レンズ沼あれこれ:Argus Cintar 28mm f2.8
今回はArgus Cintar 28mm f2.8です。このレンズについてはあまり詳細・明確な情報がないのですが、意外にお持ちの方は多いようで、比較的手に入れやすいモデルのようです。米アーガス社のシンターと名付けられたこのレンズ、おそらく1970年代に発売されたもので鏡筒にはmade in japanの刻印があります。つまり日本製。富岡光学がレンズを供給したとの情報もありました。
日本ではそれほど耳馴染みがないアーガス社というメーカーですが、1930年代以降、コダック社とライバル関係にあったほどのカメラメーカーだったとか。一番知られるアーガスC3というカメラは、映画ハリーポッターにも登場しています。まるでレンガのような形のレトロなカメラをご記憶の方がおられるかもしれません。実在したカメラだったんですね。C3の写真をよく見ると、レンズには「ARGUS COATED CINTAR MADE IN U.S.A」の文字が確認できます。
C3用のレンズはシルバー鏡筒で独自マウント。そして、アメリカ製。一方、手許のレンズはM42スクリューマウントで、デザインが全然違う黒い鏡筒です。アーガス社は70年代にコシナのOEMを受け「Argus/Cosina」名義の一眼レフ機を発売しており、M42マウントが採用されたモデル(※日本ではハイライトEC)もあったようです。Wikipediaの写真で見る限りレンズにはコシノンがセットされているため断言はできませんが、発売時期的には同じ頃のレンズかと推測できるでしょうか。富岡光学説もまずまず納得。
マウントはM42スクリューマウント。オート/マニュアルの切り替えレバーがあり、マウント付近には絞り連動のためのピンが飛び出しています。Argus Cintar 28mm f2.8そのもののデータは見つかりませんでしたが、もしかするとコシナの28mm f2.8と同じ設計かもしれません。
Argus Cintar 28mm f2.8
マウント:M42スクリューマウント
レンズ構成:不明
絞り羽根:6枚
重さ(実測):187g
ふわふわ感のある特徴的な写りが非常に印象的です。極端な話、ピントが合っているのか、それとも外しているのかよくわからない傾向にはあります。もしかするとソフトフィルターを使用した感じに近いのかもしれません。色味、コントラストはなかなか悪くないかなと思います。
撮り方によって大きく変化しますが、逆光でのフレア・ゴーストは派手に出ます。絞りのコントロールや、光の角度をうまく取り入れると、変化を楽しめそう。
何かと謎レンズではあるものの、たまにお写んぽに持ち出してみると面白いレンズです。もとより、しゃっきりバッチリ撮りたい時にはオールドレンズは使いませんしね。トイカメとまでは言えないまでも、いつも目にしている何気ない光景が、ちょっと楽しく見えてくるかもしれない逸品です。
なお、レンズに関する記述や評価はすべて、素人カメラマンの個人的な感想です。誤った情報や評価などがあれば、ただちに修正していきたいと思っています。その点はご容赦ください。
最後までお読みいただきありがとうございました。