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なぜか歌舞伎町に惹かれてしまう理由
東洋一の繁華街、不夜城、ホストの聖地…等々、色んな場所で散々ピックアップされている新宿歌舞伎町。たまたま会社の研修が新宿で行われたので、帰りにぶらついてみることにした。
別に歌舞伎町に行くのは初めてでも何でもないし、行ったところで新しい発見があるわけでもない。ただ深夜でも照りつくネオンの看板と、所狭しと並ぶ建物と、人混みがあるだけだ。
…ただ、何となく夜に新宿に来ると、ふらりと覗きに行ってみたくなる妙な魅力がある。その理由に長らく検討がつかないでいたが、ふと自分の目線がどこに行くかを考えた時に、何となくわかったことがある。
人だ。
新宿歌舞伎町を歩く人は、他の街から見ても明らかに色が異なる。
渋谷とか、代々木とかから歩いて新宿まで行ったこともあるが、歌舞伎町の周辺に来たことが、歩く人の変化でわかるのだ。
ので、(もちろんジロジロ見ないように気をつけつつ)どのような人がいるのか観察してしまう。
酔っ払ったサラリーマン、遊びに来た学生、カップル、観光目的の外国人旅行客。ここまではどこにでもある風景だ。
彼らとすれ違うのは、目がバッキバキの老人、唇や鼻にピアスをした青年、ロリータファッションの女の子。片足をひきずる死んだ目、ネオンに負けない派手な髪色、前髪ぱっつんに涙袋…。
これだけの個性が一堂に溶け込む様は異様であり、だからこそ不気味な魅力がある。
ちなみに歓楽街としての治安の悪さでいえば、今(2024/11現在)はかなりマシな部類だと思う(あくまで日本の歓楽街比較で)。
というか、キャッチの多さやしつこさなら、上野の仲町通りや川崎の仲見世通りの方がよっぽどひどい。
15年ほど前に通りかかった時には、派手なスーツを着たホストがそこら中にいて既に異様さを醸し出していたのだが、今はほとんどおらず、少し派手目な程度の観光地になっている。
まあホストの看板の多さは歌舞伎等ならではだと思うけど…。
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とまあ色々書いているけども、歓楽街としての賑やかさは歌舞伎町1丁目が見せる一面にすぎない。
花道通りを超えて2丁目に入ってからは、途端に静寂があたりを覆う。
物は言わずともライトでくっきりと照らし出され、蛍光で飾られて城のようにたたずむ建物が一面にズラリ。全てラブホテルである。
通る人は少なく、すれ違ったのは不機嫌そうにヒールの音を立てる派手な格好の女性や、背を丸めて歩くお爺さんと隣り合わせで歩く女の子(おそらく孫ではない)。
全く用のない場所なのに、なぜかこの不気味なくらいの静けさに妙に惹かれてしまう。不謹慎な例えになってしまうが、自分が見えないだけで「確実に何かが起きている」のに静寂を保てている異様さというか。
なお、通称「ヤクザマンション」ことライオンズマンション歌舞伎町A棟や第6トーアビル、風林会館など(悪い意味で)有名な施設はほぼ2丁目にある。
何かあったのは昔の話なので、直近でどうこうということは無いけども。
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区役所通りに差し掛かった辺りでふと、とある女性と目が合った。
何も持っておらず、私服姿でポツンと立ち尽くしている。客引きでもなさそうな雰囲気のその人は、首からプラスチックの看板をぶら下げていた。
そこに書かれていたのは「80分20,000円」。
そのまま目を逸らして通り過ぎたが、「普通に働いて生きるってどういうことなんだろう」とぼんやり考えている自分がいた。
そういえば、歌舞伎町でいつかは寄りたいと思っていた場所がある。
上で触れた「ヤクザマンション」の一階にある、老舗「喫茶マリエール」である。
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窓側にヤクザの銃弾対策で漫画が積まれている、昭和からある喫茶店で、前から気になっていたがこの機会に入店。
おばあさんが一人で切り盛りしており、料理も飲み物も全て対応していた。自分はアイスコーヒーとチョコケーキのセットを注文。
コーヒーは僕好みの苦さ、チョコケーキは甘さ控えめかと思いきや、後から感じられる少しビターな感じで、コーヒーによく合った。
…今日は行かなかったけど、歌舞伎町に来る時はいつも目的地が決まっている。ズバリ「ラーメン凪」に行くのだ。
「煮干しぃ? ラーメンといやぁ豚骨一択だろ! いやもはや二郎っしょ!」
という大学時代の自分を、今に至るまで煮干しラーメン好きにした革命児である。
行ったことの無い方に一応お伝えすると、カウンターが10席くらいしかない(しかも狭い)ので、行く時はほぼ確実に並ぶ。
コロナ禍までは花道通り辺りに別館があった(しかも広めだった)のでそっちに行っていたのだが、閉店して今は「ナギチャンラーメン」という同系列だけど煮干しじゃないラーメン屋になってしまった。
まぁ西新宿にも煮干しの凪はあるけど…歌舞伎町からは遠いんだよなぁ。