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秋芳洞はとりあえず一回行ったほうがいい(一人旅10日目 in山口)

さて、山口県に来たは良いけど、どこに行こうか。防府駅のホテルで僕はそんなことを(今更)悩んでいた。
角島大橋でサイクリングをしたいな、とは思っていたものの、調べたところによるとロードバイクがないと無理っぽい…。

さらに、福岡で受けたタイマッサージの恩恵もすっかり使い果たし、既にバッキバキの両足で長距離チャリを漕ぐのは鬼畜の所業である。

会社で仲の良かった同僚たちに「山口のおすすめスポット教えて」と聞いてみたところ「秋芳洞とかどう?」と返答があった。

あきよしどう? 初めて聞いたスポットだな。
調べてみると鍾乳洞らしい。バスで40分ほどで行けるようなので、急ではあるけど向かうことにした。

先に結論だけ言うと、マジで行って良かった。「一人旅で行った場所でどこが良かった?」と聞かれると、最初にこの場所が出るほどである。

新山口駅からバスに乗って、11時頃に秋芳洞へ到着。
最寄りのバス停からは一本道になっており、左右には定食屋やお土産屋が軒を連ねていた。
凄まじい量のソフトクリーム(ざっと見で50種類くらい)を売っているお店もあったけど、平日なので人はまばらである。

秋芳洞への道。おそらく休日は賑わっているかと思われる
入場口

入場料を支払い敷地内へ。鍾乳洞に入るまでに、庭園のような空間を通った。池がエメラルドブルーで綺麗。

木造の橋を通って中に入った瞬間、それまでジリジリと肌を焼いていた日差しと気温がヒュッと消え、目の前にはただただ広い暗がりが。

写真だと明るく映るけど、実際はもっと暗い

川が激しく流れる音だけが、洞穴の中に響き渡る。

鍾乳洞とは、雨水や地下水によって地層が侵食され、大小さまざまな空洞ができ、それらが連結してできた広い空間をさす。
数十万年をかけて生まれたと言うこの空間には、とても自然でできたとは思えないような造形が並んでいた。

百枚皿
黄金柱
くらげの滝のぼり。いちいちネーミングが秀逸

これらがどうやって形成されるに至ったかは、洞内の音声付き解説で知ることができるのだが、年月の経過が途方もなさすぎていまいち実感できない。

これらの形成される経緯について、あえて腹落ちさせやすいのは、つらら石や石筍(せきじゅん)だろう。

天井から垂れ下がっているのがつらら石

名前の通り、つららのように天井から垂れ下がる石や、タケノコのように地中から生え出したような形をした石である。
侵食の過程で、石灰岩を溶かし込んだ雨水がしみ出てくると、二酸化炭素が抜けて再び石灰質の岩石が形成され、それらの繰り返しによって生まれるのだという。
つまりどういうことだってばよ

石灰岩をざっくり「粘土」と捉えるとわかりやすいかもしれない。
粘土の混じった水が天井からポツリポツリと垂れ続ける中で、やがて水がなくなり粘土だけが残る。
その粘土が渇いて固まると、そこだけが僅かに盛り上がる。それをひたっっっすら繰り返して伸びるのだ。

垂れる前の天井で形成されると「つらら石」、垂れた先の地面で掲載されると「石筍」となる(…と僕は解釈したけど間違ってたらゴメン)。

数cmの長さになるまで、1000年の月日が必要らしい。

「え、じゃあ今僕の目の前にあるこの30cmくらいのつらら石って…」と、途方もない時間の流れと、それらがここまで残った奇跡を実感させられる。
そんな奇跡の形成物が、1.2kmの広い空洞の中に無数に点在しているのだ。

今まで、城やお寺などの歴史的建築物は数多く見る機会があったものの「すごい建物だな」と思ったことはありつつも、魅了されることはあまりなかった。
大半が復元されたものであり当時の建物そのものではない、という穿った先入観がそうさせていたのか、単に想像力が足りないのか、理由は色々あると思う。

あくまで自然の営みの繰り返しで形成されたと言うこの場所にいると、(チープな表現になってしまうが)自分がいかに刹那的な存在でしかないことを実感させられるのである。
川が流れ続けているということは、この秋芳洞はまだ変化を続けている。その一瞬に今、自分が立っているのだ。

会社勤めのせいか、いつの間にかその日や明日のことにばかり目が行きがちだったことに気付かされる。
自分の有り様について、もっと俯瞰すべきなのかもしれない。つらら石が1cm伸びる時には、僕はとっくにこの世にいないのだから。

そんな悠久の時間の流れを満喫し、謎の悟りに至っていた僕の目に入ったのは、次のバスが来るまであと2時間というバス停の時刻表。

2時間か。とはいえ数十万年の時に比べれば、そんなものは瞼を閉じるように一瞬なわけで….
とはならず、さすがにタクシーを呼んだ。

新山口駅までタクシーの運転手とした会話が、多分この一人旅で一番誰かと長く喋った時間だった気がする。地元ではかなり実力のあるサッカー選手だったそうな。

再検討の末、角島大橋を諦めた僕は、広島県へ。

広島県。いつか行きたい、がようやくこの日に叶った。
そして九州でも頻繁に見かけた「you me」をここでも発見。中国地方にもあるのか…。

ゆめタウン。ついぞ関東では見かけない大型スーパー

広島は少しゆったり滞在しようと思い、ウィークリーマンションに2泊ほど予約を入れていた。
https://www.jalan.net/yad316720/

自分の家のような安心感ですね

さて、広島駅周辺を散策しようかと思っていた自分は、ここで鼻風邪になり終日寝込むことに。
観光は明日以降に持ち越しである。鼻水が止まらない…。

あれ? これ秋芳洞の寒さのせいなんじゃ

続く


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