実践を!」とのオファーがありました。
このクラスは「フードデザイン」を専攻していてクラス全員がある程度の料理の心得があるということで「それは面白いですね!ぜひやりましょう!」との話になりました。

それからしばらくして今度は県立吉城高校での授業。これは授業というよりも「飛騨市まるごと食堂」という市の事業の一環としての高校生コラボ案件で、生徒自らが農家に行って取材してきた内容をPOPにして、この事業に参画する飲食店に掲示することを一つのゴールにしたアドバイザー的な立ち位置。ここにもスパイスカレーの話は少ししか出しません。
なぜなら、飛騨神岡高校も吉城高校も飛騨スパ研ではなくSFDへのオファーだったから。
でもここでも話の流れ上スパイスカレーの話になりました。
両校とも担当の先生がスパイスカレーが好きだと言うのも大きな要因です。たぶん…

吉城高校の授業の数日後、8月末〜9月にかけて4年ぶりにフル開催される同校の文化祭(柏葉祭)で飛騨スパ研に飲食ブースとして出店の依頼がありました。ちょうどその依頼があった時、飛騨スパ研も所属する「飛騨カレー部」の活動にNHKの番組の取材があり、文化祭の10日前がオンエアだったということもあり、
「せっかくなら、生徒さんたちと飛騨カレー部で一緒にレシピを作って、それを販売しませんか?」とコチラから提案してみると、
気がつけば「吉城高校カレー部」が期間限定で発足!という流れに!
これは担当の先生がスパイスカレー好きなことが要因です、絶対。

初めてのスパイスカレー

7月の飛騨カレー部

吉城高校カレー部の第一歩として提案したのは「次月の飛騨カレー部の活動に全員で参加してもらうこと」

飛騨カレー部は平日の19時からの開催で、学校側からしてみれば思いっきり課外活動であるのにもかかわらず、この提案は見事受け入れられ、7月度の飛騨カレー部の活動はとても賑やかなものになりました。

部活のはじめに生徒たちが挨拶してくれるのですが、皆さん口を揃えて
「スパイスカレーは食べたことがないので楽しみです」
とのこと。
「えっ?はじめてなんだ!?」との驚きがありました。
でもよく考えてみれば、都会のようにスパイスカレーのお店がたくさんあるわけでもなく、ましてや山の中にある学校の通学路にもあるわけもない。
親御さんにしてみれば、小さな頃からお子様に合わせる形で辛くないカレーを作り、それがその家の味となって、わざわざ刺激的な味にアップデートされることもないから、そりゃそうだよな…
もしかしたら、もともとスパイスカレーが好きなのに家族の為にその思いを封印してきたお母さんもいるのかもしれない…なんて思うと、
「お母さん、今日始めてスパイスカレーを食べてきたよ!美味しかったよ!」
なんて娘に言われようものなら
「娘よ、この時をお母さんはずっと待っていたの!」なんて感動のハグが待っているかもしれない…
なんて妄想をしながら、飛騨カレー部は大人数の中ワチャワチャと進んでいきます。
この時に部員が持ち寄ったカレーは、なんと6種類+自家製ジンジャエール。
生まれて初めてのスパイスカレーが「6種類のあいがけ」+「自家製ジンジャエール」という最高のスパイスキャリアの始まりでした。

夏休みの吉城高校カレー部

部活のスタートはスパイスを齧ることから
慣れない手つきで作る初めてのスパイスカレーづくり
カレーペーストづくり
南インド風 夏野菜のチキンカレー
レモンキーマカレー
バスマティライスにあいがけカレー

8月8日、夏休みの真っ只中に吉城高校カレー部の部活が調理実習室で始まりました。ここではあらかじめ僕が決めておいた2種類のカレーを2チームに別れて作ってもらい、どちらの方向性にするか選んでもらう流れに。

一つは大きくカットした夏野菜がゴロゴロ入った、ココナッツオイルとココナッツミルクで作る南インド風のチキンカレー

もう一つは夏らしくレモンを効かせたレモンキーマカレー

両方とも唐辛子系のスパイスは入れず、学生たちの初めてのスパイスカレーとして食べやすい味のレシピに。

ちなみに僕のクッキングクラスでは、まずスパイスを齧ることから始めてもらっています。これは儀式でもなんでもなく、スパイスの味や香りを知らずして美味しいスパイスカレーは楽しめないからです。
奇跡の一皿はできるかもしれないけれど、再現性がないと楽しめない。
これは料理だけでなく様々なことに当てはまります。
みんな初めてのスパイスのダイレクトな香りは相当刺激的だったようですが、それぞれに自分の好きなスパイスの香りを見つけてくれたようです。
こういうことが食を語るうえでは実はとても大切なのです。
自分が知らないものを知らないままに食べること…
これは美味い不味いではなく、安全性や危険予知も含めいろいろマズイです。でも往々にしてそういうことがまかり通っている…というか、あまりにも無関心、もしくはうわべの情報に流されてしまっているという状況が、食に限らずあちこちで起きています。
農薬然り、添加物然り、ワクチン然り…

