クジラ肉端材で「せんべい」
石巻・産学官連携商品 大和煮缶詰の味 7日販売
鯨肉を加工する際に出る端材を使った焼き菓子「オランダせんべい鯨大和煮風味」の発表会が4日、石巻市役所であった。石巻市や石巻専修大学など産学官が連携し、鯨食文化の継承と地域活性化を目的に研究開発したもので、㈱木の屋石巻水産=同市魚町=が缶詰製造で出た端材を提供。山形県の酒田米菓㈱が大和煮の味を再現した鯨肉の粉末を作り、自社製のせんべいに取り入れた。7日に販売開始され、1袋260円。市内では、いしのまき元気いちばと木の屋の直売所で取り扱う。
石巻市と石巻専修大学は、連携して地域の未利用資源の研究を重ねている。そうした中で、鯨には疲労回復に効果があるバレニンなどさまざまな有用成分が含まれていることが分かり、パン粉の製造などを行う㈱かね久=仙台市=が木の屋石巻水産と酒田米菓をつなぎ、商品開発がスタートした。
「オランダせんべい鯨大和煮風味」は、酒田米菓の定番商品であるオランダせんべいをベースに、木の屋で出た鯨肉端材を使い、粉末にしてせんべいにまぶしてある。発表会で同大学理工学部の鈴木英勝教授は「クジラは地域で昔から親しまれてきた食文化。今後も地域活性につながる商品開発を進めたい」と話した。
木の屋の木村優哉社長は「缶詰製造の過程でどうしても出てしまう端材の処理がずっと課題だった。菓子という新しい発想で、とてもいい活用になったと思う」と語った。
せんべいは、木の屋の人気商品である鯨大和煮の味を再現しており、しょうゆ、ショウガとクジラの風味が特長だ。試食した齋藤正美市長は「パリッとした食感の中にクジラの味をしっかりと感じることができる」と太鼓判を押していた。
産学官連携では、鯨肉のプロテインを使ったみそ汁の製品化を進めているほか、鯨肉を使用したアイスクリームも試作を重ねているという。【渡邊裕紀】