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前衛的漫画で復興描く 石ノ森氏の分身「ジュン」 11日から動画限定配信

 石巻市の漫画文化を広く発信するアニメーションが11日に動画配信サイトのユーチューブで公開される。石ノ森章太郎氏の作品「ジュン」を題材に、東日本大震災から復興していく石巻市を重ね合わせて映像化。現在は15秒、30秒の予告動画を見ることができる。せりふがなく、映像と音楽、効果音で見せる手法を用いて言葉や文化の違いを超えて伝える作品だ。本編動画は約9分。20日までの限定公開となる。

 石巻市は、平成8年に「石巻マンガランド構想」を策定し、石ノ森萬画館や石巻マンガロードの整備を進めながら、漫画を活用した地域活性化、独自の価値創出に取り組んできた。今回のアニメは石巻市が手掛け、(株)街づくりまんぼうなどが協力。アニメ制作は登米市のPR動画「登米無双」で知られる(株)ロボット=東京都渋谷区=が担当し、(株)石森プロが監修している。

ジュンと石巻がリンクし、変化していく過程をアニメに落とし込んでいる©石森プロ

 「ジュン」は、石ノ森氏の分身とも言われる主人公のジュンを軸に、絵の表現と漫画特有のコマの流れで表現を作り込んだ作品。実験的な内容は、多くの漫画家に影響を与えた傑作だ。

©石森プロ

 アニメは「変わるまち、変われるまち、石巻。」がタイトル。ジュンの挫折と震災を重ね合わせるように表現され、復興し立ち直っていく過程を描いた。劇中には「がんばろう!石巻」の看板なども登場する。実験的な表現を用いた漫画「ジュン」と同じく手書きタッチの映像を使い、音楽と効果音のみで表現する「心で感じるアートアニメーション」と位置づけ、年齢や国籍を問わず楽しめる。

 萬画館企画営業課の高橋智之係長(39)は「全国の人にアニメを楽しんでもらい、石巻に興味を持ってもらえればうれしい。表現に重きを置いた作品なので、それぞれ違った受け取り方ができるはず」と話す。市と萬画館は今後も「マンガを活かした夢のある街づくり」事業に取り組み、新人漫画家の育成なども検討を進めているという。【渡邊裕紀】


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