10時からスタートして12時過ぎに無事に美味しいあいがけスパイスカレーランチにありつけました。
そこから色々方向性を話し合った結果、南インド風夏野菜のチキンカレーの方向で進めることに。
生徒さんには宿題として
・カレーの名称
・カレーの盛りつけイメージ
等を考えてもらうことにして、この日は終了。

8月20日に再度学校で宿題の発表をしてもらいました。
そこで決まったのがカレーの名称とアチャールの内容。
彼らの発表の中にあったレビューも秀逸で
「レモンの香りはほしいけれどトマトやヨーグルトの酸味があるからレモンの酸味はいらないかも…」とか「オクラの星型の断面をトッピングで見せたい」とか。
名称は、文化祭の名称でもある「柏葉祭」から名前を借りた「柏葉カレー」
そして生徒たちが描いてくれた盛り付けのイメージから生まれた「トマトとオクラのアチャール」

帰ってからすぐに彼らの思いを形にと試作を作り夏休み終わりの二学期の始業式に合わせて試作を学校に届けます。この日はこのカレーがあるためカレー部の生徒たちはお弁当を持ってきていないので、遅れるわけには行きません。責任重大でした。

その後生徒のみなさんからのレビューをもらい、少し改良をして大量の仕込み。

仕込んだ総量はミニカレーにして約240食分。普通の1人前に換算すると100食分相当。大きな寸胴鍋の8割位までカレーに満たされ、家庭用のスパチュラではもはや底に届かない状態…

そんなこんなで臨んだ柏葉祭当日。本来の日程は台風の影響で延期されて平日開催となりましたが、晴天の下で柏葉祭はスタートしました。

吉城高校柏葉祭2024

当日の販売ブース
POP
生徒たちが作ってくれたチラシ。しっかりとスパイスの効能まで調べてくれました。
飛騨市のオーガニック農家さんにもご協力いただきました
オールオーガニック食材でワンコインでお釣りが来るこの価格!
ゴロゴロの具材とオクラの星が輝いています

今回、カレーの製造〜サーブは露店営業許可と調理師免許を持っている飛騨スパ研が食材費も含めすべて受け持ちます。そして、実はこのスパイスカレー出店を実施するに当たり飛騨スパ研として曲げられない一つの条件がありました。
それは「全てオーガニック食材で、調味料も含め現状でできる限り安全なものを用いて、化学調味料や保存料を無添加で作らせてもらうこと」
とはいえ、高校生の財布に少しでも優しい価格設定にしようと、
今回は「ココロもカラダも喜ぶ100%安心安全な食体験」ということでワンコインでお釣りが来る価格での提供に。
生徒さんたちがスパイスの効能まで調べて作ってくれたチラシも揃っていざ販売スタート。

平日開催にもかかわらず、生徒や先生たちのチラシ配りや声がけなどの客引きのおかげで終わってみれば200食で完売!
あれ?240食分作ったんじゃなかったっけ?
それもそのはず「腹減った〜」という高校生相手に、しゃもじに乗るご飯の量も、レードルですくうカレーの量も自然と割増しになります。
おかげさまで食べた皆さんからはご好評いただき、カレー部の生徒さんに完売の報告をしたときにはとても喜んでくれました。
吉城高校カレー部のみなさん、本当にありがとうございました〜。

というわけで、やっとここまで来ました。
レシピの公開です。
本当はもっと早くに、夏野菜がまだあって、みなさんが家でも作れるタイミングでアップしたかったのですが、バタバタとしてしまい秋風が吹く今になってしまいました。
お待ちかねの皆様、大変申し訳ありませんでした…
やっと公開できます!

柏葉スパイスカレー〜夏バテ解消さわやかレモン風味

別名「南インド風夏野菜のチキンカレー」といいます。
南インド風というのはココナッツの産地が集中するインド南部で作られるカレーで、ココナッツオイルやミルク、野菜や豆類を多く使ったサラッとしてスパイシーなカレーです。
インド南部の暑い気候で食されるカレーが日本でも美味しく食べられるのはこの異様に暑い温暖化した日本の夏のせいもあるかもしれません…

使う野菜は井関農園さん、長尾農園さん、ソヤ畦畑さんから仕入れさせてもらいました。どこも繁忙期にもかかわらず野菜をご提供いただき、本当にありがたい限りです。
車を10分ほど走らせればオーガニックの美味しい野菜が手に入る環境というのは生きていく上でとても大きなアドバンテージです。

スパイスは「基本のカレーパウダー」をベースに、マスタードシード、フェンネル、クミン、そして今回はカレーリーフの代わりに飛騨らしく山椒の葉で風味づけします。

…というわけでレシピ公開なのですが、既に夏野菜のシーズンも終わり申し訳ない限りです…が…
このレシピの野菜をサツマイモやキノコ、栗などに変えてもらってもとても美味しいカレーになります。
来年の夏を見据えながら、まずは秋野菜でチャレンジしてみてください!

