石巻市・市民意識調査 復興実感初の7割超え SDGs認知は大幅増
石巻市は1日までに、令和3年度市民意識調査の集計結果報告書をまとめた。東日本大震災の復旧・復興は73.6%が進んでいると感じており、前年度の調査から5.5ポイント上昇。発災10年で初めて7割を超えた。また、市が推進するSDGs(持続可能な開発目標)は認知度が大幅に向上。市政に対しては回答者の4人に1人が関心を示さなかった。
復興を実感している人の割合は年々上昇。特に住宅再建や堤防、道路の基盤整備が実感させている。しかし堤防、道路の整備は遅れていると感じる事業でも上位。進んだかどうかの評価は、回答者の地域によって分かれると推察されるが、遅れていると答える割合は小さくなっており、産業の再生・雇用の創出といった建設事業以外の項目が大きくなっている。
将来の発展に望むものは、昨年と同様に防災体制、働く場の創出、身近な医療施設などが上位。特に防災体制は数値を大きく伸ばした前年度からさらに増え、半数近くが重視した。
市報、新聞から収集 市政の情報入手先
SDGsの認知度も調査し、「名前だけは知っている」(32.6%)「名前も内容も知っている」(22.6%)「実際に取り組んでいる」(4.2%)を合わせ59.4%。国からSDGs未来都市に選定された市が目標達成に向けた取り組みや普及啓発を進めていることもあり、前回から32.9ポイントの大幅上昇となった。特に学生や職場で浸透した。
市民の関心や要望を把握し、施策の基礎資料とする定期調査であり、本年度は7月9―30日、無作為に選んだ18歳以上の男女2700人に郵送。全12分野66問の回答を求め、42.9%の1158人(男493人、女638人、無記入27人)から返送を受けた。
回答を寄せた人は市政に一定の関心がある層と考えられる。それでも、市政への関心は「あまりない」(20.4%)「ない」(6%)の回答が計26.4%。関心を高めるための情報発信を課題とした。市政の情報入手先は市報が最も多い75.8%で、次いで新聞が48.7%だった。
市内の居住意向上昇 根強い家事男女固定
市内の居住意向を尋ねた結果は「ずっと住み続けたい」が前回から3.8ポイント上昇し、53.5%。理由は「地元だから」「愛着がある」が主で、移り住みたい理由は「交通の便が悪いから」「買い物や遊びの便が悪いから」が多く挙がった。
地域の自治会(町内会活動)への参加は清掃、除草の環境整備が最も多い55.1%。誰も参加していない世帯は27.7%で、うち40.8%は「参加したくない」と回答。自治活動の必要性の啓発が課題として浮上した。
男女共同参画についての設問では、家庭での家事や育児を「妻の役割」と考える人が最多32.5%。次いで「夫も妻も同様に行う」が27.6%となった。性別による役割の固定化が根強い結果で、1日に家事を3時間以上する男性が7.7%に対して、女性は38.1%と偏りがある。
過半数運動に無関心 スポーツボラも課題
この1年間に何らかの運動やスポーツをした人は半数に満たない45.4%。内容は散歩40.5%、ウオーキング21.3%が目立ち、機器使用のトレーニング14.3%、体操10.6%と一人でできるものが続いた。
しない理由は「時間がない」「機会がない」「身近に施設がない」が多く、条件がそろえばしてみたい人が半数近い47.0%に上った。大会の手伝いやクラブ運営、審判、コーチなどスポーツのボランティアは85.4%が未経験。機会があってもしたいと思う人は9.8%だけで、参加する意義作りや啓発が課題となった。【熊谷利勝】