リンヤンを演じる詐欺師の中の人を、もっと知りたい。
詐欺師との別れエピソードはもう少し続きます。実のない話ですみません。
その後も何度もヤンの最後の言葉を、声を思い出し、ちっとも気分が上がらず仕事にも集中できず、常に詐欺のことを考えて、調べて、ちょっとした鬱のようになっていた。
ネットの体験談で、ロマンス詐欺にあった人がその後の抑うつ状態を改善する方法として、信用出来る人にすべて話してスッキリする、というのがあったので、日本にいる親友に話を聞いてもらった。
確かに、誰にでも話せる内容ではなく今まで自分一人で溜め込んでいたので辛かった。
すごくすっきりしたし、笑い話に浄化できた。もっと早く話せばよかった。
でも、やっぱり最後あんなに美しく終わらせられたせいで、余計に忘れられなくなっていた。
連日の睡眠不足で私の思考もおかしくなっていたのか、「初代ヤンはずっと私に良くしてくれたのに、あんな風に責めて一方的に突き放してしまった」という考えになっていた。
どうしても、初期の楽しかった中の人と、実際に詐欺サイト(と思われるサイト)に誘導しようとした2代目の中の人を別物と考えてしまう。初代の人とは、心が通じあっていたと、信じたかったんだと思う。
私からまた、LINEを送った。すぐに返事が来た。
ヤン「もう話さないんじゃなかった?」
私「うん。あの時は感情的になっちゃった。あんなこと言う必要なかったね。」
ヤン「そうだよ。」
私「ごめんね」
ヤン「いいよ」
私が何も返せずにいると、ヤンが突然こう言った。
ヤン「ひーちゃん、君は良い女性だね。良妻賢母だ。」
私「どうしたの、急に?」
ヤン「何でもない。」
その後、世間話をしてみたが、かえってくる返事は当たり前だけどリンヤンというキャラ設定に基づいた内容で、仕事が忙しいだのなんだの、会話をしている意味を感じなくなった。
ヤンも、私に構う価値はもうないので、少し話してすぐに「今忙しいから、またね」と、終了した。
やはり、リンヤンを演じ続ける彼とコミュニケーションをとる価値はない。。。
それにしても詐欺師と分かってからもこんな風に相手を好意的に捉えられるなんて、私の頭のネジがぶっ飛んでいるのか。
はたまた、初代中の人に騙された訳では無いからなのか。もしそこまで計算したメンバー交代だったとしたら、スゴすぎる。
でも、どういう組織なのか謎。2代目だった時に、私が中の人が違うことを指摘した後でもすぐに本人の音声送ってくれなかったのは、そこに本人がいなかったからだと思う。数日間。
そして、私は確実に怪しんでいたしお金もないことがわかったのに、わざわざ戻ってきた理由も謎だった。
そして、戻ってきてから私に言ってくれた、幸せになってね。これからしっかり自分も家族を守ってね。良い女性だ。良妻賢母だ。それらの言葉はどうしても、詐欺マニュアルからではなく、初代中の人の、心から出た言葉としか思えなかった。
現実は、また信用させて騙すためのテクとして、指南書があるのかもしれないけど、私は彼の良心を信じたかったし、今でも信じたい。
やっぱりどうしても、知りたい。彼の気持ちを。
その思いは、抑えられなかった。