【レシピ】

材料 ー4人分ー 
□鶏もも肉 250g 
□玉ねぎみじん切り 1個分 約200g
□にんにくみじん切り 10g
□生姜みじん切り 14g
□トマト 1個
□基本のカレーパウダー 大さじ2
□ズッキーニ  1本 
□ナス 1本
□万願寺とうがらし
□ヨーグルト
□レモンピール 1/2個分
 (国産レモン ※海外産はポストハーベスト農薬の関係でNG)
□塩 小さじ1
□ココナッツオイル 大さじ3(なければ米油でもOK)
 ※ココナッツ風味が増します
□植物油(米油) 大さじ2
□ココナッツミルク 200g 
□水 150g

-A-テンパリング用ホールスパイス
A山椒の葉(大きなもの:葉柄も含めて15cmくらいを1枝)
Aブラウンマスタードシード 小さじ1/2
Aフェンネル 小さじ1/2
Aクミン 小さじ 1/2

【作り方】
□下準備
・ズッキーニ、ナス、万願寺とうがらしは乱切りにして植物油(米油分量外)大さじ2で事前に軽く炒めておく。(炒めることで野菜の水分量の調製をしながら煮崩れにくくします)
・玉ねぎはみじん切りにして、少量の塩(分量外)を振っておく
・ニンニク、生姜はみじん切りにしておく
・トマトは角切りにしておく
・鶏もも肉は皮を取り除いて一口大にカットして、基本のカレーパウダー大さじ1とヨーグルトと混ぜて2時間ほどマリネしておく。
・レモンピールは薄く剥いで細かく刻むか、グレーターでおろしておく

1.鍋に米油大さじ2を入れ、みじん切りの玉葱を少し色づくまで強火炒めたら、弱火にしてみじん切りのニンニク・生姜・カットトマトを入れ水分を飛ばし、塩小さじ1と基本のカレーパウダー大さじ1を入れ弱火でよく混ぜておく。
2. 1にマリネした鶏肉をヨーグルトごと入れ鶏肉の表面の色が変わるまで炒めたら、事前に炒めておいた夏野菜を入れ全体を混ぜ、そこにココナッツミルクと水を入れ弱火で15分程煮込む。
3.別のフライパンにココナッツオイル大さじ3とAのテンパリング用ホールスパイスを入れ弱火でテンパリングし、山椒の香りが立ちスパイスが泡立ってきたらココナッツオイルごと2の鍋に入れ、全体を軽く混ぜる
3.最後にレモンピールを(国産有機レモン推奨・海外産NG)入れ、塩で味を調整したら完成です。

オクラとトマトのアチャール

オクラとトマトのアチャール

オクラの粘り気にトマトの旨味や調味料やレモンの酸味が絡んで渾然一体となった味わいが南インド風のスパイスカレーによく合います。
暑さに食欲がない中でもこれなら食べられるという方も多いアチャールです。冷やしてそうめんなどと一緒に食べるのもオススメです。
夏の味がするアチャールです。
来年の夏は是非チャレンジしてみてください!

【レシピ】

材料 ー4人分ー 
□トマト 1個
□オクラ 6本
□生姜 10g
□クミンシード 小さじ1
□マスタードシード 小さじ1/2
□フェヌグリークシード 小さじ1/2
□ターメリックパウダー 少々
□塩 小さじ1
□砂糖 小さじ1
□お酢 大さじ1
□米油 大さじ2
□レモン果汁(国産有機レモン推奨) 大さじ1

1.トマトは角切り(1〜2cm)にしてボウルに入れる。
 オクラは0.5cm幅にカット、生姜はみじん切りにする。
2.フライパンに米油、フェヌグリークシード、クミンシード、マスタードシード、生姜を順番に入れて中火で炒める。
※フェヌグリークシードが色づき香りがしてきたら、クミン、マスタードシード、生姜を入れていくと良い
3.クミンシードとマスタードシードが細かく泡立ってきたら、オクラを入れてさっと炒め、油がまわったところでターメリックパウダー、塩、砂糖、お酢を入れて1分ほど軽く炒める。
4.3を1の角切りトマトの入ったボウルに入れ、レモン果汁を絞ってざっと混ぜたら出来上がり

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