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軽薄な人たち

[軽薄]態度に重みや慎重さがなく、軽々しいさま。あさはかで、うわすべりしているさま。

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自分自身がまず、軽薄の極みであることを白状することから始める。

だから分かる。軽薄な人のことが。

なぜ軽薄に振る舞うのかも。

今、誰が軽薄かと問われれば、間違いなく、権力者を名指ししたい。

国家百年の大計とかけ離れた、軽薄な権力者たちを。

例えば、対米政策。
例えば、年金制度。
例えば、メディア対策。
例えば、民営化政策。
例えば、少子化対策。
例えば、組閣。

日本が「政治一流」であった時代はかつて存在しなかった。そこには、ある軽薄さが常に染み付いていた。

それは、決して長期的な視点を持つことなく、ただ、その場凌ぎ政策の連続であったことだ。


世界の覇権国として存在したアメリカが、いつか、その看板を下ろす日が来ることを考えていたら?

デフレが進むように政策をとり続ける先に何が起こるか考えていたら?

年金制度がいつか破綻する日が来ると考えていたら?

郵政や鉄道を民営化した、その先に何が起こるかを考えていたら?

終身雇用を見直し、誤解されて輸入された新自由主義をプラン無きまま推し進めたら?

大学を改革したら?

女性の人権を担保しないままで放置したら?

中国がその存在感を押し出して来たら?

NATOの混乱を、国連の無力を、G7の行方を予想していたら?

その先に、何が起こるかを、なぜ考えて政策を立てないのか心から不思議だった。

私ですら、こんな頭の悪い私ですら、

1980年代の日本の経済状況は続かないと思っていたし(GDPが中国に抜かれるのは、思ったより早かった)

非正規雇用を、法整備をしないまま市場に任せていたらどんなことが起きるかを予測したし

100円ショップやファストファッションをありがたがる先に待っているものは、結局、自分たちの首を絞めるものであることを感じていたし

「思いやり予算」と言ったふざけた名称の被植民地主義はそのうち成り立たなくなることは分かっていたし

公共機関を民営化しすぎるとやばいことも外国から入るニュースでしっているし

21世紀には人権がさらに広まって行くことも希望半分予想していたし

このような社会構造の中で、女性が子どもを産まない選択は進むと思っていて、少子化になると思っていたし

原子力発電所の危険性も恐れていて(もちろんすぐに廃止などとは思っていなかったが)こんなに全国あげて推進し続けたらどうなるのか不安に思っていた。

普通に、考えたら、全部、うまく行かないことは、どう見ても分かる。(よね?)

少子高齢化になるんだから、賦課方式年金制度は上手くいかなくなるし、人口が減れば内需も冷え込むし、鉄道はたち行かなくなるし、文化が育たないから外国からの信頼はないし、一次産業を補助しないから衰退するし、基礎研究を疎かにするから国産ワクチンも国産産業もダメになって行くし、外国語学習は進まないから鎖国状態だし、

いや、普通に考えても、問題点とその解決法は、非常にシンプルである。

防衛費の増額より、エネルギー・食糧・教育費だろう。
農家にとってこれほど過ごしにくい国はない。
教育費は、最大の国防費だ。人的資源しか強みのない国で、教育がどれほど重要か。※日本学生支援機構の貸与型奨学金の総貸付残高が、2021年度末で9.5兆円にのぼるというニュースを見たが、貸与型は奨学金ではない。
人が育たないから、半導体も哀れな屍となったし、自動車もおそらく同じ轍を踏むだろう。
エネルギーも議論が迷走している問題だ。

自分はカッサンドラだと思っているし、なんなら私の恐れは杞憂であってほしいとも願う。私は愛国者だから。

しかし、30年、私の予感は当たり続けている。

私とは桁違いの情報集積力を持つ権力者が、予想できないはずはないのだ。アフリカや中近東(広いな!)の情報は、残念ながら私にはあまり届かない。北朝鮮も。そう言った事柄もすべて入ってくるはず。多様な情報を分析して、なるべくたくさんの人を食わして行くのが本来政府の役目である。

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政治はそんな青臭いものじゃない、と宣う御仁がいる。
また、背後のもっと大きなフィクサーみたいな、ロートシルトだかの陰謀論も、みなさんお好きである。

それは嘘だよ、とは思わないし、別になんでもよい。ロトシルトに操られていると思いたければ思えばよい。

でもこの30年、国会をウォッチし続け、歴史を学び続けると、陰謀論が正しいかよりも、もう少し事態はシンプルであるな、とは思う。

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昔あるところに、中曽根というおじいさんがいた。
2020年に合同葬になった、第71〜73代内閣総理大臣だった人だ。

wikiを引用すると、
1918年〈大正7年〉5月27日 - 2019年〈令和元年〉11月29日)
位階は従一位。勲等は大勲位菊花章頸飾。
東京帝大法学部卒、経歴は若干怯んでしまうくらい華やかである。

