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ハトマークのスーパー
ある芸能人が、スーパーのイトーヨーカドーが無くなっているのが寂しいと話していたことがネット記事になっていた。
そういえば私の街にも小学生の時にイトーヨーカドーがあった。だが、激安スーパーに変わり、今は建物は完全に取り壊され、マンションになってしまった。
ヨーカドーとの思い出
ぽっぽのたこ焼き
スーパー内にぽっぽという小さなお店があって、祖母がポテトやたこ焼きやら買ってくれよく食べた。
関東住みなので、今は銀だこの揚げたこ焼きに出会うことが多い。
しかし、ここで食べたたこ焼きは関西風というのだろうか。柔らかいあの触感。
数年前、大阪の道頓堀でたこ焼きを食べた時も小さい頃に味わったぽっぽの味を思い出した。
プリクラ
小学生低学年の私。ガムボールみたいな黄色いプラスチックにスマイルの顔が描かれたヘアゴムで、2つ縛りをしていた時代だと思う。
3歳上の姉と姉の友達、あやかちゃんがヨーカドーで、プリクラを撮るらしく勝手について行った覚えがある。
プリクラ内のベニヤ板でできた台に座ったり、立ったりして撮ったと思う。あやかちゃんの着ていた服は、あの当時一世を風靡したエンジェルブルーの中村君がいた。
エンジェルブルーはお金持ちの象徴のようなもので、一般庶民の私たち姉妹には憧れ止まりであった。
どうやらこのブランドが最近、リバイバルしているようで、100均で中村君の靴下を発見した。あの時の欲しかった気持ちが沸き上がり手に取った。だが、箪笥でお休みすることは分かりきっていたので、その場で別れを告げた。
話は逸れたが、ヨーカドーはたまごっちを買うため開店前に並んだり、幼い従姉妹と汗でべとべとになった手をしっかり握りながら買い物した場所だったり、回転ハンガーラックにかけられた服から好きなのを選んだり、たくさんの日常の出来事が生まれた場所だった。
小学生の私にとって、いや当時の小学生にとってもこの場所はお菓子も、おもちゃも、ゲームセンターも、屋上遊園地だってあって近所のちょっとしたテーマパークだったんじゃないかなと思う。
過去の街、現在の街
そんな時代は田舎街の全盛期とも言えた。今の街はすっかり活気をなくし、綺麗に建て替えられたスタイリッシュで癖のない駅や、必要としていないのに無駄に広くなった道路、商店街にはふらっと立ち寄れるような喫茶店はない。
あの時代にタイムスリップしたくなり、20年前のこの街の写真を検索する。もやっとした柔らかい色の写真には見覚えのある風景があった。
商店街も駅も、すっきりさなんてどこにもない。不二家、マック、ケンタッキー、小さな商店も生きていた。タクシー乗り場のロータリーのくるって回るようなところはなく、駅入り口にあるだだっ広いスペースにタクシーが止まる。
今の癖もなく、人も少ない、お店もパッとしなくなった街は、私にとって何も引っかからない。あのごちゃっとした街は、案外、心のフックに引っかかってこうして記憶に残っている。でもなぜか思い出される場面は、写真で見たように、もやっとした風景でしかなく、現在進行形の今を眺めているようなはっきりさはない。
確実に経験したはずなのに過去は、メガネを外したようなフィルターをかける。私は、ノスタルジックな気持ちになるなんて、おばあちゃんになるまでないと思っていた。でもこうして昔のことを思い出し、もう存在しないものに出会うと暖かい布団に包まれた気持ちになれるのに、同時に戻れない寂しさにも襲われる。
街は一度、元気をなくしたら衰退する一方なのだろうか。もし活気を取り戻してくれるのであれば、心のフックに引っかかるような街になってほしい。無難じゃなくて、記憶に残る街にもう一度会いたいのだ。