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レンズ沼あれこれ:Micro-NIKKOR Auto 55mm f3.5
今回は、日本光学Micro-NIKKOR Auto 55mm f3.5にスポットを当てます。最初のモデルは1963年発売、近接撮影が可能ですごくコンパクトなレンズですが、手許のレンズのシリアルナンバーを確認すると66〜67年の間に製造されたもののようです。ちょうど私と同級生ということになりますね。お懐かしや。マイクロPオート(69年以降)や5.5cm表示(63年以前)のタイプを除いても、バージョン違いが4種類ほどあるようです。幾度も見直しがなされてきたモデルです。
ちなみに、ニコンファンの方にはもはや説明不要かと思いますが、いわゆるマクロのことをニコンではマイクロと呼んでいました。光学で言うところのマクロ写真の定義には合っていないから、というのが理由なのだとか。真面目というか几帳面というか、これもプライドなのでしょうかね。マクロ域までピントリングを回すと、びよんと伸びます。目測ですが、被写体から20センチくらいまで寄れるようです。(※鏡筒の表示は24.1)
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見た目は多少ダメージがありますが、光学系は問題なく、ピントリングもスムーズでした。被写界深度が浅いので、ピントは比較的合わせやすいです。何でもかんでも近づいて撮ってみたくなります。ピントリングをいっぱいに回した後、自分が動いてピントが合う距離を探すというルーティン。被写体に近づきすぎてぶつからないよう気をつけねば。
Micro-NIKKOR Auto 55mm f3.5
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マウント:ニコンFマウント
レンズ構成:4群5枚
絞り羽根:6枚
重さ(実測):231g
供給数が多いせいか、ヤフオクなどでは非常にお手頃価格で手に入れることができます。かといって、決して値段相応のつまらないレンズではありません。被写体が動物・昆虫だったり、風で揺れる植物だったりするとどうしてもシャッター回数が増えてしまいますが、それはそれで楽しい作業かなと思います。フィルムカメラ時代はコスト的にもっとシビアだったのかもしれませんけどね。デジタルの恩恵に感謝。
マクロ写真といえば、普段何気なく見ているものを異世界のような視点で捉えるイメージがありますが、実は色表現もすごく魅力的に写るもの。今の時代、後で手を加えれば何でもできちゃうのかもしれません。ですが、シャッターを切る瞬間にしか見ることができないボケ味・グラデーションには何者にも代えがたい魅力があります。こういうのをエクスペリエンスというのか。
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もちろん、マクロレンズのイメージから離れて、普通に撮ることもできます。ニコンらしい、しっかりした真面目な表現の写真もいい感じです。
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鏡筒は金属製ですがとても軽い。ピントの合わせやすさや極端に寄れるのもいいです。何よりお手頃価格のレンズですし、ぶつけたらどうしよう的なプレッシャーなく気軽に扱えるのもプラス。マウントアダプターのぶん余計にかさばってしまうのはさておき、お写んぽレンズにはぴったりのレンズかもしれません。
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なお、レンズに関する記述や評価はすべて、素人カメラマンの個人的な感想です。誤った情報や評価などがあれば、ただちに修正していきたいと思っています。その点はご容赦ください。
最後までお読みいただきありがとうございました。