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外来種捕って食べる(下)

生き物の尊き命 心に刻む

 石巻市井内の用水路へ車で移動した「こんじん」のメンバーだったが、ここでの成果はゼロ。料理に彩りを添えるタンポポを1輪摘み、調理するのに奥山さんが住む同市中里のアパートに向かった。

 この日のメニューは初挑戦の「ウシガエルの煮込み」。カエルの可食部はほとんど足に限られており、4人の腹を満たすのには不十分だ。調理は奥山さんに任せ、合流した佐藤さんを含む3人は、近くの沼で引き続き獲物を狙った。

奥山さんが作ったウシガエルの煮込み。彩りにタンポポを添えた

 ターゲットは、条件付特定外来生物のミシシッピアカミミガメだが「ヘビもいいな。虫も食べたいし」と会話が弾む。好奇心は尽きることなく、今後は昆虫も捕って食べるとか。

 ヘドロが沈殿した沼にはカメらしき影がちらつき、伊藤さんが指示し松本さんが捕獲する。「どうしよう。すごい足取られる。しかも匂いがひどい」。環境の悪さに困惑しながらも全長約30㌢のミシシッピアカミミガメを捕まえた。

一旦捕獲した条件付特定外来生物のミシシッピアカミミガメ

 アパートに持ち帰ると「すごいな!でもさばきたくないよ」と奥山さん。カメの甲羅は人間の肋骨のような構造でとても硬い。以前さばいた経験から、処理は容易でないことをよく知っている。

 「食べないならみんなで飼おうよ」と松本さん。外来種であっても元は人間が無責任に手放した命。生き物たちに罪はない。だが今回は飼育スペースを確保できず、すぐに元いた沼に帰してあげた。

遊びの中で気付きと学び

 こんじんのルールは「捕獲した生き物の命は決して無駄にしない」こと。食べきれないと判断した場合はその場でリリースし、傷を負わせてしまったらその命の最期に責任を持とうと、調理し食することにしている。ミシシッピアカミミガメの甲羅など、調理ができない部分はインテリアとして活用している。

ナマズのフライを挟んだハンバーガーなどを食すメンバーら=こんじん提供=

 「生きているものを殺し、その命をいただくことが『食べる』ことなんだと思う。まだ食べられるものが平気で捨てられてしまう時代だが、命をいただく意識を大切にしたい」と佐藤さん。捕獲から食するまでの一連に携わっているからこそ、そこで得た気付きは学びとして深く心に刻まれている。

手を合わせ「いただきます」

 「できたよ」。奥山さんはタンポポの彩りも添え、きれいに盛り付けたウシガエルの煮込みをテーブルに運んだ。捕獲の苦労に思いをはせ、みんなで「いただきます」と手を合わす。さっきまで跳びはねていたカエルの身は筋肉質で、シャキシャキとしている。生命力に感動しながら初めて出会ううまみを味わうと、おいしい笑顔が広がった。【泉野帆薫】


インスタで活動紹介

 こんじんは「外来種を含む生き物のおいしさ、命の大切さをもっと多くに知ってほしい」との思いをインスタグラム(@noon_419n)で発信している。今後はイベントを催し、地域との接点を増やしていく考えだ。



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