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線路転落の10代男性救う

JR東日本から感謝状


 JR東日本東北本部は23日、ホームから線路に転落した10代男性を助けるため、迅速に列車の停止手配を行った石巻工業高校3年の冨士原琉さん、石巻好文館高校2年の早坂未来さんに感謝状を贈った。偶然事故現場に居合わせた2人は的確な対応で列車を止め、男性は車掌らの手で線路から引き上げられ、無事に救助された。

的確に列車停止手配

 事故があったのは今月9日午前7時40分ごろ。野蒜駅で石巻方面に向かう仙石線下り列車を待っていた10代男性が誤ってホームから約1・3㍍下の上り線線路に転落。少し遠い所で同じ列車を待っていた冨士原さん、早坂さんが気付いた。
 2人は落ちた瞬間を見ていないが、「ドサッという音と『痛い』という男性の声が聞こえた」と早坂さん。男性は早坂さんの小中学時代の同級生で、腕などを打ってパニック状態に陥り、自力では立てなそうな状態だったという。
 列車がホームに入る時間が迫る。無人駅で駅員もいない。冨士原さん、早坂さんは初対面だったが、協力して列車の停止手配を試みることにした。冨士原さんがJRのカスタマーセンターに通報。状況を細かく伝え、職員の指示を仰いだ。早坂さんは男性を見守りつつ、ホームにあった非常列車停止用の赤色旗を手にし、頭上で振り続けた。
 野蒜駅に近付いていた列車の運転士は、センターからの情報と早坂さんが降る赤色旗を確認後、ホーム付近でゆっくり停車。転落した男性は車掌らの手で引き上げられ、無事救助された。

JRに通報し、状況を伝えた冨士原さん
赤色旗を振って列車に知らせた早坂さん

 冨士原さんは「電車が来るまで10分以上あったので安全面から線路に降りず、まずはJRに伝えた。男性が無事だったことが何より」と胸をなでおろした。早坂さんは「動揺したが、迷うよりもできることを考え、行動した。赤色旗の存在は知っていたが、使うのは初めて。無我夢中で気が付いたら振っていた」と振り返った。
 「人を助けるのは当然のこと。感謝状は恐れ多い」と謙虚な姿勢の2人だが、JR東日本東北本部は勇敢な行動に感謝を込めた。総務部輸送サービス品質改革室の弓田康弘室長は「当時の防犯カメラの映像も見たが、2人の役割分担と列車停止手配は100点。その勇気ある行動のおかげで事故を未然に防ぐことができた。大変感謝している」とたたえていた。【山口紘史】



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