次世代の語り部育成へ みやぎ津波伝承館 石巻専修大の佐藤さん認定
宮城県と東北大学災害科学国際研究所は1月29日、みやぎ東日本大震災津波伝承館=石巻市南浜町=のボランティア解説員に、石巻専修大学人間学部人間文化学科2年の佐藤陸さん(20)を第1号で認定した。震災から年月が過ぎる中、この先も伝承が途切れることがないよう次世代の担い手を育成するのが目的。週末や長期の休みを利用して団体客などに展示解説してもらう。
ボランティア解説員は、次世代の語り部の育成のほか、震災を知らない世代に災害を学んでもらう機会とするため、小中高校、大学、専門学生などを対象に募集。第1号となる佐藤さんへの認定式は、伝承館であった第1回みやぎ災害伝承ポスターコンクールの表彰式に引き続いて行われた。
県と共同で取り組みを進めた東北大学災害科学国際研究所の佐藤翔輔准教授が認定証書と記念バッジを贈呈。「30、50、100年と震災の経験を伝えなければならず、若い人に担ってもらうことで持続可能にしたい。災害伝承の一翼を担ってほしい」と期待した。認定された佐藤さんは早速、表彰式に出席した小中高生を案内し、自身の震災体験も話した。
佐藤さんは震災で最大震度7を観測した栗原市の出身。当時8歳で、小学校で体育館の大掃除している時に大きな揺れに襲われた。児童は皆、パニックになって一斉に外へ飛び出し、佐藤さんも転びながら校庭に逃げ、そのまま親の迎えを待ったという。
ボランティア解説員になったのは、授業で佐藤准教授から声をかけられ、学芸員の資格取得を目指す上でも興味を持ったため。昨年8月から延べ7日間、伝承館に通って実際の解説員に習い、人前に立つことが認められた。佐藤さんは「津波を経験していなくても、歴史や事実を広められることが伝われば」と話した。
佐藤さんの熱心さが伝わったのか、同日、新たな人材の応募があったという。申込み、問合せは電子メール(irides-e502@grp.tohoku.ac.jp)また
は電話(022-752-2140)で佐藤准教授まで。【熊谷利勝】