華やかな経歴を持つ人に、世間は優しい目を向けるものだ。

中曽根康弘は、その葬儀を国葬にしようと噂されるほどの影響力を持っていた。と思う。

因みに彼の在任期間1982〜1987年というのは、

84年に日本人平均寿命が世界一に
85年にプラザ合意
87年に日経平均株価初の2万円代を突破、安田生命がゴッホのひまわりを落札
その後も不動産や証券や投資などで日本の名が売れて行く

そんな時代。勢いある時代である。中曽根康弘というのは、そんな時代に権力中枢の座にいた男。

2023年、過去を今の目で断罪するほど愚かではない私ではあるが、90年代終わりに書いた日記を自慢させてほしい。

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日本が経済的最盛期に首相であった、ただの幸運だけで生きて来た人だ。ジャパンマネーの束で頬を撫でて外交したとて、それはカツアゲ、私には見える。気の弱いお金持ちの嫌われ者が、ジャイアンみたいな奴の金蔓になっていて、「おい、金あんだろ、はよ出せや」「は、はいっ!」みたいな、田舎の学校みたいな光景が。
驕れるものは久しからず、いつかは日本も凋落するだろう。さて、その時、資金が枯渇した時、日本はどうなっちゃうんだろう。
お金がある時に、社会保障改革をしないといけない。体力があるうちに、やらなくちゃ。中曽根氏は、それをできる背景があるのだから。

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今読んでも、悪くない。若書きは否めないが、中々いいセン行ってる。
当時の社会論調は自分は幼かったため知り得ないが、中曽根氏に対する私の立ち位置は、不変だと言うことを改めて思う。

ロンヤスだのと持て囃され、目眩しに引っかかった当時のメディアを批判はしまい。誰でも歴史を後から指摘することは簡単で、それは卑怯な行為である。

しかし、中曽根氏の罪はなんと言ってもその軽薄さに尽きる。

対米追従を確固たるものにしてしまった
海外支援を取引に使えなかった
社会保障改革ができなかった
肝の据わった外交のカードを切れなかった

彼は史上最高に恵まれた首相であったが、その経済的優位を効果的に使えぬままだったのは、ある意味、日本の最大の損失であった。

責任を追求すべきなのだ。

と言う訳で、私にとっては、「輩」(注:仲間の意味ではない)またはチンピラくらいの存在だった中曽根氏が、さも一流の政治家の如く、国葬にする?みたいな話が出ていた時の私の目は、まさしくチベスナであった。

内閣葬だって、原資は税金だ。1990年代頃の中曽根氏と同時代のメディアの追求不足を責めやしないが、2020年なのだ。もう10年以上経っているのだから、的確な批評はされても良い時期ではなかろうか。

もう一度言おう。日本が1番余裕のあった時期に、声を上げられる可能性のあった唯一のチャンスの時期に、ただただ自身の承認欲求や欲望だけを軽薄に追い求めたあまり、社会保障制度改革を、外交政策を、人権擁護政策を、福祉を、それらに何も手をつけられなかった、この罪深さを、彼は背負っている。

国葬だか内閣葬だかなんておかしい。私的には鳥葬辺りで充分なくらいだ。鳥に失礼か。

反論を待つ。

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とはいえ、何も彼1人に罪を負わせるつもりもない。戦後首相のお歴々は、政党内政治に(のみ)長けた、その場だけを取り繕う軽薄な輩の連続だった。
頭の良さを、社会民主主義に活かせない方々だったし、あまつさえ、ここ数年は、もはや知識人で「すら」ない、カルト宗教に蝕まれた反社会勢力的な首相でしかなかった。

利権塗れで、人材を有効に配置できない、無駄の多い、政権が続いている。

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日本が、経済一流のまま、永遠に続く保証があったなら、百歩譲って、良しとしよう。

アメリカが、覇権国であり続けるなら、対米追従でも良いだろう。

ロシアが永遠にあのままで、

北朝鮮もあのままで、

日本に都合よく、いてくれたらいいけれど。

でも、世界は軽薄な人たちで溢れているから、軽薄同士、思うようにはいかないものだ。

当たり前である。

中抜き、利権、公的資料改竄廃棄の先に、何が起こるのか

考える、考え続ける、それしかない。
だって、民主主義の看板を掲げているんだから。

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