見出し画像

本土と離島結ぶ巨大アーチ 女川町「出島架橋」整備 中学生が工事現場見学

 女川町の離島、出島(いずしま)と本土の竹浦をつなぐ「出島架橋」の組み立て工事が進んでいる。アーチ形の橋本体(長さ364メートル)の組み立ては架設場所から離れた女川港石浜地区の岸壁で行われており、完成後、今秋には海上輸送して架け、町道女川出島線と接続する。地元にも橋に対する愛着や興味関心を持ってもらうため、30日は女川中学校1年生31人を対象に石浜の工事現場見学会を実施。生徒は間近で見る橋の大きさと迫力に驚きの表情を見せていた。

本土(手前)と出島をつなぐ現場。今後、橋を海上輸送で運ぶ

 町は昭和54年から島民の利便性向上や災害時の避難道、産業振興を目的に国や県に架橋整備を求め続けてきた。長年の悲願が実り、平成29年3月に県の技術協力を得ながら本格的に事業着手。橋につながる町道部分(延長2556メートル)はほぼ完成し、今年1月にメインとなる橋の本体部分の組み立てが開始。特徴的な巨大アーチが徐々に形となってきた。

橋の本体工事は石浜地区で進行。巨大アーチが形となってきた

 資材や人件費高騰の影響で完成、開通時期は当初予定より約2年ずれ込んだが、以降は順調に進んでおり、全体の進ちょく率は5月末現在で約60%。総事業費は約168億円で3分の2は国の交付金を充てる。石浜で組み立てた橋は大型のフローティングクレーンでつり上げ、架設地点まで曳船で運び、来年12月末の開通を目指す。

 この一大事業の現場を子どもたちに見てもらおうと、県と町は女川中生徒向けの見学会を実施。生徒は担当者から工事の過程や橋の海上輸送方法などの説明を受けたほか、高所作業車に乗り、15メートルほどの高さから巨大なアーチ部分を間近で見学。橋の組み立てに使われるボルトの締めつけ作業も疑似体験した。

 目時仙太郎さん(1年)は「この橋を間近で見たのは初めてで大きさに圧倒された。橋が架かることで女川にもっと人が来て、よりにぎやかになってくれれば」と期待を寄せた。

出島架橋 完成予想図

 町建設課の佐藤司課長は「観光産業振興にも好影響を与えてくれる橋。今後も事故やけがなく進める」と話していた。【山口紘史】





最後まで記事をお読みいただき、ありがとうございました。皆様から頂くサポートは、さらなる有益なコンテンツの作成に役立たせていきます。引き続き、石巻日日新聞社のコンテンツをお楽しみください。